Q: 助詞の「は」と「が」の使い分けについて教えてください。
A: お答えいたします。
■『は』(副助詞)と『が』(格助詞)の使い分け
●「既知(すでに知っている)・旧情報」は「は」/
「未知(まだ知らない)・新情報」は「が」
次の例を見てください。
例1:「むかしむかし、あるところに おじいさんと おばあさんが いました。
おじいさんは 山へ 芝刈りに、おばあさんは 川へ 洗濯に . . . 」
初めの方の文では、「おじいさん」と「おばあさん」は(話し手は知っているが、
聞き手はまだ知らない)新しい情報として提示されているために「が」が使われ、
後の方の文では、(話し手だけでなく、聞き手もすでに知っている)情報であると
いうことで「は」が使われています。
例2:「誰が窓を割ったんだ?」
この例では、話し手自身が「窓を割った」人物が「誰」であるのかを知らない
(未知)ために、「が」が使われています。
●文の話題の中心となる事柄をとりたてて示す
「題目・主題・話題・提題/テーマ」の『は』
この「は」は非常によく使われるものです。
「これは本です」「AはBにCを紹介した」「この絵は娘が描きました」
「象は鼻が長い」「スイカは僕が全部食べた」「たばこは絶対にいけません」等。
ちょっと分析してみましょう!
例1:「これは本です」
「これ」はこの文の主題・題目です。この文の場合、「これ」と「本です」は
いわゆる「主述関係」(「主語」と「述語」の関係)にあると一般に言われますが、
違う意見の人もいます。<注> 三上 章氏らの著作を参考のこと。
例2:1) A は Bに Cを 紹介した。
2) Bには Aが Cを 紹介した。
3) Cは Aが Bに 紹介した。
これらはすべて「Aが Bに Cを 紹介した」ということを言っているのですが、
「が」「に」「を」で示されるものが話題としてとりたてられる場合、
その部分が文の頭に行き、
「が」→「は」/「に」→「には・は(位置)、には(方向)」/「を」→「は」
となるのです。
例3:「スイカは 僕が 全部 食べた」
「は」で話題を提示し、「が」で動作主(動作をするもの)を示します。
この場合、「は」の部分は「食べた」動作・行為の対象となっています。
例2の「を」→「は」と同じですね。
例4:「象は 鼻が 長い」
この文では、「象」が主題・題目としてとりたてられています。
「は」によって示されるものが「鼻が長い」という説明部全体と対応しています。
「象=長い」ということではありません! ここでは、「~が」の部分が「長い」と
いう状態・性質を持っているということで、その「鼻」は「象」の体の部分ですから、「象の鼻が長いこと」ということで、「(象)の」→「(象)は」になったと考える
ことができます。
「象は」が大主語で「鼻が」が小主語であるとする考え方もあるようです。
「私は胃が悪い」「ドイツのビールは種類が多い」「東京は人口が多い」というのも
同じ構造になっていますね。
●形容詞・状態動詞を用いた『~は~が』構文
「私はお酒が好きだ」、「ダグラスは絵が上手だ」、「私は英語ができない」等は、
先の「象は . . . 」の場合とは違って、「が」で示されるものと述語とは「主述関係」に
ありません。この例の場合、「~が」の部分は「何かをすることができる」とか
「感じ」を言う時の対象となるものを示します。
●発見のニュアンス/一般的な性質
例1:「あ! 柿が赤い!」 例2:「柿は赤い」
例1では、実った柿が赤くなっている(食べごろ!)のを発見したというニュアンスが
あります。これを例2のように「は」を使うと、「柿というものは 赤いものだ。」
という「柿(の実)」の一般的な性質・特徴を言い表すことになります。もちろん、
この「は」は話題(テーマ)の「は」です。
●述語の品詞による違い
1) 動詞述語文
「子供が泣いている。」→ 「子供が泣いているのが見える・聞こえる」という場合は、
「が」を用います。
2) 形容詞述語文
「あの人はやさしい」/「この本はおもしろい」
これを「あの人が」「この本が」とやると、「どの人?」「どの本?」と疑問詞を
使った質問文に対する解答として使われるか、または強調(他の人ではなくて
「あの人が!」、「この本の面白さを是非知ってもらいたい !」等)のニュアンスを
もって使われることになります。
3) 名詞述語文
「李さんは大学生です」
これを「李さんが大学生です」とやると、「どなた(どの人)が大学生ですか?」に
対する答となります。
「ここが会場です」は、「どこが会場ですか」に対する答か「(他の場所ではなくて)
ここが会場です!」と他と区別して強調する時に使われるということになります。
●対照・対比の『は』
「Aは~が、Bは~」の形で使われます。二つ以上の物事を比べて示す用法。
「(この品物は)値段は高いが、品質はいい」「歌はうまいが、踊りは下手だ」
「体は小さいが、力持ちだ(力は強い)」等。
比較されるものが明示されない(口に出して言われない)場合もあります。
「お酒は飲まない」「親には話すべきだ」等。
●強調の『は』
文の中のある部分を強めて言う。
「よくは知りません」「彼女とは顔を合わせたくない」「負けるとは
思っていなかった」等。
★複文・重文中における使い分け等、まだまだ複雑な問題があるのですが、
『は』と『が』の違いを少しはわかっていただけましたでしょうか?Q: 助詞の「は」と「が」の使い分けについて教えてください。
A: お答えいたします。
■『は』(副助詞)と『が』(格助詞)の使い分け
●「既知(すでに知っている)・旧情報」は「は」/
「未知(まだ知らない)・新情報」は「が」
次の例を見てください。
例1:「むかしむかし、あるところに おじいさんと おばあさんが いました。
おじいさんは 山へ 芝刈りに、おばあさんは 川へ 洗濯に . . . 」
初めの方の文では、「おじいさん」と「おばあさん」は(話し手は知っているが、
聞き手はまだ知らない)新しい情報として提示されているために「が」が使われ、
後の方の文では、(話し手だけでなく、聞き手もすでに知っている)情報であると
いうことで「は」が使われています。
例2:「誰が窓を割ったんだ?」
この例では、話し手自身が「窓を割った」人物が「誰」であるのかを知らない
(未知)ために、「が」が使われています。
●文の話題の中心となる事柄をとりたてて示す
「題目・主題・話題・提題/テーマ」の『は』
この「は」は非常によく使われるものです。
「これは本です」「AはBにCを紹介した」「この絵は娘が描きました」
「象は鼻が長い」「スイカは僕が全部食べた」「たばこは絶対にいけません」等。
ちょっと分析してみましょう!
