料理用語 し
強肴<しいざかな>
懐石料理用語。
一汁三菜、箸洗い、八寸の他に出す料理。
炊き合わせから和え物まで、特に薦めたいものがあるとき
お客にすすめるもの。ゆえに別名が「進め肴」
塩<しお>
およそ料理においてこれ以上重要な物は無い。
料理人としては、純粋な塩化ナトリウムに近い
食卓塩や精製塩を排し、少なくとも荒塩・並塩
以上を使用すべきである。
食用塩の知識は自ずから吸収したいところ。
「青を映えさせる」「味付けの塩は控えめに」
この二つの特徴は基本である。
塩釜<しおがま>
本来の意味は塩を製造する釜。
料理では塩をした魚を和紙で包み卵白で密封
かまくら状に塩で包みオーブンで蒸し焼きにする。
これが「塩釜蒸し」又は「塩釜焼き」である。
微塵粉と砂糖を溶いて作った菓子もあり、
松島の港、「塩釜」が発祥だと云う。
塩引き<しおびき>
塩蔵魚類。代表が鮭と鰤。
鮭の場合、強塩が塩引き、ひと塩を新巻という。
塩摺り<しおずり >
主として胡瓜に塩をしてまな板で擦ること。
「板ずり」と同じ意味である。
汚れとイボを落とす。さらに瞬間湯引きで色も出る。
塩抜き<しおぬき>
塩蔵品の塩を真水で抜くこと。
真水に少量の塩を加えると早い。これが「呼び塩」
塩煎り<しおいり>
豆類や銀杏などを塩で煎る料理。
塩吹き<しおふき>
本膳の鯛姿焼き、その鰭や尾を飾る水引。
または塩焼きの「塩花」、「飾り塩」をさす。
直煮<じかに>
煮物は下煮・下焼き・下揚げする事が多い、
しかし直に煮る場合もあり、これを
「田舎煮」「山家煮」ともいう。
地紙切り<じがみぎり>
末広や扇の形に切る。祝い事に使う場合が多い。
色紙切り<しきしぎり>
主として正方形に切る。
鴫焼き<しぎやき>
鴫を焼いた本来の鴫焼きよりも、
油と練り味噌で焼いた茄子の鴫焼きが一般的。
時雨煮<しぐれに>
生姜をきかせた佃煮。ハマグリが有名。
別名しようが煮。
四条流<しじょうりゅう>
生間流と同じく京都御所から発達した流派。
日本料理の祖「磐鹿六雁命」と共に
祖神とされる「藤原朝臣山陰中納言政朝」が
この派の祖。室町以降代々続く家柄。
儀式的な要素が濃い。
式包丁<しきほうちょうう>
主に上記の流派に受け継がれる儀式。
それに使用する包丁で、鯉と鶏で形が異なる。
七五三盛り<しちごさんもり>
儀式、祝事に使う刺身の盛り方。
平作りにした刺身を三、五、七切れに盛る。
祝儀には紅白にする事が多い。
日常料理では必ずしもこの盛り方にする必要はない。
七味唐辛子<しちみとうがらし>
陳皮、胡麻、麻の実、けしの実、山椒、菜種、
赤唐辛子にこれ等を加えた香辛料。
塩にこれを加えた揚げ物用が「七味塩」
卓袱料理<しっぽくりょうり>
中国から長崎に伝来し和食と混合した料理。
卓袱は食卓布を意味する。又は赤い卓子。
六人がけの卓で会食する。
御鰭、御味噌、御菜差味、小菜湯引き、
小菜口取り、小菜甘味、小菜焚会、小菜漬け物
坪椀、中鉢、大鉢、煮物椀、御飯、梅椀、水菓子。
小菜(冷)と温菜に分けて供される。
品川巻き<しながわまき>
品川は海苔をさす。
信濃蒸し<しなのむし>
信濃は蕎麦をさし、白身魚を乗せて蒸す。
信田<しのだ>
信田は油揚げをさす。
丼・うどん、すし、煮物、酢の物、和え物、袋詰め等。
由来は大阪信田の稲荷。いなりすしの別名でもある。
篠の葉<しののは>
大きく成長したスズキを指す言葉。
忍びてしろ<しのびてしろ>
シビ(小まぐろ)の軟骨をてしろと言う。
それを塩と酢で締め、醤油で食べる。
芝鮨<しばずし>
