咖啡日语论坛

 找回密码
 注~册
搜索
楼主: ophelia

経済あっとらんだむ

[复制链接]
 楼主| 发表于 2004-10-16 10:41:49 | 显示全部楼层
米国雇用は予想を下回ったが (2004.10.13)

  注目された9月の米国雇用は、大方の予想を下回る9.6万人の増加に止まった。これを受けて米国株、ドルは売られ、米国10年国債の利回りは大きく低下した。これはさらに連休明けの東京市場にも跳ね、株価は大きく下落し、10年国債の利回りは再び1.5%を割り込んだ。



 しかし、今回の米国雇用統計で注目したいのは、雇用の伸びが鈍い一方で、労働投入量が高まっていることだ。9月は前月比0.1%増ではあるが、7月に大きく高まっていたため、7-9月全体では、前期比年率3.2%増になる。前期は年率2.2%増であったから、1%ポイントの加速になる。実質GDP成長率は、この労働投入量の増加率と労働生産性上昇率を足し合わせたものだから、7-9月の労働生産性の上昇率が前期並であれば、7-9月の実質成長率は4-6月よりも1%ほど高まる計算だ。つまり、7-9月期の成長率は4%台半ばにまで高まることになる。成長率が再加速しているとなれば、米国株価は上昇し、長期金利に対しても上昇要因となる。

 仮に生産性上昇率が、最近の傾向に従って低下していればどうなるか。7-9月期の実質成長率はその分だけ低くなるが、その一方で、生産性上昇率の低下は、単位労働コストを押し上げる。賃金の上昇を生産性上昇で吸収できないためだ。昨年は上昇率がほぼゼロであった単位労働コストも、この4-6月には年率1.9%まで高まっている。インフレ率に最も大きな影響を及ぼすこの単位労働コストが、これ以上上昇テンポを高めると、消費者物価、消費デフレータに大きな上昇圧力となる。これは長期金利にとっても上昇要因になる。

 このように、最近の米国雇用は、一頃の勢いがなくなって株式市場に「失望」を与えることが多くなっているが、少なくとも7-9月の労働投入量は前期よりも1%ポイント高まっていることがわかった。これは、労働生産性の結果如何で、実質成長率を押し上げ、景気復調の面から金利、株価を押し上げるか、単位労働コスト上昇の面から金利を押し上げるか、どちらかに落ち着く。そしてどちらに転んでも、金利に対しては上昇圧力となる。
回复 支持 反对

使用道具 举报

 楼主| 发表于 2004-10-16 10:43:41 | 显示全部楼层
原油価格の自律性 (2004.10.13)

  原油価格上昇の影響は、インフレ面と需要喪失によるデフレ面の2面があることは一般にも認識されている。そして昨今の市場の反応は、おもにそのデフレ面に着目され、原油価格の上昇が景気悪化、金利低下要因と捉えられがちだ。最近はWTI先物が一時54ドル台をつけたが、日米の長期金利はむしろ低下した。米国では雇用の伸び悩みも一因とされるが、これも原油価格上昇で企業が先行きに慎重な姿勢をとっているため、と理解されている。

 ところで、原油価格上昇の2面性のうち、そのどちらが強く出るかについては、原油価格がどういう状況で上昇しているのか、それにたいして政策当局がどう対応するかにかかっている。まず、原油価格は、OPECのカルテルをもってしても、需給を無視した値上げはできない。過去2度の石油ショックは、カルテルが力ずくで急激な値上げに出たように見えるが、それとても一般物価の上昇や世界景気の拡大がなければ実現し得なかった。



 今日の価格上昇は、カルテルによる強制的な値上げでなく、需給逼迫を反映した持続的な上昇となっている。つまり、世界の需要が旺盛な中での価格上昇だから、コスト高に直面する企業は、従来以上に価格転嫁がしやすい環境にある。わが国ではガソリン価格の上昇が良い例だ。所得を奪われた消費国市場で価格転嫁が難しくとも、産油国やその周辺地域では所得が高まり、そうした地域への輸出採算は良くなるはずだ。これは原油価格上昇による交易条件の悪化を軽減(財務省の指数では7月でも前年比2.1%の悪化に止まる)し、収益の悪化も軽減する。原油価格が上昇をはじめて既に2年半になるが、それでもわが国の企業収益が堅調に拡大を続けている背景には、この輸出による取戻し効果も無視できない。

 需給逼迫を背景に原油価格が上昇しているとすれば、需要が落ちてくると原油価格も下落する。しかし現在は、市場の景気減速懸念にもかかわらず、原油価格が上昇を続けており、依然として世界の需要は旺盛であることを示唆している。これは原油高がデフレを呼ぶというより、価格転嫁を通じて、インフレの芽が出やすい環境にあることを示唆する。

 次に、この原油価格上昇に対して、政策当局がどうでるか、の問題だ。石油危機当時は日本やドイツが、そのインフレ面を懸念して強力な引き締めを行った。これが需要の冷却を呼んだ面があるが、今回は原油高騰を理由に引き締めを行っている国はない。これも原油高騰のデフレ性発露を抑制する。昨今の市場は、原油高騰のデフレ面に目が向きすぎていないだろうか。
回复 支持 反对

使用道具 举报

 楼主| 发表于 2004-10-16 10:44:27 | 显示全部楼层
市場と日銀のギャップ (2004.10.13)

