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★ふしぎ工房症候群9 [卒业]★台本+訳文

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发表于 2007-1-6 18:59:07 | 显示全部楼层 |阅读模式
ふしぎ工房症候群9 [卒业]

~語り:緑川光

01-        prologue

日常で起こる些細で不可思議な出来事、それが人の思考と行動に影響を与えていく過程と結末を知りたいとは思いませんか。この物語はあなた自身の好奇心と願望に基づいて構成されています。ともすれば身をとしてしまいがちないつもの風景の中にあなたが不思議工房を見つけることができるようにお手伝いしましょう。

02-親友からの手紙

 「久しぶり。もうだいぶ会ってないけど、元気にしてる?君のこと考えたらちょっと手紙書きたくなっちゃって、最近昔のことをよく思い出すんだ。一緒に遊んだ頃が懐かしいな。覚えてる?僕が小学校に転入してきて、最初に声掛けてきてくれたこと。ずっと忘れてないよ。すぐに仲良くしてくれて本当に嬉しかった。学校の隣の公園で夜遅くまで遊んで迎えに来た親にひどく叱られたこともあったよね。あの公園は今でも思い出の場所だよ。中学高校も一緒に楽しく過ごしたね。でも、君が大学に行くことになって街を出る時は、正直寂しかったな。就職決まったって聞いた。おめでとう。君のことだからきっとすごい仕事をすると思う。僕の尊敬する人だし、今でも君を誇りに思っている。応援してるからね。気が向いたら手紙でもください。また会えたらいいね。その時が来るのを楽しみにしています。」
「手紙、ありがとう。あれから時間ばかり経っちゃって本当にごめん。仕事も始めてみないと分からないけど、とにかく頑張るよ。それでさ、もう少ししたら冬休みだから、年末に一回そっちに帰ろうと思う。全然帰ってなかったからさ。そしたら、一緒にあの公園に行ってみようか?久しぶりに会うの楽しみだな。じゃ、また。」

 親友からの手紙。その返事をポストに投函して、空を見上げた。空気がしんとして都会には珍しく透き通るような青空が広がっている。ふと飛行機雲の向こうに、彼の顔と懐かしい郷里の風景が浮かんだ。僕は帰省するかどうか迷っていた。いや、本来なら帰れない。大学に入ったものの目標もなく、一年の夏には勝手に休学届けを出してしまった。親には元気に学校に通っている。学費は自分で払うから心配ないと嘘をつき、アルバイトをしながら適当に生活している。もちろん就職なんて決まっていない。どうしてこんなことになってしまったんだろう。自分でもよく分からない。僕には輝かしい未来が約束されていたはずだ。それを自ら捨てて、無気力な生活に甘んじるようになった。それはそれで気楽に生きられるから、満足していると自分に言い聞かせてみるが、空しいだけだったりする。あまりに周りに期待されすぎて、僕はそのプレシャーに耐えられなかった。そのくせ、みんな裏切ったことを知られたくなくて、こうして都会で一人気ままに暮らしている。情けないと思う。かといって、どうこうしようという気力は生まれない。このまま適当に生きていけばいいじゃないかという、もう一人の自分の声が聞こえてくる。今の僕は親友に尊敬され、誇りに思われる立場になんかないんだ。そう思ったら泣けてきた。久しぶりの彼の手紙が心に痛い。僕のほうこそ彼を尊敬している。彼こそ僕にとって乗り越えなきゃいけない大きな存在だった。なのにどうして僕は

03- 「転入生」

 彼と初めて会ったのは小学校五年生の時だった。転入生として紹介された時、一瞬教室がざわついた。彼は重度の小児麻痺で左手と左足が思うように動かない。それは誰が見ても明らかだった。それでも彼は一生懸命に歩き、教壇の前に立つと胸を張って自己紹介し、仲良くしてくださいと頭を下げた。その姿に僕は幼心に感動した。ハンデを背負ってもたくましく生きている。そんな印象だった。でも子供は素直で残酷だ。異質なものを見る目付きで誰も彼に近付こうとしない。「ヤー」僕は教室で一人ぼっちになってる彼に声を掛けた。それから振り向いてクラス全員に仲良くしようと呼び掛けた。自分で言うのもなんだが、成績は学年で一番、スポーツ万能でクラス員長もやっていたから、誰もが僕に従った。その僕を彼は羨望のまなざしで見詰めていた。今思えば、心のどこかで優越感に浸っていた。何より感動したというのは実は嫉妬だったように思う。大人顔負けの偽善者だったかもしれない。一方、彼は驚くほど素直で真っ直ぐな性格だった。困難をものともしない強い心を持っていて決して自分を恥じるような素振りを見せなかった。それが僕には眩しく、いってみれば最大のライバルが現れたと直感したのだ。誰にも負けてはいけない。両親や周りの人間に期待されて育った僕に僅かだが焦りが承知だ。普通なら彼を敵視することもあるだ ろう。だが、僕はそうしなかった。彼の側にいることで自分の優秀さをアピールするという作戦に出たのだ。本当に嫌な子供だった。だが、彼と一緒にいればいる ほど僕は彼の純粋さに打ちのめされる結果となった。放課後はよく二人で学校の隣にある公園で遊んだ。校門が閉まった後はそこが絶好の遊び場で僕は彼をそこに招待したのだ。しかし、木の枝を折ったり花を抜いたりといたずら僕を決まって彼がたしなめた。その度に僕は口を曲げた。学校ではできない密かな楽しみを奪われた気がして、頭に来たからだな。同時に言い付けられると思う恐怖もあって黙った。しかし、彼は決してそんなことしなかった。ある日、公園の管理人 から学校に苦情が入った。いたずらしている児童がいると教室で先生からそれを告げられると、僕は心臓が止まりそうになった。みんなの前で恥をかきたくないという思いが頭を駆け巡り、青ざめで下を向いていると不意に僕ですという声が聞こえた。顔上げると彼が席から立って、ごめんなさいと先生に頭を下げていた。 虫取りをしていた時のことだった。僕がカマキリを殺して遊んでいると、いきなり彼に突き飛ばされた。何をするんだと睨みつけると彼は命は大切だからといって 涙を流した。道を歩いていても彼は困っている人を見つけると、躊躇なく助けようとする。横断歩道で老人の手を引いたり、重い荷物を持ってやったり、お前のほうがよっぽと大変だぞとずっと思いながら、僕は慌てて彼を手伝った。彼に聞いたことがある。なぜそんなことまでやるのかと。彼の答えは僕を圧倒した。「僕は人の 役に立ちたいんだ。こんな体でも役に立てるって、世の中に必要とされているって思いたいんだ。じゃないと、僕が生きている価値がなくなっちゃう。それが怖いんだ。」正直すごいやつだと思った。と同時に、こいつには勝てないのではと心の底で思った。今まで陰で助けてもらっているくせに、嫉妬で我を失いそうになって、この時は彼をおいて家に帰ってしまった。普段はみんな、彼のことを僕の子分かなんかのように思っている。しかし、実は対等以上に彼の存在が大きく、それに自分で気づくことさえいやだった。

