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《龙马奔走》之《三 赴江户(3)》上

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发表于 2007-10-6 11:58:05 | 显示全部楼层 |阅读模式
三 江戸へ(3)

 妙な男である。武士は、障子を開けっ放しにしたまま、黙って一座を見下ろしている。
 お登勢は気づかぬふりをして、竜馬を相手に他愛もない話を続けていた。
 寝待ノ藤兵衛だけは、
 (不浄役人か)
 一瞬ぎくりとしたらしいが色には出さず、いかにも堅気の旅商人たしく膝小僧をそろえ、小鉢のなかのものをつまんでいる。やがて武士は、
 「失礼した」
 障子を閉め、姿を消した。
 (おかしな野郎な)

三.赴江户(三)

那武士有些蹊跷,拉开了移门,一声不吭地俯视着在座的几个人。
  登势只当没看见,继续只跟龙马一个人说着话。
  倒是夜猫子藤兵卫心里“咯噔”了一下,
  (臭当差的?)
  可他脸上一点儿也没带出来,摆出一副正经商人的样子,将膝盖头并紧,拣小钵里的小菜吃。不一会,那武士说一声:
  “打扰了”
  拉上移门,便不见了身影。
  (来者不善呐)


 藤兵衛は、さすがにその道で苔の生えた盗賊だけあって、武士の人体をそれとなく横目で観察してしまっていた。
 浪人であった。旅汚れた黒の紋服(もんぷく)を着ており、紋所(もんどころ)は六本矢車(ろくほんやぐるま)だったと記憶している。まだ若いのに小びんのあたりの毛がむしられたように禿げていたのは、よほど剣術の修業を激しくやった男なのだろう。ただ、印象に、ひやりとするような暗いかげがあった。

  藤兵卫不亏是个久历江湖的梁上君子,刚才他已不动声色地用冷眼打量过了那武士的周身上下。
  那家伙是个浪人。只见他身穿一领黑色纹服(印有族徽的和服),已在旅途中弄脏了,记得那族徽乃是六羽攒心纹○1。年纪尚轻,然而鬓角处的毛发却像被拔掉了似的,光光的,可见他练剑下过苦功。然而,给人的印象中透着一种阴鸷。


 「お登勢さん、今の浪人、宿帳ではなんという名になっているのかね」
 と藤兵衛が聞くと、
 「さあ」
 お登勢も、客として始めて見る顔だったから、手をたたいて番頭に宿帳を持って来させた。
 「奥州白河浪人初瀬孫九郎」
 「これア、うそ名だね」
 「どうしてわかるのどす?」
 「六本矢車紋は、人間を斬った顔だよ。眼でわかる」
 と藤兵衛は大真面目だった。
 「人を斬って退転(たいてん)し、いま討手(うって)に追われている。あの男はわれわれをその討手とみた。だからいきなり障子を開けて確かめたのさ」

  “老板娘,刚才那个浪人,循环簿上记的啥名字?”
  “奥州白河浪人初濑孙九郎”
  “假的吧”
  “你怎么知道的?”
  “那个六羽攒心纹,一副杀过人的脸色。看他的眼睛就知道了”
  藤兵卫一本正经地说道。
  “他杀人心虚,正被仇家所追杀,以为我们便是那仇家,所以猛地一下拉开了移门来查看的”


 翌日、竜馬と藤兵衛は伏見を発った。
 途中、雨の日が二日、風の日が二日あった。
 桑名の渡しでは風浪が激しくて船待ちに一日を無駄にしたが、あとは東海道は快晴がつづき、竜馬には快い初旅なになった。
 宮(熱田)
 岡崎
 御油
 と泊まりを重ねて、竜馬の足はすっかり旅に馴れた。足が軽い。

  翌日,龙马和藤兵卫离开了伏见。
  途中,两天下雨、两天刮风。
  抵达桑名渡口时,正值风急浪高,为等船白白浪费了一天光阴,之后,登上了东海道就是一路的响晴白日了,对第一次出门的龙马来说,可谓是一次愉快的旅行。
  宫宿(热田)、冈崎、御油,一次次的夜宿,龙马的脚已完全适应了赶路,脚步也轻快起来了。



その浪人は再び見かけたのは、参州吉田(豊橋)の宿の茶店で昼代わりの餅を食べていた時であった。
 深編笠(しんへんがさ)を傾け、よれよれの野ばかまをつけて、茶店に入ってきた。風体のわりに大小の拵えだけは不相応に立派で、銀のつかがしらをつけ、黒たたきの鞘、紫の下げ緒を腰間にみせている。
 「坂本の旦那、六本矢車紋ですぜ」
 「……」
 竜馬は、黙って餅を食っている。
 深編笠はどういうつもりか、竜馬の前でゆっくり笠をとり、聞き取れぬほどの低い声で、
 「先日は失礼つかまつった」
 この時藤兵衛は横から竜馬の顔を惚れ惚れと見た。この田舎者は、そっぽをむき、返事をせずに、悠然と餅を食っているのである。

  在参州吉田(丰桥)客栈的茶铺里吃充当午饭的米糕时,他们又见到那个浪人。
  只见他头戴一顶罩得很深的草帽,下穿一条诌巴巴的旅装裙裤,踏进了茶铺。模样不怎么样,插在腰间的长短两柄刀却很气派,银护手、黑漆鞘、紫色的绶带腰下飘摆。
  “坂本少爷,六羽攒心纹”
  “……”
  龙马一声不吭地吃着米糕。
  那深罩草帽不知何故,来到龙马面前慢慢地摘下草帽,用低得几乎听不清的声音说道:
  “前些日子,冒昧了”
  这时,藤兵卫看着龙马的侧面,简直看呆了。因为这个乡巴佬竟然扭过了脸,不理不睬地,悠然地吃着米糕。