  日銀の量的緩和策、ゼロ金利政策の持続性について、当の日銀と金融市場との間には、少なからず認識ギャップがあるように見える。少なくとも、当局が考えている以上に、市場はゼロ金利政策の長期化を見ているように見える。

 今月の『展望リポート』発表を前に、日銀はその大きなギャップを埋めるべく、努力の姿勢が窺えるが、日銀短観が出る前は、日銀がやや市場に歩み寄る感があり、短観で業況判断、企業利益などの強さが確認されると、須田委員が従来の日銀スタンスに理解を得ようとの意向が窺われた。つまり、景気は潜在成長率を上回る回復を続けるとの展望と共に、異常な緩和策を続けていると、市場の歪みなどの副作用もある、として出口論を意識させるものとなった。

 市場と金融当局との間のギャップは、ゼロ金利に代表される超金融緩和策の「異常性」認識にありそうだ。市場は、既に5年にも及ぶ超緩和に慣れ、これが「正常な姿」とみ、これを軽軽にいじるべきでない、との保守性に傾く。反面、当局にはゼロ金利は異常事態に対処する「異例な対策」であり、これは市場機能の低下やモラルハザードの問題など、副作用も大きいとの認識がある。だから、経済が息を吹き返し、集中治療室に隔離する必要がなくなれば、「正常な緩和」にシフトすることを考える。今般のFRBの利上げもスイスのゼロ金利解除も、結局は「異常なまでの緩和策」はもはや必要ない、との判断による。

 市場と当局との認識ギャップが大きいままでは政策転換も難しい。その前に当局は時間をかけてギャップ縮小を図るだろう。その調整時間は、少なくとも半年は必要かと思う。
回复 支持 反对

使用道具 举报

 楼主| 发表于 2004-10-24 11:27:33 | 显示全部楼层
ドルは下離れトライ? (2004.10.20)

  しばらく膠着状態にあったドルが、下を見始めた。円に対しては108円台まで下げ、ユーロに対しても1.25ドル台まで売られた。人民元切り上げが早まるのでは、との思惑が出たことも材料視されたようだが、基本的には原油価格の一段高から、米国景気の先行きに不安が募り、貿易赤字も危機的水準に達していることが響いている。

  足元の為替は、円や豪ドルなど、"惑星通貨"に動きが出たのではなく、"太陽通貨"のドルが引力を低下させている。9月の小売は、前月比1.5%増と、予想外の大幅増となったが、自動車の販売促進による面が大きく、これを除くと0.6%増に止まる。また、ミシガン大学の消費者センチメントは、原油高の影響からか、大幅な低下となり、生産も鉱業での増産を除くと前月比減少、住宅着工も9月は前月比6%もの減少となった。



  こうした景気の減速懸念に加えて、8月の貿易赤字が540億ドルにも達したことがドル売りを呼んだ。原油価格が前月に比べて3ドルほど上昇したことが大きいが、原油だけで拡大したわけではない。これを除いても赤字は拡大している。このため、7-9月の実質成長率予想を引き下げるところが出てきていると同時に、この赤字ファイナンスに対する不安も高まりつつある。

  これでドルがいよいよ下降トレンドに入るのか、市場はまだ躊躇がみられる。グリーンスパン議長が原油高の影響に対して楽観的な見方を示したこともあり、つぎのFOMC(連邦公開市場委員会)でどう出るのかに関心が寄せられている。ここでFEDが自信満々に利上げをすれば、ドルを売り込めない。当局が経済の先行きに強気であることを示すものだからだ。反面、ここで利上げが見送られたり、利上げされても慎重なコメントがついたりするようなら、あらためてドルを売ろう、ということらしい。

  しかし、当局による米国経済へのお墨付きが得られるかどうかは本質的な問題ではない。米国への信認を反映した資本流入と、経常赤字とのバランスが重要だ。景気不安で外資流入が減少しても、一方で景気悪化が輸入を減少させ、貿易赤字が縮小すれば、必ずしもドルが下落するとは限らない。同様に、景気が堅調でも、それで赤字が増えるなら、資本のドル買いを貿易のドル売りが上回ってドルが下落することもある。

  はっきりしていることは、ここまで貿易赤字が大きくなると、それ自体持続不可能であり、同時に、今まで以上に米国への信頼を高め、資本の還流を促す必要があることだ。景気に過度の負担をかけずに赤字を減らすためには、ある程度ドルの引き下げが必要だ。また当局が動かなくとも、資本の還流が十分でなければ、市場がドル下げに動く。だから、「利上げをすればドル買い」、とは言い切れないことになる。また、原油高で赤字が拡大した分、オイルマネーが米国に還流しないと、ネットでドル売りが大きくなりやすい。やはりバイアスはドル下げ方向に傾きやすい。米国はアラブ産油国と敵対している場合ではない。
回复 支持 反对

使用道具 举报

 楼主| 发表于 2004-10-24 11:28:51 | 显示全部楼层
政府は日銀の利上げを牽制 (2004.10.20)




  わが国では、政府が改めて日銀に対して、利上げを牽制した。財務大臣は19日、「デフレ傾向のとき、少しでも金利を上げるのは景気に悪影響」とし、小泉首相も「デフレ下で日銀は金利を上げないと思う」と続いた。今月29日に予定されている日銀の『展望リポート』を意識してのものと思われる。

  もっとも、当局の関心が景気そのものにあるのか、政府予算での金利負担にあるのかで、この「金利」の形、意味合いは変ってくる。そもそも日銀が調節する金利は、コール・レートや公定歩合などの短期金利だ。

