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楼主 |
发表于 2011-5-17 14:07:57
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声を震わせながら語る少年。――事件から、一ヶ月後。
森口が家にやってきた。ケータイに電話がかかってきたのが昼過ぎ、最終日の期末テストを終え、すでに帰宅していた僕に、担任は「プールで話がしたい」と言ってきたのだ。
バレた。きっと、あの事故のことだ。心臓がバクバクと脈打ち始め、ケータイを持つ手が震えた。落ち着け、落ち着け……。犯人は渡辺だ。プールに行くと冷静でいられなくなりそうで、僕は担任に家に来てほしいと頼んだ。
「渡辺くんには……」
電話を切る前に、思い切って訊いてみた。
「今、話を聞いたところです。」
担任は静かにそう言った。僕はそっと安堵のため息をついた。大丈夫、大丈夫……。犯人は渡辺で、僕は巻き込まれてしまっただけなのだから。
森口のいきなりの家庭訪問に、母さんは驚いた。僕は母さんにも同席してほしいと頼んだ。 母さんのことだからきっと聞き耳をたてるに違いない。それならいっそ、一緒に聞いてもらったほうがいい。母さんはきっと、僕を信じて助けてくれる。
「下村くんは、中学校に入ってから、普段どんなことを考えていましたか?」
そんなふうに、森口は訊ねてきた。事故の話とは関係ないことだったけれど、僕は全部正直に打ち明けることにした。テニス部のこと、塾のこと、ゲーセンで高校生にからまれたこと、先生が迎えに来てくれなかったこと、僕は被害者なのにペナルティを受けなければならなかったこと、それらがひたすらみじめだったこと。
「下村くんは、愛美に何をしたの?」
ひととおり話し終えて、僕が紅茶を飲もうとした瞬間、感情を押し殺した、静かな静かな声が居間に響いた。僕は静かにカップを置いた。素っ頓狂な声を上げたのは母さんだ。僕がどんなふうに関わっているかもしらないのに、もう興奮して怒り始めてる。僕は渡辺に利用された被害者になりきらなければならない。
僕は森口に打ち明けた。下校中、渡辺に声をかけられた日から、プールサイドで森口の子を抱え上げるまでのことを。全部全部正直にうち明けた。渡辺に裏切られたことがくやしくて、涙が溢れ出してくる。そして、最後に一つだけ嘘をついた。
多分、先に会った渡辺の話と一致していたのだと思う。森口は途中まったく口を挟まなかった。話し終えても、黙ったままだ。テーブルの一点を見つめて、膝の上においた両手をギュッと握り締めている。ものすごく怒っているんだ。かわいそうに。
母さんも黙ったままだ。
「お母さん」
五分くらい経って、ようやく森口が口を開いた。母さんに向き直る。
「母親としては、渡辺くんも下村さんも殺してやりたい思いです。しかし、私は教師でもあります。K札に真相を話し然るべき処罰を受けさせるのは大人としての義務ですが、教師には子供たちを守る義務があります。K札が事故と判断したのなら、今さらそれを蒸し返すつもりはありません」
驚いた。K札に言わないなんて。母さんはさらにしばらく黙っていたけれど、森口に向かって「ありがとうございます」と深く頭を下げた。僕も一緒に頭を下げた。これで、大丈夫。
僕は母さんと一緒に玄関先まで森口を見送った。一度も目が合わないままだったけれど、怒っているのだから仕方ない。たいして気に留めることではなかった。
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