[ 本帖最后由 抹茶兔 于 2007-1-6 11:06 编辑 ]
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 楼主| 发表于 2007-1-6 18:59:33 | 显示全部楼层
04-「事件」

 彼の犯では他にもあった。生まれながらに心臓患っていて、あまり激しい運動はできない。体育の時間はもちろん、運動会も見学するしかない。そんな彼は本当に一生懸命に人を応援する。トラックを走っている僕にはいつも彼の声援が聞こえていた。中学生になってサッカー部に入った時も彼はいつも応援に来てくれた。一年生でレギュラーを獲得し、大会に出ることが多くなって遠征しても常に彼はスタンドの中にいた。このごろ、僕は有頂天になっていた。世界が自分を中心に回っているとさえ思うようになった。その時に思わぬ事件が起きた。学校の廊下で仲間と話してる時、そのうちの一人が言った。「なあ、なぜあいつとあんなに 仲良くしてるんだ。お前みたいなやつがちょっと信じられないな。」「いや、だってかわいそうだろう。俺が相手にしなきゃ誰も相手にしないだろう。」そう言って視線を上げた時、仲間の肩越しに彼の顔を見て僕はぎょっとなった。今の話を聞かれたという思いと言い訳をしなくちゃという思いは一度に重なって、僕は思わず声をあげた。「あ。」僕のしまったという顔を見て彼は何も言わずに背を向けると、足を引きずりながらその場を立ち去った。そしてそれ以来、僕に近付こうとしなくなった。日々にいらいらが募った。最初は後悔していたが、時間が経つと逆にだんだん腹が立ってきた。あれだけ仲良くしてやったのに、あんな態度を取るなんて、自分のことを棚に上げて僕はプライドが傷つけられたと思い込むようになった。ある日の放課後、僕は待ち伏せしてついに彼を捕まえた。木陰から現れた僕に一度は驚いた顔をして、またすぐに立ち去ろうとする彼の腕を掴んだ。
「待ってよ!なぜ避けるんだ?そりゃあの時はあいいたけど、決して本気じゃ...」
「違うんだ。」
僕の言葉を遮ってから彼は俯き、陰に行った。
「違うよ。避けていたわけじゃないし、あの言葉だって気にしてなんかない。」「え?だって。」
僕には意味が分からない。彼は今度真っ直ぐに僕を見ていた。
「いや、気にしてないと言ったら嘘になるかも。僕はね、むしろ君に甘えている自分が分かって、恥ずかしくなったんだ。もう迷惑をかけない。足手まといになるのはやめよう。そう決めたんだ。」
「そんな勝手に!」
「勝手なのは僕のほうだ。ずっと一人ぼっちだったから、仲良くしてくれて本当に嬉しかった。でも、僕はもっと強くならなくちゃいけない。強くなったら、もう一度君に友達になってくれというつもりだったんだ。だから...」
「やめろ!」
彼の言葉を最後まで聞く前に叫んでいる自分がいた。ほかに適当な言葉が思いつかなかった。僕はがっくりと膝を落すと、苦しそうに呻いた。
「やめろよ!そんなふうに言うなよ!」
恥ずかしかった。死んでしまいたいくらいに恥ずかしかった。顔が真っ赤になっているのが分かる。頬が涙で濡れている。悔しい涙だった。こんな時に反省するどころか悔しがっている自分に飽きれた。ますます顔が赤くなる。絶対こいつに勝てないと思った。こんなに真っ直ぐなやつを前に、自分が惨めでならなかった。体裁を取り繕い、格好をつけてあまつさえ有頂天になって人を傷つけている自分が許せなかった。もうずっと前から気づいていたくせに。それを認めようとしない僕は最低の人間だった。
「やめてくれよ!」尚蹲る僕に彼はどう声を掛けていいか分からずに呆然としていった。

05- 「別れ」

 この時を境に僕たちは本当の親友になった気がする。お互いに支え合う存在になった。そして忘れもしない高校の卒業式の日、僕は進学のため町を出る。 彼は地元に残る。その日はずっと一緒にやってきた僕たちの別れを意味していた。お互いに何か記念になるものを交換しようということになった。僕たちは卒業式が終わると、体育館裏で掛け声と共にそれを出し合うことにした。「セーノ!」彼の手には小さなバケツが僕の手には小さなスコップが握られていた。どちらも同じキャラクタ-が描かれているものだった。初めて出会った頃、どうしてもそれがほしいと思っていた僕に彼が一緒に買おうと言い出した。お小遣いを出し合って買ったセット―砂場で穴を掘ったり砂を運んだり、土を掘って虫を入れたりした万能セット。ついになっていて、二つなければ役に立たないそれを僕たちはいつも持ち寄って遊んだ。「確かに記念品だ。」もう高校卒業するというのに、そのあまりのがらくたさ加減にお互い顔を見詰めて笑い転げた。でも、そのがらくたは確かに僕たちの記念品だった。「後、これ。」一頻り笑った後に彼が封筒を渡して寄越した。「何?」「開けてみて。」何だろうと思って封を切ると手紙が入っていた。冒頭に始めて会った時から好きでしたと書かれてある。僕は仰天した。まさか、これはラブレター。しかも、彼から僕に。そんな趣味がないぞ。やばいことになった。こんなことになるなんて、僕は一体どうすればいいんだ!うろたえる僕を尻目に彼がにやにやしながら言った。「いやだな!何か勘違いしてない。ちゃんと読んでみてよ。」恐る恐る手紙に目を通すと最後に女子の名前が書いてあった。「え?」顔を上げると、彼が視線を横に向けた。その先に木の陰に隠れるようにしてこっちを見ている女子の姿が見えた。後輩のサッカー部のマネージャだった。「そういうこと。」そういって、彼は僕の制服の第二ボタンを引きちぎると、それを手渡して、「早く言ってあげなよ。」と僕を促した。「余計なことして。」僕はしぶしぶ彼に従う振りをしたが、実は内心嬉しかった。ずっと僕の片思いだと思っていた。最後に思いだけでも伝えたいんだ。そう彼にだけは打ち明けていたから。機転を聞かせてくれるだろう。またしても一本取られてしまった。数日後に町を出た。大学が始まるまでまだ少し間があったが、早く都会の生活に慣れたがったし、準備も怠りたくなかった。駅に見送れに来た彼と最後に握手を交わした。「元気でね。偶には帰ってくるから。」「うん、待ってるよ。僕だけじゃなく、彼女もね。」にやりとする彼の隣に目を真っ赤にしてハンカチを握り締めた後輩の子がいた。電車が動き出したら、彼女の姿が見えなくなった。きっとホームの陰で泣いているのかもしれない。彼が手を振って叫んだ。 「元気でね!」僕も叫んだ。「夏休みには帰ってくるから!」彼は何度も手を振っていた。僕も彼の姿が小さくなって見えなくなるまで手を振り続けた。そして、それが彼との最後になった。