  これに対して、財務省が予算編成をする際には、景気拡大で税収がどれほど増えるかと言う点とともに、長期金利上昇で国債費がどれほど膨らむかも重要だ。従って財務大臣のいう「金利」には長期金利も含まれるとみられる。さらに、景気に対しては、長短の金利水準のみならず、イールド・カーブ、つまり長短金利の傾斜も影響する。実際、米国ではこのイールド・カーブが景気先行指数の一つにカウントされている。つまり、イールド・カーブが立つと、景気の先行き改善を示唆し、これが寝たり、逆イールドになったりすると、景気は先行き悪化とのシグナルとなる。

  さて、景気と金利負担という二つの未知数が与えられると、一つの方程式で答えを出すためには条件を与えなければならない。景気を最優先するのであれば、短期金利をぎりぎりまで低くして、イールド・カーブの傾斜を立たせる。国債発行で長期国債のウェイトが大きいと、国債費の負担がそれだけ大きくなる。但し、当面短期国債に偏重した形にすれば、金利負担は「先送り」できる。

  一方、国債発行に占める長期国債の比率が高く、何がなんでも長期金利の水準を低くしておきたいのであれば、早めに短期金利を引き上げることだ。昨今の米国に例が見られるが、早めに金利を上げれば、将来の期待インフレ率が低下して、長期金利はむしろ低下する。その分、イールド・カーブがフラット化して、景気にはネガティブとなるが、長い目で見ると長期金利の上昇が回避され、国債費の負担は軽くなる。

  結局、国債発行の期間構造が短期中心か長期中心か、政府が真に景気を優先するのか、財政負担を重視するのか、それも目先の問題だけでなく、長期的視野にたって考えると、果たして日銀にゼロ金利を長期化してもらうことがベストかどうか、検討の余地がある。少なくとも、短期も長期も金利は低いほうが良い、というのは、いつまでも日本がデフレ経済を続けるのでなければ実現しない。まさか政府がこれを望んでいるとは思わないが。
回复 支持 反对

使用道具 举报

 楼主| 发表于 2004-11-1 05:58:19 | 显示全部楼层
中国経済は堅調 (2004.10.27)


  日本の景気に不安材料を投げかけていた中国経済だが、先週末に発表された数字を見る限り、心配は杞憂ということのようだ。7-9月期の実質成長率は1-9月の9.5%成長から逆算すると、前年比9.1%成長となったようだ。4-6月期の9.6%成長からは減速した形だが、昨年は4-6月期にSARSの影響で落ち込み、7-9月には早々に回復していたことを考えると、この前年比での伸び率低下は、必ずしも「減速」を意味するものではない。そして事前の予測値をも上回った。同時に発表された9月の生産も、前年比16%強と、夏場の15%台の伸びからむしろ高まっている。

  この間、インフレ率のほうは、9月の消費者物価上昇率が前年比5.2%の上昇に止まった。引き締め警戒ラインとされる5%をまだ上回っているが、前2ヶ月が前年比5.3%の上昇であったから、ようやく騰勢に鈍化の兆しが見えてきたことになる。しかも、景気が堅調なうえ、原油価格が一段高となるなかでの騰勢一服のため、市場では利上げ懸念が幾分後退した。



  今回の数字が正しいとすれば、中国の景気が懸念されたような減速を見せておらず、思いのほか堅調であったことに加えて、インフレ懸念もやや落ち着き、一段の金融引締めが回避される可能性を示唆している。もとより今日の中国経済は、農村部を中心に億人単位の失業者が控えている。経済の成熟度も、バブル期の日本とは比べるべくもない。こうした中では、部分的なボトルネック型の物価上昇や、原油価格上昇の影響が出ることはあっても、賃金コスト面からのインフレ圧力はかからない。

  日本では戦後の高度成長も、70年代に労働制約が顕在化するまで、約15年にわたって続いた経緯がある。中国の場合、数字が当時の日本ほど整備されていないから、厳密な比較は困難だが、少なくとも公表値で見る限り、高成長に入ってからまだ短期間にすぎず、実際余剰労働力が農村にあふれている。そうした中で、政府が本格的な引き締めで景気を抑制する可能性は小さく、手綱を緩めればまた走り出す経済の推進力が残されている。

  日本にとっての中国リスクは、引き締めや海外需要の減速で経済が弱くなることではない。むしろ、貧富の格差が拡大して共産党政府に対する不満が高まり、あるいは6カ国協議が捗々しくなく、中朝関係が緊迫するなど、社会、政治面の不安定化が高まり、ひいては日本や台湾をスケープ・ゴートにしてくることが懸念される。
回复 支持 反对

使用道具 举报

 楼主| 发表于 2004-11-1 05:59:19 | 显示全部楼层
財政配慮と日銀『展望リポート』 (2004.10.27)



  29日公表予定の日銀『展望リポート』は、既に「来年度2%強の成長に、0ないし0.1%の消費者物価上昇」が織り込まれた。これが半年前であれば、これによって出口論が高まり、長期金利が2%近くまで上昇してもおかしくない結果である。ゼロ金利を続ける上での3条件のうち、少なくとも最初の「数ヶ月ならして消費者物価上昇率がゼロ以上」を満たし、再びマイナスになるリスクについても、潜在成長率を上回る成長予想のもとでは、需給面からは反落のリスクを小さく見ていることにもなるからだ。この2条件がクリアされれば、最後の「総合判断」は如何様にもなる。

