『七夕伝説・おりひめとひこぼし』
=中国の伝説=[/ALIGN]
■天の川の東の宮殿(きゅうでん)に、ひとりの美しい娘が住んでいました。天帝(天をつかさどる神)の子でしたが、父のいいつけで、毎日毎日、明けても暮れても、"はた(布をおる機械)"を織っていました。彼女の名前は織女(しょくじょ:おりひめのこと)といいました。
織女の織る布は、雲や霧(きり)のように薄く、むらさきいろをした布で、着物にすれば、雨や雪にもぬれず、真冬に着れば、綿も入っていないのに暖かく、真夏にきれば、風がなくてもすずしいという素晴らしい布だったのです。
織女は、毎日この布をおりつづけ、女の子らしく着飾ったり、化粧をしたり、髪の毛をきれいにとかしたりといったこともしませんでした。これには、さすがに、きびしい父もかわいそうに思い、天の川の西に住む牽牛(けんぎゅう:ひこぼしのこと)によめいりさせることにしました。
すると織女は、こんどは結婚の楽しさに夢中になってしまい、父の言いつけを放り出して、毎日鏡の前で化粧をしたり、髪をとかすようになりました。
父である天帝は、とうとう腹をたてて、織女をむりやり宮殿へ連れ戻しました。そして、1年に1回、7月7日の夜にだけ、天の川をわたって、夫の牽牛に会いに行くことをゆるしたのです。
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