06-「無力」

 大学生になって、僕はすぐにも自分の無力を思い知らされた。都会の生活になれるのは大変だった。時間の流れが速すぎる。人も多すぎる。不慣れな一人暮らしが一層不安を狩り立てた。授業についていくのも精一杯だった。頭のいい奴らが全国から集まっている。サッカー部にも入ったが、僕の技術のと高が知れて いた。高校まで成績優秀、スポーツ万能と持てはやされたのに、ここでは何にも通じない。その恐怖感が一気に襲ってきた。田舎で自由気ままにのんびり育った僕には都会の競争社会で戦っていくだけの精神力が欠けていた。そのうち、学校に行くのがおっくうになって、家に閉じこもるようになった。夜になるといつも布団の中で振れていた。夢の中に郷里の風景が現れて目が覚める。生い茂った木に連なる山々、どこまでも広がる空、夕焼けと赤とんぼ。ここにはそのどれもない。汗をびっしょりとかいている。なぜ僕はここにいるんだろうとぼんやり考えては涙を流した。こんなに自分が孤独に弱いなんて、知らなかった。一人では何もできないなんて気付かなかった。思いを起こせば、これまで僕の側には家族が、友達が、そして彼がいた。体調を崩し、病院に通ったら、五月病だと言われた。 ホームシックにかかっている自分がいる。あまりに情けなくて呆然にとした。何度も彼に電話をかけ、愚痴を聞いてもらおうと思った。弱音を吐こうと思った。でも、それは僕のつまらないプライドが許さなかった。親にも言えなかった。期待を裏切ることが恐かった。いつしか僕は投げ遣りになっていた。

07-「懐かしい声」

 親からの電話は適当に相槌を打って切る。彼女にはまったく連絡を取っていない。惨めな自分を知られたくなかった。時々彼からの手紙が来る。元気にしているかと。もちろん元気だと返事を書く。偶には帰ってこないのかと聞かれれば、忙しくてと嘘をつく。彼はまめに手紙を寄越す。そのうち、面倒になって返事もあまり出さなくなった。ところが、ある日、不意に彼から電話が来た。受話器を取った僕の耳に懐かしい声が聞こえた。 
「もしもし。」
「あっ、久しぶり。」
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 楼主| 发表于 2007-1-6 18:59:50 | 显示全部楼层
08- 「後悔の念」

 また無意味な時間と日々が流れる。そして、本来なら卒業を迎える前の年の暮、彼からあの手紙を受け取った。本当に昔を懐かしんでいる彼の姿が思いを浮かぶ。でも、僕は帰れない。にもかかわらず、どうして帰るなんて返事をしてしまったのだろう。近況かなと思ったら、昔のことばかり書かれているので僕もつい 懐かしくなってしまったに違いない。そんなことを考えながら日々を費やしていると、年が明け、気付くと季節は春に差し掛かっていた。すると、ある日、思いもよらぬ電話が入った。母親からだった。「もしもし。あ、母さんか。大丈夫、元気だよ。そのうち帰るから。えっ!」わが耳を疑った。彼が危篤状態だというのだ。突然倒れ、病院に運ばれたが、意識が戻らない。もともと心臓が弱かったところに、仕事の無理がたたったらしい。僕は受話器をおくと、取るものも取らずにアパートを飛び出した。そんなバカなという 思いが頭を駆け巡る。手紙では元気そうだった。それが何故急に!いや、ずっと無理をしていたに決まっている。彼は自分のことよりも人のことを考える性格だ。老人介護の仕事は重労働だと聞く。彼はあの不自由な体でしかも心臓が弱いくせに、頑張りすぎたに違いない。なんとか生きてくれ!彼を思う気持ちが胸に締め付ける。そして後悔の念が僕自身を責め立てる。何故年末に帰らなかった。そうしたら彼の様子に気付いてあげられたかもしれない。きっと疲労困憊をしていたんだ。だからあんな昔を懐かしむような内容の手紙を寄越したんだ。僕は自分のことばっかりで、少しも彼のことを気遣おうとしていなかった。もし間に合わなかったら~頭に過ぎったその言葉に僕を打ちのめされそうになった。そんなことになったら、一生後悔することになる。何故、何故年末に帰らなかった!自分を 責める言葉の反芻に頭の中で悲鳴が上がり、波打つ心臓の鼓動に押し潰されそうになって僕は胸を抑えて思わず呻いた。
「死なないでくれ!」

09-「彼の死」

駅に着くと母親が迎えに来ていた。急いでタクシーに乗り込む。しかし、タクシーが向かった先は病院ではなかった。「ま、まさか!」僕の問いかけに終始無言のまま母は俯いていた。タクシーが泊まったのは彼の家の前だった。呆然としている僕を彼の母親が出迎えてくれた。 母親が僕を見るなり、目に涙を一杯ためてハンカチで口を覆いながら僕の手を取った。通された部屋に彼は静かに眠っていた。顔には白布がかけられていた。その布を取って母親が彼に呼びかけた。「お前に会いに来てくれたのよ」と。僕は彼の顔をじっと見た。ただ眠っているように見える。「おい、冗談だろ?」彼は眠ったままだ。安らかな寝顔をしている。「冗談だと言ってくれ!」僕は彼にすがって泣いた。涙が止まらない。横で彼の母親のすすり泣く声が聞こえる。母親が何か言っている。「この子はあなたに出会えて本当によかった。こんな僕でも仲良くしてくれる友達がいる。いつもそう言ってた。あなたのことを自分のことのように自慢して、とても嬉しそうな顔をしてた。あなたに支えられてこの子は本当に幸せだったと思う。」途切れ途切れに聞こえる言葉の一つ一つが僕の胸を締め付ける。心が叫び出しそうになる。違う、違うんだ!支えられたのは僕のほうなんだ!彼がいたから僕はやってこれた。でも、町を出てからは駄目になってしまった自分がいる。結局、彼が側にいなければ僕は駄目なんだ。一人では何もできない駄目な人間なんだ。だから、だから~僕は彼にすがったまま、いつまでも泣き続けた。結局僕は四年の空白さえ埋めることができずに、大切な親友を失った。