  ところが、今日ではこの予測結果を織り込みながらも、「ゼロ金利解除は06年以降」として10年国債の利回りが1.4%台で推移している。半年前の景気回復期待が景気減速懸念に変り、為替が円高傾向となり、日銀が財政再建にはっきりコミットするようになったことなどが影響している。そして政府は社会保険料の引き上げ、税控除の廃止による実質増税に続いて、定率減税の段階的縮小・廃止に向けて動き出した。

  もともと、小泉政権に大きな影響を及ぼしているのは米国ブッシュ政権と日本の財務省だ。株式交換による企業買収、時価会計・減損会計の導入、金融再編、不良債権処理に続いて、郵政民営化(特に簡保、郵貯の分社化)を求めてきたのは米国政府だが、増税による財政再建を進めているのは日本の財務省に他ならない。これに日銀が取り込まれようとしている。

  日銀の福井総裁は22日、財政制度等審議会に出席し、「財政再建と経済活性化の両立」、「国債保有者の多様化」などの注文をつけながらも、政府の財政健全化にエールを送る結果となった。しかし、総裁が注文した財政再建の透明性、経済の潜在力向上、経済活性化は、一朝一夕に実現するものではない。結局、非効率な歳出を温存したまま、増税で帳尻あわせをすれば、それだけ民間経済の負担が高まり、経済成果が低下する。これが株売りを呼び、同時に日銀に対しては、3項目目の総合判断に影響し、緩和の解除を遅らせる、ととられているようだ。

  もっとも、こうした前提のもとでも、来年度の成長率を2%以上と見るのであれば、財政負担が量的緩和の解除を遅らせることにはならない。また消費者物価の上昇を抑制する要素が、需給の弱さではなく、生産性上昇にあるのであれば、物価の上昇幅が小幅であっても、緩和の解除を遅延させるものではない。実際、福井総裁は、26日の凶h院財政金融委員会での質問に答えて、「総合判断」は必ずしも物価がゼロ以上になっても緩和の解除を先延ばしするための方便ではない、としている。結局、日銀が景気をどう見ているか、従って『展望リポート』の成長見通しが重要な意味合いをもつことになる。
回复 支持 反对

使用道具 举报

 楼主| 发表于 2004-11-17 14:54:13 | 显示全部楼层
中国、追加利上げの余地は大きくない (2004.11.04)

  中国はやや唐突ながら9年ぶりに金利を引き上げた。貸出金利は従来の5.31%から5.58%に、預金金利を1.98%から2.25%に、それぞれ同幅の0.27%の引き上げとなった。同時に、貸出金利は、従来、この基準金利の90%から170%の範囲で設定されるようになっていたが、今回はこの上限を撤廃した。

  この背景には、そきに発表されたGDPや生産が依然として高い伸びを続け、中国経済が十分には減速していないことを示し、その中で消費者物価の上昇率がやや減速したとはいえ、依然として5%を超えていること、従って実質金利がほぼゼロで、預金金利は実質ベースで大幅なマイナスになっていたこと、などがある。ここまでの引き締めが、過熱気味の特定業種に対する「行政指導」の形をとっていたが、今般は貸出金利によるマクロ的な対応で、なおかつ上限金利の撤廃とあわせて見ると、より市場型の調節に移行したことになる。その意味では、将来の通貨調整に向けての第一歩と見ることもできなくはない。



  今回の利上げで投資を抑制する効果は限られている。では景気が冷やされるまで米国流の利上げが続くのか。景気が依然として堅調なだけに、追加利上げの可能性は否定できないが、基本的に利上げ余地は余り大きくないと見る。そもそも、消費者物価上昇率が5%を超えているとはいえ、その主因は食品の上昇(足元では前年比14%程度の上昇)で、これは景気が過熱しているためというより、天候不順などによる供給制約による面が大きい。金利を上げれば食事の量が減るというものでもない。家庭用品などは依然として価格下落が続いている。

  また消費者物価の上昇も、7月の5.3%までは一気に上昇してきたが、その後は8月も5.3%と騰勢は頭打ちとなり、9月は5.2%にやや軟化した。しかもこの間、原油などのコストは高まっていた。また懸案の資源価格は、部分的な抑制策もあって、既に価格が下落するものもでてきている。これは、GDPや生産の伸びが示すほど、中国経済が全般的に過熱しているわけではない可能性を示唆している。

  高成長が続いていながら、低所得層の賃金は低位に止まり、貧富の格差拡大に対する不満が募り、また今なお大量の失業者が控えている。こうした中で、必要以上に景気を冷やすのは政府にとってもリスクが大きく、また不良債権を多く抱える銀行にとっても負担が大きい。これらを考慮すれば、ファインチューニング型の引き締めで様子を見、インフレ率が5%以内に収まれば、引き締め姿勢は緩められると考える。
回复 支持 反对

使用道具 举报

 楼主| 发表于 2004-11-17 15:06:51 | 显示全部楼层
量的緩和「長く続けることは絶対にいけない」 (2004.11.04)

  来年度中にも現在の量的緩和が解除される可能性が浮上した。29日の日銀『展望リボート』で、来年度の成長率予想が、中央値で2.5%と、引き続き「需給ギャップがタイト化する」状況となり、そのなかで消費者物価上昇率も、中央値でプラスの0.1%となった。