例1:「これは本です」
「これ」はこの文の主題・題目です。この文の場合、「これ」と「本です」は
いわゆる「主述関係」(「主語」と「述語」の関係)にあると一般に言われますが、
違う意見の人もいます。<注> 三上 章氏らの著作を参考のこと。
例2:1) A は Bに Cを 紹介した。
2) Bには Aが Cを 紹介した。
3) Cは Aが Bに 紹介した。
これらはすべて「Aが Bに Cを 紹介した」ということを言っているのですが、
「が」「に」「を」で示されるものが話題としてとりたてられる場合、
その部分が文の頭に行き、
「が」→「は」/「に」→「には・は(位置)、には(方向)」/「を」→「は」
となるのです。
例3:「スイカは 僕が 全部 食べた」
「は」で話題を提示し、「が」で動作主(動作をするもの)を示します。
この場合、「は」の部分は「食べた」動作・行為の対象となっています。
例2の「を」→「は」と同じですね。
例4:「象は 鼻が 長い」
この文では、「象」が主題・題目としてとりたてられています。
「は」によって示されるものが「鼻が長い」という説明部全体と対応しています。
「象=長い」ということではありません! ここでは、「~が」の部分が「長い」と
いう状態・性質を持っているということで、その「鼻」は「象」の体の部分ですから、「象の鼻が長いこと」ということで、「(象)の」→「(象)は」になったと考える
ことができます。
「象は」が大主語で「鼻が」が小主語であるとする考え方もあるようです。
「私は胃が悪い」「ドイツのビールは種類が多い」「東京は人口が多い」というのも
同じ構造になっていますね。
●形容詞・状態動詞を用いた『~は~が』構文
「私はお酒が好きだ」、「ダグラスは絵が上手だ」、「私は英語ができない」等は、
先の「象は . . . 」の場合とは違って、「が」で示されるものと述語とは「主述関係」に
ありません。この例の場合、「~が」の部分は「何かをすることができる」とか
「感じ」を言う時の対象となるものを示します。
●発見のニュアンス/一般的な性質
例1:「あ! 柿が赤い!」 例2:「柿は赤い」
例1では、実った柿が赤くなっている(食べごろ!)のを発見したというニュアンスが
あります。これを例2のように「は」を使うと、「柿というものは 赤いものだ。」
という「柿(の実)」の一般的な性質・特徴を言い表すことになります。もちろん、
この「は」は話題(テーマ)の「は」です。
●述語の品詞による違い
1) 動詞述語文
「子供が泣いている。」→ 「子供が泣いているのが見える・聞こえる」という場合は、
「が」を用います。
2) 形容詞述語文
「あの人はやさしい」/「この本はおもしろい」
これを「あの人が」「この本が」とやると、「どの人?」「どの本?」と疑問詞を
使った質問文に対する解答として使われるか、または強調(他の人ではなくて
「あの人が!」、「この本の面白さを是非知ってもらいたい !」等)のニュアンスを
もって使われることになります。
3) 名詞述語文
「李さんは大学生です」
これを「李さんが大学生です」とやると、「どなた(どの人)が大学生ですか?」に
対する答となります。
「ここが会場です」は、「どこが会場ですか」に対する答か「(他の場所ではなくて)
ここが会場です!」と他と区別して強調する時に使われるということになります。
●対照・対比の『は』
「Aは~が、Bは~」の形で使われます。二つ以上の物事を比べて示す用法。
「(この品物は)値段は高いが、品質はいい」「歌はうまいが、踊りは下手だ」
「体は小さいが、力持ちだ(力は強い)」等。
比較されるものが明示されない(口に出して言われない)場合もあります。
「お酒は飲まない」「親には話すべきだ」等。
●強調の『は』
文の中のある部分を強めて言う。
「よくは知りません」「彼女とは顔を合わせたくない」「負けるとは
思っていなかった」等。
★複文・重文中における使い分け等、まだまだ複雑な問題があるのですが、
『は』と『が』の違いを少しはわかっていただけましたでしょうか? |