10-「ふしぎ工房」

 納棺、通夜、葬式と僕はずっと彼の側にい続けた。火葬場では彼とともに、僕の頭の中まで灰になる思いだった。四十九日が終わってもアパートには戻らず、実家でぼうと暮らした。外に出ることもせず、単に家にいるだけの生活の中で、僕はますます無気力になっていた。大学に行ってないことも就職が決まってないことも家族にばれた。父親に思い切り殴られ、一家の恥と罵られても、もう痛みも何も感じなかった。僕は引きこもるどころか、生きた化石のようになっていた。そんなある日、部屋を片付けていると押入れの奥から新聞紙に包んで大事に仕舞い込んでいた記念品が出てきた。高校の卒業式の日に彼と交換したプラスチック製の小さなバケツ。しばらく眺めていたら、その何も入っていないバケツがまるで自分の心と同じように思ってきた。バケツの中に物を入れてくれ るスッコプの持ち主はもう、いない。ふと公園のことを思い出した。幼い頃よく彼と遊び、そしてまた一緒に行こうと約束した公園。最後の約束だけは守りたい。その思いに駆られて僕は公園に行ってみることにした。公園は家から1キロほど離れた小学校の隣にある。僕はバケツを手に持って、とぼとぼと通いなれた道を 歩いていたが、小学校の手前まで来たところで、風変わりな店が目に入り、思わず足を止めた。「こんな店、あったかな。」見た目は民家のようにも思えるが、入口と思われる引き戸の横に看板がかかっていて、「不思議工房」と書かれてある。戸板に筆で 殴り書いたような文字でまるで道場の看板のようだった。工房とあるからには何か作って売っているのか。それにしても、不思議とは何だ。四年も経てば町が 変わっていてもおかしくはないが、この町に関しては以前と何も変わっていない。そう思っていたから尚更興味が湧いた。引き戸を開けると、足元に小さな黒猫がいてニャーと鳴いた。僕にはまるでいらっしゃいませと言っているように聞こえた。見渡すとがらんとした倉庫の中の ようだった。本当に何か売っているのかと首を傾げていたら、ふいに声がした。「いらっしゃい。」声のするほうに顔を向けると、部屋の中央に大机があってそこに座っている人の姿が見えた。薄暗かったので初めは分からなかったが、目を凝らすと老人だった。
「あの、ここでは、何か売ってるんですか。」
怪しげな店だなとは思ったが、地元だという安心感も手伝って、思い切って尋ねてみることにした。すると老人はこう答えた。
「ここでは幸せを売っております。」
よく意味が分からない。幸せを売るとはどういうことだ。こうなったらとことん聞いてやれ。
「あの、どうやって買えばいいんでしょうか。」
「もうご注文は頂いております。」
「え?」
僕は何も注文した覚えはないぞという目付きで老人を見た。そもそもこの店に入ったのは今日が初めてだから。注文の仕様がない。そう訝しんでる僕にかまう様子もなく、老人は目の前に新聞紙に包まれた物を差し出した。
「これは?」
「半年前、あなたのお友達が来て注文されていきました。」
「友達?誰が何を注文したというんですか。」
僕は少々苛立っていた。あまりにわけのわからないことを言うこの老人に、僕の不快感をあらわにした。
「お友達はあなたを助けてくださいと。」
「そその友達って。」
言い様はないうちに、目の前の新聞紙を乱暴に剥ぎ取った。すると、中から古びた小さなスコップが出てきて僕は思わず声をあげた。「あ。」僕は そのスッコプを握り締め、そのまま床に崩れ落ちた。彼がここに来たのだ。そして、僕の幸せを注文したのだ。彼は知っていた。僕の苦しみを。あの電話で僕の苦悩を見抜いていたのだろう。そして、思い出の公園に一人で行った。スコップを持って、公園で僕の心の穴を埋めようとでも考えたのだろう。そうすることで癌をかけようとしたのだろう。その途中でその店を見付け、中に入って老人にスコップを託した。僕の幸せを願って。
「彼はお前さんを尋ねようとも考えた。だが、もうその体力すらなかった。だから、精一杯願うことしかできなかったんだよ。」
老人の言葉を聞いて、僕は咽び泣いた。彼だって相当つかれきっていた。もう自分が長くないことも知っていた。本来なら誰もが自分の幸せを願うはずだ。それでも、僕の幸せを願ってくれる。そんな人間にはもう絶対巡り合うことがない。何よりその彼はもうこの世にいない。この店がどんなにいかがわしい所だったとしても、何の効力もないいんちきだとしても、わらにもすがる思いでこの老人に思いを託したのだ。
「さあ、行きなさい。」
老人の声に涙と鼻水でグシャグシャになった顔を上げた。
「ど、どこへ?」
「お前さんが行こうとしていた所へ。」
老人はそう言って僕を外へと送りました。帰り際に請求者と書かれた封筒を渡された。僕にはそれは何だろうと考える余裕さえなかった。ふらふらしながら、あの公園へと向かった。手にスコップとバケツのセットを持って。

11-epilogue

公園に着くと、しばらくベンチに腰掛けてぼんやりした。すると小学校の体育館から「仰げば貴し」の歌が聞こえてきた。子供たちが合唱している。卒業式、小学校の卒業式を思い出した。卒業式の帰り道、二人でこの公園に寄って遊んだ。中学校、そして高校の卒業式の日にはここで思い出話に花を咲かせた。僕 はふと腰を上げ、砂場に向かった。スコップで砂を掘り、バケツに入れてみる。バケツは砂でどんどん埋まっていく。擦り切れ一杯まで砂を入れてから、そこにスコップを挿してしばらく眺めて、その時ふと老人に渡された封筒のことを思い出した。封を切ると中から次のように書かれた紙が出て来た。