笹の葉を舟にみたて鮨を盛る。芝舟すし。
柴蒸し<しばむし>
笹の葉に卵液を塗り、白身魚、
雑木に見立てた松茸の軸などを乗せて蒸す。
治部煮<じぶに>
鳥(鴨が主)を両味(砂糖・醤油)と酒塩で調味
出汁が主体の薄味。
鴨でなくてもこれに沿った煮方。
霜揚げ<しもあげ>
霜が降ったようにみせる揚げ方。
忍び<しのび>
日本料理で幅広く使われる言葉。
隠し味、表面から見えぬ素材をさす事が多い。
重<じゅう>
1 重箱の事。
2 懐石で焼き物をさす言葉
重曹<じゅうそう>
炭酸水素ナトリウム。重炭酸ソーダの略語。
主に漂白や色だしに使う。
ビタミンBを破壊する事が分かっている。
出世魚<しゅっせうお>
鰤、鱸、鯔、このしろ等成魚になるまでに
二回以上名前が変わる魚。縁起物とされる。
じゃぱ汁
鱈のアラの粕汁。
正月料理<しょうがつりょうり>
おせちは関東風の呼び方である。
口取り四種
きんとん、ようかん、かまぼこ、だてまき
他に煮物、焼き物、雑煮、酢の物、祝い肴など。
定規切り<じょうぎぎり>
主として魚を三角形に切る刀法。
定切り<じょうぎり>
魚を長方形に切る刀法。
焦糖<しょうとう>
砂糖を水で煮詰めたもの。カラメル。
生麩<しょうふ>
小麦の澱粉で麩を作るときに、底に沈殿したもの。
それを乾したもの。
精進料理<しょうじんりょうり>
鳥獣魚肉を使用しない菜食料理である。
野菜一種の単独揚げの「精進揚げ」
昆布、椎茸、干瓢などで取る「精進出汁」
稲荷、五目、のり巻の「精進鮨」
塩をした豆腐を乾燥させた「精進節」
ただし現在は隠し味に動物性を使う場合が多い。
醤油<しょうゆ>
現在の醤油は夏場でもカビない。
これを良いと考えるか悪いと考えるか、
判断は各人に委ねる他あるまい。
白髪<しらが>
野菜を極千に切ったもの。
昆布を「白髪昆布」という、
これで魚を巻いて蒸すのを「白髪蒸し」
翁という呼び方もする。
「白髪切り」は大根を打ったもの。
白河<しらかわ>
白あまだいのこと。
本来の「ぐじ」はこの魚をさしていた。
食紅<しょくべに>
各色の人口着色料の総称。
白塩焼き<しらしおやき>
魚の塩焼き。
塩をふって焼くと結晶化し花を散らす様になり
「花塩焼き」ともいう。
白蒸し<しらむし>
米(もち、うるち)単体で蒸すものと、
もち米と魚を蒸すもの。
白妙揚げ<しろたえあげ>
卵白の泡立てを入れた衣で揚げるやり方。
別名「白扇揚げ」
白妙酢<しろたえず>
泡吉野酢。
吉野酢に泡立て卵白を入れる。
白妙焼き<しろたえやき>
白酒(もち米・みりんで作る甘い酒)で
つけ焼き、かけ焼きにして魚を焼く。
白八方<しろはっぽう>
うす八方と同じ。
醤油を減らし、塩に代えた八方出汁。
正身<しょうみ>
上身ともいう。
皮、血合い、骨などを取り除いた肉。
陣笠<じんがさ>
さつま芋の切り端。
しんじょう
白身魚の正身をすりつぶしたもの。
蒲鉾などの基礎材料になる。
料理の用途は実に幅広い。
白身以外の素材も多い。
信玄弁当<しんげんべんとう>
信玄考案の信玄袋に入れた野外弁当。
料理屋で簡便な食事として出す。
献立に決まりはない。
新五朗<しんごろう>
福島のいろり料理。
団子をいろり火でたれ焼きにする。
新香<しんこう>
旬の野菜の糠味噌漬けや塩漬け。
一般に漬け物すべてが新香だと思われているが、
たくあんや味噌漬けは「新香」ではない。
新挽粉<しんびきこ>
もち米の粉であり、真挽粉とも書く。
和食では「道明寺」と呼ぶ事が多い。
揚げ、蒸し、口代わりに使うほか、
鮮やかな色にした道明寺を料理の掻敷にも使用する。