  これだけでは、市場が事前に織り込んでいたものとさほど変らず、影響は限定的となったところだが、その前日に日銀総裁が、参議院財政金融委員会で発言した内容とあわせて考えれば、この読み方は多少変ってくる。つまり、現在日銀が行っている緩和の枠組みに対して総裁は、「量的緩和政策そのものも、かつて世界の中央銀行がやったことのない異例の政策だ。株式の買い入れ、資産担保証券の買い入れも、いずれもそうだ。これはいずれ脱却していかなければならない。今後、長きにわたってこの政策を続けることは、絶対にいけない。いずれ正常な金利政策にもっていかなければならない」と明確に述べた。

  リポートのなかでは「2005年度内に現在の金融政策の枠組みを変更する時期を迎えるか否かは明らかではない」と留保しているが、これを左右するのは結局経済展望如何とも言っている。来年度の2.5%成長というのは、需給面からマイナス物価に逆戻りする可能性が小さいことを意味し、その後も引き続き回復拡大基調が見込めるのであれば、来年度内の政策変更も可能となる。

  その点、日銀は、このところの労働分配率の低下、売上高に対する債務比率の改善などを評価し、日本経済がかつての三つの過剰による負担から大きく改善したとみている。そうであれば、景気回復の基調は簡単には崩れないことになる。来年10月の『展望リポート』で06年度も潜在成長率以上の拡大が見込めれば、来年末までにも転換は可能になる。



  もっとも、日銀の見通し通りに経済が進むかどうかも要チェックだ。市場には日銀の成長率見通しは楽観的だ、との声もある。しかし、一方では消費者物価については「上振れリスク」がある。03年度のコアCPI上昇率はマイナス0.2%であった。そこから04年度の実質成長率が潜在成長率を2%近く上回る3%台半ばで推移しているにもかかわらず、今年度のコアCPIはマイナス0.2%見込みと、前年並みに止まっている。これは、「需給ギャップが1%改善するとCPIが0.4%ほど上昇する」という理論推計値がおかしいか、物価統計自体が現実と乖離しているか、生産性上昇などで単位労働コストが大きく低下しているか、いずれかによる。

  このうち、日銀は生産性上昇と賃金抑制で単位労働コストが低下している点を評価している。しかし、循環的な生産性上昇率は次第に低下し、一方で労働分配率が既に大きく低下している状況では、今後賞与、賃金の引き上げに向かう余地が出てくる。そうなると、物価抑制の力が弱まるわけで、これまでよりも需給のタイト化、原材料コスト高などが物価に跳ね返りやすくなる。これは、日銀が想定する成長テンポで推移した場合に、消費者物価がもう少し速いテンポで上昇する可能性があることを意味する。

  日銀は、99年にゼロ金利政策を導入して以来、既に5年にもわたる「長期間」異常な緩和策を続け、この間に金融市場の機能低下、モラル・ハザードの醸成など、副作用も目立つようになっている。総裁の「長期間続けることは絶対にいけない」発言には、日銀の熱い思いが込められている。
回复 支持 反对

使用道具 举报

 楼主| 发表于 2004-11-17 15:08:14 | 显示全部楼层
第2期ブッシュ政権~割れる米国 (2004.11.04)

  ブッシュ大統領が接戦を制した。最大の争点となったテロ戦争に対して、国民の支持を得た形になるが、それ以上に宗教選挙の色合いが濃く現れ、米国が真二つに割れた点が気がかりだ。第2期ブッシュ政権が目指す方向は、テロ対策としてはイラク以上に重要な意味をもつ「核兵器封じ込め」戦略に重点が置かれると考えられる。焦点はイラクから北朝鮮、イランへとシフトする。その限りにおいて、「ブッシュ・ドクトリン」による1強型外交戦略が続く可能性が高い。

  これが経済、市場に示唆するものは、基本的に従来路線の継続で、軍事、エネルギー関連向けの支出が高まり、富裕者優遇型税制が続く。従って米系ファンドの哂没Pは変らない。原油の戦略備蓄は7億バレルに目標を高めるため、需給をタイト化させ、原油の高止まりが予想される。景気の急減速はないが、双子の赤字も縮小しない。ニューヨーク市場では小幅ながら、早速株、ドルの買戻しが見られた。もっとも為替については、海外勢の反ブッシュ姿勢には変わりなく、双子の赤字が重石となって、ドルは下げ基調が続くと見られる。

  北朝鮮、中国を対象に、対アジア戦略を強化する中で、日本の位置付けは重要になる。朝鮮半島の緊張が高まると、一時的であれ、円や日本株に脅威となる。これが回避されれば、ヘッジ・ファンド資金などはアジアに向かい、日本の株、円も買われやすくなる。

回复 支持 反对

使用道具 举报

 楼主| 发表于 2004-11-17 15:12:24 | 显示全部楼层
欧米はドル安放置? (2004.11.10)

 ECBのトリシェ総裁の牽制発言を契機に、ドルが小反発したが、それでも市場にはドル安ムードが蔓延している。

 先週末の米国雇用統計が、予想以上に強かったことから、統計発表直後にはドルが買い戻されたが、むしろこれが絶好の売り場となってその後はドルが大きく下落することになった。ユーロは2月につけた最高値をあっさり更新し、一時は1.3ドルに急接近し、これにつられるようにドル円も105円台に突入した。この他、米ドルはカナダドル、豪ドル、英ポンドなどに対しても下げており、ほぼ全面安の形になった。