「これからは自分の力で心の穴を埋めていきなさい。それを商売の代償としてご請求申し上げます。」
-不思議工房

 僕は砂の入ったバケツを持ち上げた。ずっしりと重みが伝わってくる。少し歩こうとしたら、躓いて砂が零れた。また砂を入れている。そして、ここで初めて気付いた。そうだ。穴が空いたら何とでも埋めればいいんだと。体育館では「仰げば貴し」の歌が続いていた。僕はこれまでの自分を卒業しなければならない。彼のためにも。公園からの帰り道、会ったはずの不思議工房がもう、そこにはなかった。
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 楼主| 发表于 2007-1-6 19:00:16 | 显示全部楼层
01-序

日常生活中发生的,细微而不可思议的事情。在人的思考和行动的影响下,它们将会有怎样的发展与结局,你不想知道吗?这个故事,是由你自身的好奇心与愿望所构成的。为了让您能够在熟悉的风景中寻到不可思议工房,让我来帮助您吧——

02- 挚友的来信

久违了。好久不见,身体还好吗?一时想起了你,想给你写封信。最近,我经常回忆起过去的事情。跟你一块玩耍的日子真令人怀念啊。你还记得吗?刚转来这所小学时,你第一次跟我搭了话。我一直忘不了。我们很快成了好朋友。我真的很高兴。那时在学校附近的公园玩到很晚,父母找过来时,狠狠地训斥了我们一顿。那座公园,现在也觉得很是怀念呵。初高中也一起快乐地渡过了呢。不过,当你离开这儿去读大学时,说实话,还是感觉有些寂寞。听说你决定好工作了。恭喜你。你从来都是如此优秀,肯定找到了很不错的工作吧。我一直都很敬佩你,现在也是以你为荣。我会永远支持你的如果方便的话,给我回个信吧。
希望还能再见到你。我期盼着重逢的那天。

谢谢你的来信。拖到现在才回信,实在对不起。工作是自己做了才了解其中滋味。不过,我会加油的。还有,很快就要放寒假了,我想年末回来一趟。这些年都没有回去过嘛。到那时,再一起去那座公园吗?
期盼着与你的再会。下次见。

是挚友的来信。我将回信投入邮筒,抬起头仰望天空。空气很清新。头顶是城市里少见的蔚蓝天空。突然,飞机飞行后留下白痕的远方,浮现出他的面容,还有令人怀念的故乡。我有点犹豫,要不要回去。不……本来我是无法回去的。尽管进了大学,却毫无目标。大一的夏季,轻率地提交了休学申请,骗父母说我每天都去好好上学,自己能支付学费,所以别担心。可实际上,我一边打工,一边随意地生活着。自然,也没有定下什么工作。为什么会这样……自己也不是很清楚。我本该有着美好的未来。然而,却自己放弃了它,沉沦于颓废的生活中。当然,这样也过得很轻松。满足于这种生活时,不禁想责问起自己,但只有觉得空虚。周围的人们对我期待太高,我也承受不住那种压力。因而不想让大家知道,我辜负了他们的期望。于是就这样,一个人随意地生活在这座城市里。真是没出息……却没有改变的勇气。同时也听到另一个自己说,就这样随便生活下去吧。现在的我,根本不配让挚友仰慕。这样想着,眼泪流了下来。看着他久违的来信,感觉很难受。应该是我来仰慕他……他才是我不得不超越的存在。而我为什么……


03- 转校生

初次见到他时,我还在读小学五年级。当老师介绍说他是转学生时,班里一下子砸开了锅。他患有重度小儿麻痹症,左手和左脚无法自由活动,这谁都看得出。然而,他仍努力地走动,站在讲台上,挺起胸膛地做了自我介绍。“希望我能和大家好好相处。”他说着,低下头。他言行举动感动了我幼小的心灵。他留给我一种不怕困难,坚强生存下去的印象。然而,孩童的天真却是如此残酷。大家都用种异样的眼光看他,谁也不愿意靠近他。 “你好”我向教室里孤零零的他打了个招呼。然后返过身时,全班同学都向他说了句,“大家一起好好相处吧。”尽管不好意思自己说出口,但当时我的成绩在全年级都是拔尖的,而且运动万能,同时还是班级委员,全班同学都很仰慕我。他用羡慕的眼神望着我。现在想起来,当时自己心中隐隐地潜存着某种优越感。觉得他并不是钦佩我……更多是嫉妒吧。或许自己是个连成人也要甘拜下风的伪善者。而他的性格坦率得让人不敢相信。他的心灵如此坚强,完全不把困难当一回事。也从来没有表现出什么自卑之意。对我来说,他是如此耀眼的存在。说起来,自己算是感觉到最大的劲敌出现了。绝不能输给任何人。从小就生活在父母及他人的期待中的我,也稍稍感到了点焦躁。一般来说,站在我的立场上,或许会敌视他吧。但我却没有。因为我暗暗制定了一个作战计划,和他在一起,更能衬托出自己的优秀。我真是无耻的孩子啊……
但是,跟他在一起的时间长了点后,我慢慢被他的单纯所感染了。放学后,两人经常一起去学校旁的公园里玩耍。校门锁了后,那儿就成了我们的乐园。我带他去了那。但是,当我淘气地折树枝、摘花时,他总是提醒我不要这样做。那时我总有点不屑一顾,感觉他剥夺了我在学校里无法得到的小小快乐。也许一时火气上来了。但同时又怕他去告状,于是什么也没说。可是他从来没有这样做过。有一天,公园管理人向学校告状说,有小孩在公园里淘气。老师在教室里跟我们说这件事时,我感觉自己的心脏都要停止跳动了。脑袋里只想着不能在大家面前出丑,脸色大变,低下头去。然后突然听到一个声音说:“是我。”抬起头时,他从座位上站了起来,向老师低头道歉:“对不起。”还有在抓虫子时发生的事。我在折磨螳螂时,他突然撞了过来。我瞪着他问:“你干什么?”他说生命是最宝贵的,然后竟哭了出来。走在路上看到有困难的人时,他总是毫不犹豫地上去帮忙。牵着老人的手带他走过人行道;帮人背重行李。 “你这自己也好不到哪里去吧。”我想着,慌忙跑过去帮忙。曾问过他为什么要做到这份上。他回答让我震惊了。 “我想做点对别人有益的事。尽管身体成了这样,也希望能帮助别人。想证明这个世界还需要我。不然的话……我就没有活下去的意义了。……我害怕这样。”老实说,当时觉得他很真的很不可思议。同时也从心底感觉……自己或许赶不上他。一直以来我都得到了他的救赎,但此时,自己却几乎迷失于嫉妒中。于是我丢下他一个人,独自回家了。大家一直以为他是我的小跟班。但实际上,他的存在仿佛比自己还要重。而且,自己甚至不愿意承认这点……

