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お茶の水女子大学教授の相原茂先生が日中文化の違いを語る
1,名前
まず名前の呼び方が違います。ほかの言語と比べるとわかりますが、英語やフランス語、日本語では名前の発音は同じですね。例えば、はなさんなら、『HANA』ですね。けれども中国語では、『華(HUA)』という読み方になります。自分の名前の中国語読みを知らないと、万一中国でパスポートを落として呼び止められたとしても、自分だと気づかない場合がありますから、十分気をつけましょう
2,割り勘
ワリカンは中国語で『AA制』といいます。中国ではワリカンの習慣がなかったのですが、最近では特に若い世代の人たちが、『今日はワリカンにしよう』ということが増えてきました。これは『面子(メンツ)』の問題でもあるんですが、基本的には誘う方がごちそうする、ということが多いですね。男性が女性を食事に誘う場合は、たいてい男性が払います。はなさんの質問、『女性から誘った場合は?』については、女性が支払う場合もありますが、まあ男性が払う場合の方が多いのではないでしょうか(笑)。
日常会話の中では、『ご飯食べようか。じゃあ12時にしよう。』『OK。ありがとう。』というように、始めに誘った方が相手にご馳走することが暗黙の了解となっているため、受ける方も「ありがとう」と礼をいうわけです。
3,あいさつ
中国語には決まりきった挨拶文句がありません。もちろん、『おはようございます』『こんにちは』はありますが、相手の行動を描写することも挨拶のひとつであり、普段はこちらを使う場合が多いですね。例えば、朝出かける途中なら『これから仕事ですね』『これから学校ですね』『お出かけですか』というように、相手が通勤、通学、出かける状態を描写します。『ちょっとそこまで』と、答える側もさほど詳しくは答えません。『ごはん食べた?』『買い物に行くの?』『学校帰り?』これらはみんな挨拶言葉になります。
つまり、相手の行動を描写するイコール相手の存在を認める、ということなのです。ですから相手の名前を呼ぶことも挨拶になり得ます。ちらっと姿を見かけたら、個人の名を呼ぶ。これは単に親しみを込めた挨拶のときもありますから、近づいていって『何?』と言わないようにしましょう
4,お箸
日本ではお箸は横に並べますね。これはお茶碗を持って箸をつけやすくするためです。またテーブルには取り箸が置いてある場合があります。
中国では円卓にお箸を並べる場合は縦に置きます。これは前にある大皿料理をとりやすくするためです。日本の箸より長く、箸先がとがっていないのは、相手のお皿に料理をとりわけるためなのです。『料理をよそう=人に箸を向ける』、ということですから、とがっていると危ないのです。
テーブルマナーの違いには、他にもいろいろありますから、その時々で覚えていくといいですね。
5,贈り物
中国では人に何か物を贈る時、そのためにどれだけ労力を費やしたかということを相手に伝えます。『見つけるのにあちこち探して大変だった、これはとても高級品、有名店でしか手に入らない』、というように、いかに相手のことを思って苦労したかをきちんと伝えます。
日本では『つまらないものですが』、と謙遜していいますが、これは中国では使ってはなりません。持ってきたおみやげを、持たせて帰らせるのもよくありません。日本では食べずに余ったお菓子等を持たせることがありますが、中国では残り物としてとらえられるので、タブーです。
中国と日本、お互い私たちは顔つきは似ているけれど、違うところも多いのです。日本で通用することが中国の人には通用しないこともありますし、それらが無礼になることもありうるので、気をつけないといけませんね。
6,【返信用封筒】
基本的に切手は貼りません。相手に貼ってもらうのが常識。相手の人を切手も買えない人だとみなすようで、失礼にあたります。
【恩をすぐ返す】
日本人はすぐに恩を返したがる。プラス、マイナス、ゼロの関係でいつもいたいのだと思います。例えば、いくつか果物をもらったとする。そうすると次の日にはそれ相当のお菓子、もしくは果物等をお返しする。あまり早くお返しがくると、『はい、もうこれで関係は終わり』という感じを受けますね。来日したばかりのころは、『そこまでの関係ですよ、あなたとのつながりはもうないですよ』と言われたような気分になることがしばしばありました。
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