 予想以上に強い雇用統計の後ドルが大きく下げた事に見られるように、今般のドル下げは、米国経済に対する不安が原因になったわけではない。むしろ、第2期ブッシュ政権で双子の赤字が更に拡大する、との懸念が大きく、強い雇用統計は、この懸念を助長することになった。また、対テロ戦争で強硬路線が予想されるところへ、現にファルージャ掃討作戦が打たれる。これが海外の投資家にドル資産の保有を躊躇させた面もある。



 こうしたドルの下げに対して、トリシェ総裁の警戒発言がでた以外は、極めて平静に受け止められている。米国からは特段のブレーキ発言はなく、日本の産業界からも危機感の表明はない。トリシェ発言に日米通貨当局が追随する状況にもない。

 その背景には、昨年までとは違った環境がありそうだ。まず、欧州では域内貿易のウェイトが大きく、そもそもドルに対するユーロ高の影響は小さい。実際、この域内貿易の拡大を背景に経済の基盤が強くなっており、それだけユーロ高の許容度も高まっている。だから、今回のユーロ高に対するトリシェ発言も「歓迎できない」というマイルドな表現になっている。

 日本についても、産業界は表面的な円高ほど影響は大きくないようだ。まず今年度のドル円の想定レートは、日銀短観によると106円台となっているが、上期が円安気味であった分、下期が103円程度でも年度の前提が維持できる。また、米ドル以外の通貨に対してはむしろ円安気味で、円の実質実効レートは必ずしも円高になっていない。例えば、ドル円は02年春の135円からここまでは20%以上の円高だが、この間、円の実質実効レートは概ね横ばいだ。また、ドル円では今日とほぼ同水準の円高にあった99年末と比較すると、円の実効レートはこの間約20%円安になっている。輸出が米国以外にも分散している企業にとっては、全体としてみると、必ずしも輸出採算は悪化していないことになる。

 最後に米国だが、こちらもドル安の副作用さえ回避されれば、ドル安を利用したいと考えられる。テロ戦争を積極展開する過程では双子の赤字縮小が難しい。既にGDPの5%を大きく超える経常赤字が、このままでは更に拡大するとの見方が増えている。これに歯止めをかけるためには、持続的なドルの下落が必要で、更に縮小させるためには国内需要の抑制か、海外需要の拡大が必要になる。

 このうち、海外需要は原油高の影響も合って、今年よりも減速するとの見方が主流。貿易赤字を縮小させるには、それ以上に国内需要の抑制が必要だが、今日のコンセンサス見通しでは、政策面からはそこまでの策はとられず、来年も3%台の実質成長が続くことになっている。そうなると余計ドルの大幅下落が必要になる。

 ドルの先安感が強まると、米国への資本流入が弱まり、米国株、債券相場の下落も巻き込んだドルの下げリスクも出てくる。その場合は、米国の盟友日本が為替介入でドル資産を買い支えることになるのだろう。
回复 支持 反对

使用道具 举报

 楼主| 发表于 2004-11-17 15:14:27 | 显示全部楼层
米国~生産性から雇用へ (2004.11.10)

  予想外の大幅な雇用増となって、米国は今晩のFOMCも含めて、今後も利上げを継続する可能性が高まった。10月の雇用は、事前には17万人程度の増加と予想されていたが、蓋を開けてみると、33.7万人もの増加となり、市場にポジティブ・サプライズを与えた。

 一部には前月までのハリケーンの影響が指摘されているが、復興需要があったと思われる建設業界の雇用は7万人の増加に止まっている。ここでの上仱护蚩紤]してもなお強い数字であったことは間違いない。この裏で注目しておきたいのが、生産性上昇率の鈍化だ。今回の景気回復局面においては、生産性上昇率が高かったため、成長率が高い割に雇用の増加には結びつかない面があった。



 ところが、この7-9月期の米国生産性上昇率は、年率1.9%の上昇に止まった。前期の3.9%上昇から大きく減速したばかりか、90年代平均の年率2.1%も下回った。以前この欄で紹介したように、7-9月期の労働投入量は前期より1%ポイント高まっていたが、その割に当期のGDP成長率は3.7%と、前期(3.5%)とあまり変らなかった。成長率は労働投入量の伸びと生産性上昇率とを足したものとほぼ等しいから、同じ成長率でも、生産性上昇率が低くなれば、それだけ雇用を増やすか、労働時間を長くしなければならない。7-9月期は、久々に生産性上昇率が低くなったので、同じ3%台の成長率でも、以前より多い雇用の追加が必要になったことになる。

 雇用の増加需要が高まると、労働者のバーゲニング・パワーが高まるので、次第に賃金にも上昇圧力がかかってくる。短期的には雇用増、賃金上昇で消費にプラスの面がでるが、企業の側から見ると、労働コストが高まる。それも生産性上昇率で吸収できないと、単位労働コストが高まり、長期的に企業の収益力を圧迫すると共に、製品価格に転嫁する必要性も高まる。これが顕在化すると、消費者物価はそれだけ高まることになる。今回の大幅な雇用増加は、この面からもFRBに利上げ圧力をかけることになる。

 10月の米国雇用大幅増は、10-12月期の需要堅調のシグナルでもあるが、同時に生産性上昇率が鈍化してきた分、雇用にまわる分が大きくなったことを示してもいる。
回复 支持 反对