04-事件

他的身体还有别的毛病。他患有先天性心脏病,不能参与激烈运动。体育课与用说,运动会上也只能在一旁观望。然而他却拼命为大家加油。我在跑道上向前冲刺时,总能听到他的加油声。读初中时加入足球部之后,他也总过来为我加油。初一时就取得了正选资格。后来比赛越来越多,甚至去外地比赛时,他总是坐在观众席上。这时,我骄傲自满得很。甚至以为世界以自己为中心转动。就在那时,发生了一件意想不到的事情。在学校走廊上跟朋友聊天时,其中有人问: “你为啥跟那家伙混得这么熟?你这样优秀的人居然……真不难相信。” “他太可怜了。我不理他的话,就没人理他了。”说着,我抬起头,没想到在那些朋友的肩膀后看到了他。我一时愣住了。他肯定听到了刚刚的话,我得去解释。这些两种想法一同交织在我的脑海里。我不由叫出了声音。 “啊……”看到我一脸慌然的样子,他沉默地返过身去,拖着脚步离开了。日子一天天过去,他再也没靠近我了。我越来越不安。刚开始还有点后悔,但时间一长,反倒觉得有点生气了。我都对你这么好了,你却对我那种态度。我佯装不知自己的错,一味只想着他伤害了我的自尊心。某天放学后,我在路上进行埋伏,终于等到了他。我从树荫下走出来。他惊讶地看着我,然后又打算逃走。我抓住了他的手腕。
“等等,为什么故意避开我?上次我是有点过份了,但那只是玩笑啊……”
“不是的。”他打断了我的话,低下头,说。 “不是的。我没有故意避开你,也没有在意你当时说的那些话。”
“……呃?但是你……”我不明白他的意思。
然后,他直直地迎着我的目光,说:“不对……说不在意也许是谎话。或许是我发现自己太依赖你了,实在很惭愧。不想再给你添麻烦了……不想再拖你的后腿了……我……这样下定了决心。”
“怎么能这样随意决定了……”
“是我自己擅自决定的。
我从来都是一个人,很高兴能跟你成为好朋友。但是,我要更坚强点才行……我想……等我变坚强了点后,再次跟你成为朋友,所以……”
“别说了!”
我没有听完,大叫着打断了他的话。实在想不出什么合适的话语。我颓然地跪了下去,痛苦地呻吟起来。
“别说了……别再这么说了……”很愧疚。愧疚甚至想去死……我的脸涨得通红,脸颊上沾满了悔恨的泪水。在这时候居然还不知道反省,只是一味的悔恨……我真的无药可救了。脸涨得越来越红。自己绝对赢不了这个人……看到他这般直率,不由感觉自己越来越渺小。我无法原谅自己……自认是天才而自鸣得意,只知道装腔作势,狂妄自满而只会伤害别人的自己。很久以前就已经察觉到了……然而自己却不愿意去承认。我真的太差劲了。
“别说了……”
我就那样半跪在地上。他不知道该如何应答,茫然地看着我。


05-离别

这件事之后,我感觉我们成为了真正的好朋友。彼此成了对方的精神支柱。永远也忘不了高中毕业那天。我将离开小镇,去往外地读大学。而他留在家乡。那天,即意味着我们的分别。于是我们想交换一点小纪念品。毕业典礼结束后,我们在体育馆内倒数着时间,一同拿出了自己的纪念品。
“一二三。”
他手中是一个小小的水桶,而我手中握着一个小小的铲子。这些东西,正是我们的写照。初次相遇时,我说很想要那个,他说,我们一起买下来吧。两个人用零花钱一起买下来的一套工具。能用它们能在沙滩上挖洞,运送沙子,掘土放虫子进去,真算是万能工具了。而且,两件工具得在一块使用才能发挥效用,于是我们一直带着它们玩耍。
“真的是纪念品呢。”
都是高中毕业的人了,还送这种小玩意儿,两个人都看着对方的脸,大笑起来。
但这些小玩意,确确实实是我们的纪念品。
“还有,这个。”笑了一会后,他把一个信封交给了我。
“什么?”
“拆开看看吧。”
我正疑惑着这是什么东西,拆开信封后,看到里边是一封信。茫然中,看到上面写有一句“从第一次见到你的时候起,我就喜欢上你了。”我脸色骤然变了。难道这是……情书?而且……是他写给我的……?!我可没这种嗜好,这下糟了……怎么会发展成这样,我该怎么办。他斜眼看者惊慌失措的我笑着说: “真是的,你想歪了吧?好好读完。”我有些担心地读完信,最后的署名却是一个女生的名字。啊……抬起头时,他的视线转向了远方。有个女孩像是躲在树阴后,望着我们这边。那是我的学妹,足球部的经理。 “就是这么回事。”说着,他把我校服的第二粒纽扣扯下来,再交给我,催促我说:“快去跟人家说吧。” “真是多管闲事。”我表面上装作不情愿地顺了他的意思,但实际上,心里很高兴。我一直以为是自己单相思。最后,至少想告诉她我的真实感情。这件事我只跟他说过,是他帮我创造了这个机会吧。又被他抢先一步了……几天后,我离开了小镇。离大学开学还有一段时间,但我想尽快适应城市的生活,同时也想多准备一下。他来车站送我,我们最后握了下手。
“保重,有时间我会回来的。”
“恩,我等你。不只是我在等你,还有她。”
在微笑的他身边,学妹脸涨得通红,手里紧捏着一枚手帕。电车开动时,已经看不到她的身影了。或许在车站上哭了吧……
他挥着手,大声喊道:“保重!”
我也喊着:“我暑假会回来的!”
他一直挥着手。我也一直挥手,直到他的身影消失不见。这是我与他最后一次见面。
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 楼主| 发表于 2007-1-6 19:00:34 | 显示全部楼层
-06 无力

