料理用語こ
子・卵<こ>
こがらみ、子持ち、云々と使う料理の主に冠詞。
魚の卵が殆ど。
濃茶<こいちゃ>
挽き茶を増量して濃くしたもの。
反対が薄茶。
鯉濃<こいこく>
鯉濃漿と言う。
こいこくの料理作法は種類があるが、一例を。
苦玉(胆嚢)を避けて(鰓下から指三本目にある)
胆汁が身に付いたら洗っても渋みは落ちないから注意。
胴体を輪切りにし、金串を打ち焼く。
それを水から4時間ほど中火で茹でる。
味噌を溶きいれ、薬味を散らして饗する。
他に鯉の洗い、
鯉の糸造り、
鯉丸揚げ、等の料理がある。
濃漿<こくしょう>
鯉、鯛、鯰、泥鰌などを白味噌で気長に煮込んだもの。
甲州煮<こうしゅうに>
ワイン煮。あるいはぶどう果汁煮。
白身魚や肉類。
香辛料<こうしんりょう>
その代表が胡椒。
西洋と異なり日本料理では辛みも含める。
芳香と刺激で料理を引き立てる為に使う。
山葵、芥子、唐辛子、七味、生姜、茗荷、山椒
紫蘇、蓼、韮、葱、らっきょう等。
洋食
セロリ、ガーリック、ジンジャー、パセリ、アニシード、
キャラウェイ、ホースラデッシュ、ナツメグ、マスタード、
マジョラム、ローズマリー、セージ、バジル、タイム、
タラゴン、コリアンダー、チャイブ、ローリエ、ポワロ等。
中華
五香皮、八角、陳皮、五香粉、丁子、杏仁等。
香煎<こうせん>
大麦を煎って粉末にした「麦こがし」
他にもち米の「あられ香煎」、紫蘇の葉の「しそ香煎」
現在は菓子用だが、昔は漢方として服用したらしい。
香の物<こうのもの>
元々は味噌を香と呼んだ。
食品を保存する為の味噌漬けである。
現在は野菜の漬け物全般をさす。
お新香とも言う。
紅白膾蒸し<こうはくなますむし>
主に祝事に出す椀種である。
白髪に打った大根と人参を
それぞれ三つ葉や竹皮で結び
卵白を流した魚皮に並べて蒸す。
甲羅返し<こうらがえし>
酢で柔らかくした蟹の甲羅に材料を入れて料理する。
甲羅揚げ、甲羅焼き、甲羅蒸しもある。
光淋の松<こうりんのまつ>
松、梅、菊などを模った料理。
画家尾形光淋の絵に因む。
黄金<こがね>
黄金、菜の花、山吹を冠した和食料理。
煮、焼き、蒸し、造りなどが付く。
卵黄を利用する場合が多い。
小串<こぐし>
小串物全般を言う。うなぎを指す事もある。
魚の寸法を揃えて串を打ち焼いたもの。
並べ横串の筏をこう呼ぶ人もいる。
小口<こぐち>
材料の端のこと。
そのまま打つと小口切り。
斜めに打つとななめ小口切り。
焦げ湯<こげゆ>
湯桶とも呼ぶ。
煎った米に湯を注ぎ、塩をしたもの。
懐石料理の最後の湯になる。
御講汁<ごこうじる>
伊勢の郷土食で農家の冬料理。
伊勢講、お伊勢参りにも関係した料理。
味噌、豆腐、大根を三日ほどかけて煮込む。
「おこうじる」が正確らしい。
五三の盛り<ごさんのもり>
向こうを五切れ、手前に三切れを盛る刺身の盛り方。
四二(よんにぃ)や五七(やま)などもある。
五色揚げ<ごしきあげ>
野菜を揚げる精進揚げである。
衣を五色にするか、揚げ材料を五色にする。
人参、牛蒡、蓮、薩摩芋、隠元など。
五色蕎麦<ごしきそば>
三月三日の雛祭りの後で供えるもの。
純白の一番粉を青黄赤白黒各色に染める。
青よもぎ、紅、卵黄、卵白、焼き昆布。
現在は殆ど代用品。
呉汁<ごじる>
豆類のすり流し(呉)を入れた味噌汁。
小付け<こづけ>
酒肴として出す少量の料理。
小吸い物<こすいもの>
箸洗いとも言い懐石の終わり頃に出す
あっさりした小茶碗のこと。
舌を洗い、次の八寸を賞味する。
御膳<ごぜん>
元来は天皇に出す食事。
高級を美称する料理の冠詞として使われているが、
使われすぎて廃れてしまい無意味に近い。
小鍋仕立て<こなべじたて>
一人用の小鍋で煮ながら食べる。
明治前の鍋はこれが主流であった。
小町和え<こまちあえ>
朝地和え(切り胡麻和え)のこと。
小町作り<こまちづくり>
イカ刺身の上部だけを紅色に染める。
琉球料理で「花イカ」として多用するのは
火を中心迄通してある。
殺す<ころす>
塩や酢で材料をしめる事。
また料理の味を駄目にする事。
コロシを入れるは、活けじめの意。
現在の板前はあまり使わない言葉。
五味<ごみ>
味の基本で、甘・酸・辛・苦・鹹(しおからい)
近代の和食はこれに旨味を加える。
中国の五行思想が元。大饗宴には五味八珍を出した。
インドは甘味、酸味、塩味、辛味、苦味、渋味の六味。
献立<こんだて>
料理供卓の順序を立てる事。
菰豆腐<こもどうふ>
しぼった木綿豆腐を魚のすり身、山芋、卵白と合わせ
混ぜて棒状にして藁などで包んで蒸す。
包み豆腐ともいう。
権蔵鍋<ごんぞうなべ>
くじら鍋の事。鯨を権蔵という。
婚礼料理<こんれいりょうり>
本膳形式を崩した会席がほとんどである。
古式料理はめったに見る事がなくなった。
縁起の良い料理名を付けること。
恵比寿、名吉、結び、松竹梅などである。
忌み言葉には注意すべし。