使用道具 举报

 楼主| 发表于 2004-12-6 13:01:36 | 显示全部楼层
景気不安要因要チェック (2004.11.17)

  政府は『月例経済報告』で、景気の一部に弱い動きもある、として景気判断を下方修正した。実際、先週は機械受注統計、GDP統計と、相次いで予想を下回る数字が出て、景気の不安感が広まった。しかし、これらとは裏腹に、株価はその後反発した。日本株の出遅れ感もあるが、景気の悲観論と市場の受け止め方に、いくつかのギャップがあることも事実だ。

  今日の景気悲観論の背景には次のような不安がある。まず原油価格高騰の影響が所得の大幅な流出をもたらすこと。次に米国や中国の景気が金融引締めの影響もあって減速し、日本の輸出にマイナスの影響をもつこと。また、ハイテク分野などを中心に、在庫調整の圧迫が予想されること。更に円高で企業収益が圧迫され、デフレ圧力が高まること。おまけに、定率減税の縮小・廃止に、消費税引き上げ論議が出て、消費を圧迫すること、などが重なっている。



 しかし、これらの不安は多分に行過ぎている感がある。まず原油高だ。WTIが大幅な上昇となったことから、その悪影響が懸念されたが、WTIは原油価格の代表的な尺度とするには難がある。例えば、WTIは昨年末の30ドル前後から、先月には一時55ドルまで25ドル(83%)も上昇したが、現実に日本に入ってきている価格はずっと小幅な上昇に止まっている。例えば、昨年7-9月期の輸入原油価格は、1バレル3,360円であったが、この7-9月は4,100円程度だ。上昇率は83%でなく、22%だ。これは日本経済が吸収できない数字ではない。

  これには二つの理由がある。一つは油種間格差の拡大だ。WTI現物の生産量が少ないところへ、米国がその3分の1程度を戦略備蓄用に買い上げていたために、ここでの需給が異常にタイトになっていた。ここに投機資金が流入したから、WTI先物が一時55ドルをつけたが、その時のドバイ・ヘビーは39ドルで、16ドルもの価格差が実現していた。もう一つの要素が為替。ここへきて為替が円高になっているため、現地価格の上昇を、水際で抑えることが出来た。足元では原油価格も落ち着き、為替は一段と円高になっているから、入着ベースの原油価格上昇は、日本の景気回復を損なうほどのものにはならないだろう。

  その為替だが、前にもここで示したように、ドル以外の通貨に対して円が安くなっていることも有り、実質実効レートは極めて安定している。ドルに対しては円高気味だが、自動車などは米国での現地生産がレベルアップしており、日本や米国から欧州に輸出すれば、むしろ為替のメリットが享受できる。また長い目で見ると、円高傾向の時に海外資本から株買いが入って日本の株価は上昇しやすくなっている。

  次に海外景気。中国の追加利上げ並びにその景気への影響が懸念されているが、10月の消費者物価上昇率は、前年比4.3%に鈍化し、利上げへのトリガーとされる5%を下回った。これで追加利上げの圧力は後退した。一方、10月の生産が前年比15.7%増と相変わらず高い伸びを続け、同じ10月の小売は同14.2%増と、こちらは伸びが再加速している。中国経済の減速懸念はここまでのところ杞憂の感が強い。

  米国景気も、選挙へ向けての景気対策は既にガス欠となっているが、10月の雇用が大幅増となり、消費マインドも11月はミシガン大の消費者センチメントが大幅改善を見せている。今後はドル安を活かして輸出の拡大を図ろうとの意図も窺える。来年に向けて米国景気は減速が予想されるが、消費、輸出が下支えをすれば、急速な景気悪化は回避される。

  最後に日本での増税の影響だが、定率減税の縮小廃止は、元来消費よりも貯蓄の減少をもたらす。実際、かつては税込みの名目総収入に対して、消費比率は安定傾向が見られた。それでも近年は貯蓄率が低下しており、貯蓄での増税吸収力が低下しているとすれば、定率減税廃止による3.3兆円の増税のうち、1兆円程度が消費圧縮に回る可能性はある。

  一方で生前贈与の非課税限度額が2,500万円にまでに引き上げられ、高齢者の潤沢な貯蓄が若年層に還流しつつある。今年はこれが2兆円近くになる可能性がある。また、企業の労働分配率が、製造業ではバブル以前の水準にまで低下している。そのなかで、雇用もパートタイマーから正社員雇用へシフトする兆しが窺える。これが本格化すれば、増税効果を雇用賃金の増加で、ある程度は軽減できる。

  相次ぐ台風や地震の災害で、一時的に生産活動が停滞した面はあるが、これらもいずれ復興需要をもたらす。昨今の株価反発は、このところの景気悲観論が行き過ぎである可能性を示唆しているのではないか。
回复 支持 反对

使用道具 举报

 楼主| 发表于 2004-12-6 13:04:09 | 显示全部楼层
金価格は88年以来の高値 (2004.11.17)

  金価格がオンス440ドルと、1988年以来、16年ぶりの高値をつけた。金は元来、その絶対的な価値の評価ゆえに、基軸通貨ドルと裏表の関係にある。つまり、ペーパー・マネーの代表であるドルの信認が低下したり、ドルを持ちにくくなったりするような状況になると、資産はドルから金にシフトし、金価格上昇、ドル安が進行する。