进入大学后,我立刻感觉到自己的无力。好不容易才适应了城市生活,时间流逝得太快,人也太多。不习惯一个人生活,更加重了我的不安。勉强才能跟上老师的讲课,全国上下有很多头脑聪明的人都聚集在这。曾也加入了足球部,但我的水平实在不值一提。到高中为止,我一直以成绩拔尖,运动万能而自豪。在这儿却完全行不通。这种恐惧一下子向我袭来。从小就在乡下自由自在地长大的自己,如今却不得不费尽心机在城市的竞争社会里生存下去。不久后,我感觉去上课也是受罪,于是将自己禁闭在房间里。晚上总缩在被窝里颤抖着。梦中出现了故乡的风景,然后醒过来。繁茂的树林。延绵的山脉。一望无际的天空。夕阳下的红蜻蜓。这座城市里,什么都没有。汗水浸湿了我的全身。恍然中想着,为什么自己会在这里……然后不禁流下了眼泪。从不曾察觉,自己竟是如此懦弱而孤独,一个人什么都做不到……回想起来,以前家人,朋友,还有他,一直都在我身边。感觉身体不适而去医院看病时,医生说我患的是五月病。(注1)仿佛得了思乡病。觉得自己太没用,一直陷于茫然自失的状态中。多次都想给他打电话,抱怨一下自己的生活,讲点什么发泄的话。但是,我那无聊的自尊心却不容许自己这样做。也没法跟父母说。害怕自己辜负了他们的期望。不知从何时起,我开始敷衍地生活了下去。

07-令人怀念的声音

父母的电话也随便说上几句就挂了。和女友完全没有联系过。不想让他们知道自己如此没用。有时他会写信给我,问我还近况。自然,回信中写着一切都好。当他提到,偶尔也回来一趟吧的时候,我只能撒谎说太忙了。他经常写信给我。后来觉得腻烦了,我也很少回信了。但是,某一天,他突然打电话给我。我拿起听筒,一个令人怀念的声音在耳边响起。
“喂。”
“啊……好久不见。”
“对不起……这么突然给打你电话。不知道你发生什么事了。”
“没事……我才应该道歉,没来得及回信给你。”
“最近……怎么样?”
“怎么样……”
话语一时哽在喉咙中。听到他的声音,我不禁回想起了那些往事。我想……向他坦开心扉,把一切都告诉他。然而又不知道从何说起,只在那儿小声地呜咽。
“怎么了?”他慌忙问道。
“没……没什么。听到你的声音,觉得很怀念,所以……”
“发生什么事了?如果方便的话,跟我说吧。”
“真是的,我都说了没事了。对了,家乡那边的人还好吗?”
我转移了话题。之后又聊起了高中时代的朋友,老师的事情,一味地沉溺在回忆中。谈到那个学妹时,他说她最近结婚了,离开了小镇。听到这儿,自己也放下心来。到现在都没有她的音讯,这也是情理之中的事。又略觉有点寂廖。他说他在养老院工作,还跟以前一样,说自己想要为别人出份力。再次感觉到,他真是个好人。比起他,我真是……挂断电话前,他最后说了句:“别勉强自己。”我敷衍着说:“我没有勉强过自己。”
当时我不明白,那时他为什么会说这话。放下听筒,发了一会呆。他的那句“别勉强自己”一直都在脑海里徘徊,我不禁流出泪来。他一定是从我的反应中感觉到了点什么。但是我没有再说下去,所以他也就此作罢,只留下了这句话。我深深感觉到他的体贴,回过神来时,枕头被哭湿了一片。给他打个电话,把一切都告诉他吧,然后回家乡去。就这样……这样就好。再这样下去也无济于事了。我好几次想去拿起听筒,却又犹豫了。我终究没有勇气承认自己受挫,将一切坦白。


08- 后悔的念头

无所事事的时间和日子一瞬而过。本来应该是毕业前的那个岁末,我收到了他的那封信。真很怀念……眼前又浮现出他的身影。但我无法回去……可是自己为什么答应了要回去啊……本以为他会问我近况怎样,没想到上面只写了些过去的事情。想必是自己也不禁怀念起过去了吧。我一边想着这些事,一边打发着日子。很快,到了新年。等我察觉到时,已经快到春天了。然后有一天,我接到了一个意想不到的电话。是妈妈打给我的。
“喂。是妈妈啊。没事,我很好。过几天就会回来的。……呃?!!”
我几乎要怀疑的耳朵。他现在正处于病危状态……?!突然昏倒,被人送到医院后,到现在还没有恢复意识。似乎是本来心脏就不好,还勉强自己工作。我放下听筒,什么都顾不上,飞奔出了公寓。
一种不祥的预想涌上了心头。信上写着一切都好,那为什么突然就……?!不对……他定是一直在勉强自己。他的性格就是这样,从来都是先考虑别人。听说养老院的工作很繁重。他身体本来就差,而且心脏也不好。定是撑得过了头。一定要活下去……我心中满是担忧,然后,后悔的念头也向我袭来。为什么年末没有回去……如果当时回去了,也许就能注意到他的情况。他定是已经很疲累了。所以才在信中写到那么多怀念过去的事情。我只顾着自己,完全没有在乎他怎么样。如果赶不上的话……脑袋里尽是这种想法,我几乎要崩溃了。如果真的没赶上,我一生都后悔的。为什么,为什么年末没有回去……陷于自诘与反省中,在脑海中悲怆地呼唤着。悲哀如浪潮般狠狠地拍打着我的心扉,心脏像要破裂开来一般。我攥着胸口,禁不住呜咽地哭了出来。 “千万不要死……”

第九轨 他的死

到达车站时,妈妈过来接我。然后飞速地乘上了出租车。但是,出租车并没有开往医院。难,难道……妈妈一直俯下身子沉默着,没有回答我。出租车停在了他家外头。他的母亲出来迎接了呆然的我。他母亲一看到我,眼中立刻溢满了泪水。用手帕捂着嘴抽泣,抓住了我的手。他安静地躺在房间里,脸上罩着一层白布。掀开布后,他母亲呼唤道:“他来见你了。”我盯着他的面容。他仿佛只是沉沉地睡了下去。 “喂……别开玩笑了。”他就这么睡着,表情安详。 “谁来告诉我这不是真的……”我伏在他身上,哭出声来。眼泪止不住地往下掉。他的母亲也在一旁抽泣着。她像是说了些什么。
“这孩子能遇到你……真的很幸福。他总是说,还有人愿意与这样的自己成为好朋友……他一直以你为荣,说到你的时候,总是一脸欣喜。我想……有你支撑着他,这孩子真的已经很幸福了。”
断断续续的话语,一个字个字无不抽动着我的心。我想大声叫喊出来。不是……不是的!!是他支撑了我……因为有他在,我才能这样坚持下来。但在离开小镇之后,自己却完全不行了。终究,他不在我身边的话,我什么都做不到……自己是什么也做不成的无能之人。所以……所以……我就这么伏在他身上,不停地哭泣。我终究无法填满这四年的空白。失去了最珍贵的挚友。


10- 不可思议的工房

入棺。守夜。葬礼。我一直都守在他身边。我感觉自己仿佛同他一起在火葬场烧成了灰烬。过了四十九日(注2),我还是没有回公寓去,就在家里茫然地打发日子。将自己关在家中,完全不出门,自己越来越虚弱无力了。同时,家人也知道了我没有去大学,更没有定下工作。爸爸气得揍了我一顿,骂我是一家之耻。但我已经感觉不到疼痛了。我将自己禁锢于家中,几乎成了活动的化石一般。就这样,某一天整理房间时,在抽屉里发现小心地包在报纸里的纪念品。高中毕业仪式那天和他交换的塑料水桶。盯着它看了一小会,骤然感觉自己的心,已经和那个空空的水桶一样。往水桶里放入铲子的人已经不在了。突然想起了那座公园。小时候经常和他一起去玩耍,并且约定下次一起去游玩的公园。我想履行这最后的约定。在这一想法的驱使下,我去了公园。公园位于离家一公里的小学旁边。我手上提着水桶,无精打采地走在熟悉的路上。来到小学校门口,突然看到一家奇怪的店,我不由停下了脚步。这儿有这么一家店么……?看起来像是普通的住房,在像是入口一样的拉门旁边立有一块招牌。上面写着“不可思议工房”。门板上的字迹很是潦草,像是道场的招牌一般。 “工房”的话,是做些什么东西拿出来卖吗。然而“不可思议”又是什么意思……过了四年,发生什么变化也是情理之中的事。然而家乡的小镇却完全没有改变。这样想着,更觉得好奇了。拉开门,脚边有着一只小黑猫,“喵”地叫了一声。我感觉它好像在说:“欢迎光临”。里面像是空荡荡的仓库。我探过头去看看,是不是真有东西卖。突然听到了一个声音:“欢迎光临。”我把视线转向声音的出处。然后看到房间中央摆着一张大桌子,有人坐在那儿。周围有点昏暗,一开始看得不是太清楚。仔细一看,那是一个老人。 “那个……这儿是卖什么东西的呢?”尽管感觉这家店有点可疑,但这儿毕竟是自己熟悉的家乡,没什么可害怕的。于是就直接问了一句。然后老人回答说:“本店出售的是幸福。”不清楚他的意思。出售幸福是指什么?干脆问个明白吧。 “那个……我该如何买?” “你已经订购了。”“咦?”我疑惑地望着老人,自己明明没有订购过什么啊。何况今天才第一次来到这家店,怎么可能订购。老人并没有在意我的惊愕,将裹在报纸中的东西递给了我。 “这个是……?” “半年前,你朋友过来为你订购的。”朋友……到底是谁为了我订购了什么东西?我感觉有点不安。这老人说的话太奇怪了,我也不由地表现了出自己的不快感。
“你的朋友说,要我来拯救你。”
“那,那个朋友难道……”我还没说完就胡乱地扯掉了眼前的报纸。然后,看到里面的一把小铲子,我不由叫出声来。“啊——”我紧握着那把铲子,无力地跪倒在地上。他曾来过这儿……而且为我订购了幸福。我的痛苦,他都明白……他从那个电话中看穿了我的心思。然后,一个人带着铲子来到了回忆的公园。或许他是想在公园中填满我心中的空白。想用这种方式来为我祈愿罢。然后,在途中发现了这家店铺,走进里边,将铲子交给了老人。祈愿着我的幸福……
“他曾想过去找你。但那时他已经没有那个体力了。所以他只能为你祈祷。”
听完老人的话,我痛哭起来。他已经是筋疲力尽,也清楚自己剩下的时间不多了。本来这时候,应该是别人为他祈祷。然而他却祈祷着我的幸福。从今以后,不可能再碰到像他这样的人了……因为他已经不在这个世上了。想必他当时已经顾不上去想这家店如何可疑,如何阴郁了。就算是陷阱也心甘情愿地陷下去,将一切交给了这个老人。 “好了,你走吧。”老人说。我抬起头,脸上眼泪与鼻涕交织在一起。
“……去哪?”
“你想要去的地方。”老人说完,将我送出了门外。并将一个写有“付款单”的信封交给我。我已经没有心思去猜这是什么了,恍恍惚惚地朝公园走去。手中紧握着铲子和水桶。


11- 尾声

来到公园后,我坐在长椅上,稍稍发了一会呆。然后听到小学的体育馆中传来《仰げば尊し》的歌。孩子们在进行合唱。毕业典礼……我想起了小学的毕业典礼。在毕业典礼的归途,两人一起来到这座公园玩耍。初中,还有高中的毕业典礼那天,我们都来到这儿长叙往事。我站起身,往沙地走去。用铲子铲起沙,盛入桶中。桶里的沙子越来越多。将沙子装得满满的,然后把铲子插在里边。许久,注视着它。那时,突然想起老人交给我的信封。拆开信封时,上面写着这样的文字。

“从今往后,用自己的力量填满心中的空洞,好好地生活下去。作为一生的代价,请支付以上费用。

不可思议工房。”

我提起装满沙子的水桶。沉甸甸的感觉。稍稍走了一会,不小心被绊倒,沙子倒了出来。再次往里边铲沙子。然后,我终于明白了。是啊……有空洞的话,一遍遍将其填满就行了。体育馆里一直流淌着《仰げば尊し》的歌。我必须从过往的自己中毕业了。就算是为了他也好……从公园通往家的路上,本应该存在的不可思议工房却消失了。

注1-        五月病。(4月に新しく入った学生や社員などに、5月頃しばしば現れる神経症的な状態)
4月的新生和新职员经常出现的精神病

注2-人死后的四十九日,传说为今生的死与来世的生之间的时间。

评分

1

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发表于 2007-1-8 02:12:07 | 显示全部楼层
这个居然9都有了~~~有11、12的吗?~~~哪为好心的大人帮我翻译一下啊~~~~
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