  かつて70年代後半にカーター大統領のもとでドル不安が嵩じたが、ここで金価格は大幅な上昇を見せた。今回も、01年半ばからドルがユーロに対して下落を見せ始めたあたりから、金価格が上昇に転じている。それだけに、この金価格の16年ぶりの高値更新は、それだけドルへの不安が高まっていることの証左でもある。

 ペーパー・マネー・ドルの信認が揺らぐケースとしては、第一に戦乱の世となって国の体制がどうなるかわからないときに、ペーパー・マネー全般に不安が高まり、金にシフトすることがしばしば見られる。中東や欧州など、歴史的に紛争が繰り返された地域で、金への需要、保有が高い。

  第二に、世界的なインフレが進むときに、ペーパー・マネーの減価を避けるために、つまりインフレ・ヘッジの観点から、絶対的な価値を評価される金へのシフトが進む。

  第三に、基軸通貨ドルに何らかの不安要素が高まるケースで、為替市場でドル安が進むようなときに、金もドルの代替資産として買われやすい。

  今般の金価格上昇の背景としては、このうち中東での紛争拡大とドルの下落リスクが大きいと考えられる。米国の双子の赤字拡大によって、市場にはドルの引き下げ不可避、との思惑が広がっている。イラクではファルージャに続いて、今度は北部でも武装勢力による大規模な反抗が起き、戦火は広がりつつある。またワシントン・ポスト紙などによれば、9.11テロ以降、米国を中心にテロ資金の封鎖凍結の動きが広がり、その対応策として、アルカイダなどがドル資産から金やダイヤなどで資金を保持している、との報もある。いずれにせよ、ブッシュ政権の政策スタンスが大きく転換しない限り、ドル資産離れと、その裏返しの金価格上昇が続きそうだ。
回复 支持 反对

使用道具 举报

 楼主| 发表于 2004-12-6 13:06:37 | 显示全部楼层
  市場のドル資産離れに理解? (2004.11.24)

  グリーンスパン議長のフランクフルトでの講演をきっかけに、米国市場はトリプル安の展開となり、ドル円は一時102円台に突入した。「米国の経常赤字の規模から見て、いずれドル資産への投資意欲が減退するとみるのは説得的だ」とし、為替介入については「持続的な効果をもたない」として切り捨てたことが効いた。

 この動きを見て、日米首脳会談ではブッシュ大統領から「財政赤字削減に努め、強いドル政策を維持」と、日本への配慮発言がみられたが、これは従来からの「常套句」でもあり、市場の反応は限定的であった。週明けの市場では、ドル安の流れが継続し、米国株の大幅下落から、各国の株式市場にも下げが連鎖することになった。

    


 もとより米国の「強いドル政策」とは、ドルの上昇を志向するものではない。ドルが下落しても、世界で信認をもって利用される、ということが重要で、キーカレンシー(基軸通貨)としての地位を確保することに他ならない。米国にとっての理想形は、ドルが下落して米国の競争力が高まり、一方で石油取引や金融取引など、世界の商取引においてドルが使われる状態を維持することだ。

 具体的に言えば、ドルがユーロに対して下落することは構わないが、基軸通貨をユーロに取って代わられることには、強い警戒感を持っている。だからこそ、エネルギー支配力を高め、世界に米国の軍事力、警察力を誇示することで、ドルの基軸通貨としての地位を確保しようとしている面もある。

 そのうえで、グリーンスパン発言は、政策当局の間でも、巨大な双子の赤字是正にはドルの引き下げが不可避、との認識が広がっていることを示唆する。グリーンスパン議長はかねてより「米国の不均衡は市場が調整する」との立場を示していたが、今回はあらためてこれを確認した形で、しかもこれが「危機を伴わずに」是正できる、との自信ものぞかせた。

 ドル資産離れは既に現実化している。資産は強い通貨でもち、負債は弱い通貨でもつのが鉄則。その点、将来の人民元切り上げが広く一般的に予想されるに至って、中国では投資家のみならず、一般個人のレベルでもドル預金を引き出して人民元に置き換える動きが伝えられる。ドルの下落がコンセンサスとなれば、こうした動きは世界規模で生じる可能性がある。

 グリーンスパン議長が指摘するように、ここまでのところはドル資産離れと「危機」は分断されている。米国10年国債の利回りは引き続き4.2%程度に止まっている。今後世界規模でのドル資産売りが起こったときに、果たしてFRBによる流動性管理、金利操作で「危機」が回避できるのか、週明けの株価下げ連鎖は、一抹の不安をのぞかせたようにも見える。いずれにしても、太陽通貨ドルの引力低下に任せるとすれば、惑星通貨の一つである円にも上昇圧力が高まり、いずれ100円割れとなる可能性が高い。

 その点、円が独歩高になるならともかく、今回は太陽通貨ドルが惑星通貨に対して、ほぼ全面安となる。日本の輸出に占める割合が3割の米国ドルに対して円高となるが、他の惑星通貨に対しては円高ではないので、貿易ウェイト考慮後の円高率、つまり実効レートベースでは、ドルに対する円高率の3割にすぎない計算となる。生産や貿易の国際分散が進んでいる今日、この影響を過度に悲観する必要はない。
回复 支持 反对

使用道具 举报

您需要登录后才可以回帖 登录 | 注~册

本版积分规则

小黑屋|手机版|咖啡日语

GMT+8, 2024-6-11 04:56

Powered by Discuz! X3.4

© 2001-2017 Comsenz Inc.

快速回复 返回顶部 返回列表