 「卒爾ながら」
浪人は、むっとしたらしい。
 「先日の非礼をわびておる。足下にはお耳がござらんのかな」
 「――」
 竜馬は、無邪気な顔で往来を見ながら餅を食っている。目の前に人間いっぴきが立っているなどは、蝿が飛ぶほどにも思っていない顔であった。
 (これは、いよいよたいしたたまだな)
 藤兵衛はますます惚れてしまった。うまれて、こんな度胸のいい男を見たことがない。
しかし藤兵衛にすれば捨てておくわけにも行かなかった。相手の浪人はよほど癇癖(かんべき)の強い男らしくすでに眉間に赤黒い血をのぼらせている。何をするか分からなかったし、腕も立ちそうであった。

  “劳驾”
  那浪人有点上火了。
  “前日冒犯,这厢在赔不是呢。足下莫非没带耳朵?”
  “——”
  龙马满脸天真地,一边看着大路一边吃着米糕。眼前分明站着个大活人,可对他说,似乎只是飞过了一只苍蝇。
  (这下,越发地显得是个了不起的人物了)
  藤兵卫越发地仰慕龙马了。自出生以来,他还没见到过这么有胆量的汉子。
   龙马不理不睬,藤兵卫可不能坐视不管。因为那个浪人眉宇之间已经充血发紫,看来脾气不小。不知他会干出什么事来,本领看来还不弱。


 「旦那。こちらのこちらの旦那が今何かおっしゃってるんだ。お耳に入らないんですかい」
 「そうか」
 竜馬はにこにこした笑顔をむけけ、
 「かわりに聞いておいてくれ」
 竜馬は茶代をおき、往来へ出てしまった。その瞬間、背中に抜き打ちの殺気を感じたが、
 (なあに、斬られれば死ぬまでさ)
 城が見えていた。松平伊豆守(まつだいらいずのかみ)七万石の居城である。櫓の背後に、眼に痛いほどの白い雲が湧き上がっているのが、絵よりも美しかった。
 (江戸につくころには、すっかり初夏だな)
 もう、浪人のことは忘れている。

  “少爷,这位大爷在跟您说话呢,您没听见吗?”
  “是吗?”
  龙马笑嘻嘻地转过脸来,说道:
  “你替我听一下吧”
  龙马撂下茶钱,来到大路上。就在那一瞬间,他的后背感到了一股抽刀突袭的杀气,
  (有什么啊,砍上了大不了就是一死呗)
  他眺望着城郭。那是松平伊豆守○2七万石所居住的城池。箭楼后,翻卷的白云,耀人双眼,真是美不胜收。
  (到江户之时,该当初夏了吧)
  他已经把那浪人忘得一干二净了。


 十五、六丁ばかり行って夕暮村の土橋にさしかかったとき、藤兵衛が息せき切って追いついてきた。
 「野郎、ひどく怒ってましたぜ」
 といった。
 「そうかな」
 「旦那を斬る、といってやがった。旦那となら、どっちが腕が立ちますかね」
 「それア、間違いなく向こうが強かろう」
 「あきれたねえ、旦那は。あいつは本当に抜きそうでしたぜ」
 「もともと、あの男はおれになんのようがあったのかね」

  龙马走过十五六丁(1丁=109米多一点)来到夕暮村的土桥边时,藤兵卫上气不接下气地赶了上来,说道:
  “那家伙,火冒三丈”
  “是吗?”
  “说是要砍了少爷呢。少爷与他,谁更厉害些呢”
  “那当然是他厉害了”
  “服了你了。那家伙刚才可真的要拔刀了”
  “那家伙,本来找我有什么事吗?”


 「なんでもねえ。奴はやっぱり敵持(かたきもち)らしいんでさ。それも殊勝に逃げ回ってれゃ何だが、逆に返り討をねらって討手の連中をさがしているらしい。伏見寺田屋での一件は、やはり、われわれを討手と思い違いしたもんでしょう。さっきの吉田の宿の茶店では、われわれ二人とよく似た年格好の二人連れを街道で見なかったか、と訊こうと思ったらしいんです」
 「なんだ、それだけのことか」
 竜馬は自分がおかしくなってきたらしい。
 「なにがおかしいんです」

“倒也没什么事。那家伙真是被人追杀来着。没命地四处逃串,同时也在寻找仇家的杀手,想干掉他们。伏见寺田屋那一节,似乎是将我等误认为仇家的杀手了。刚才在吉田客栈的茶厅里,是想问一下我们,路上是否看到两个模样与我们相仿的人”
  “什么,就这点事啊”
  龙马自己也觉得好笑起来了。
  “有什么好笑的?”


 「おれはまた、あいつは強請りかと思ったんだ。大坂でも岡田以蔵にとられてるから、これ以上盗られてはかなわんと思って、胴巻を上からしっかりおさえていた」
 「冗談じゃない。そんなしおらしい顔つきじゃなかったですよ」
 「おれの顔か。仏頂面は地顔だ」
 「しかし、旦那は事が多いねえ。きっと旦那の一生は途方もなくにぎやかそうですよ。初旅そうそう、辻斬りに出会ったり、敵持にねらわれかけたり」
 (たったいまも泥棒と連れ立って歩いていたり)
 竜馬も、あきれている。
 「しかしあいつは、伏見寺田屋で宿帳を見たのか、だんなの名前も行き先も知っていましたぞ。あいつは執念ぶかいからきっと意趣返しに来る」
 「それはいい。江戸の修業の励みになる」
 
  “俺还因为那家伙是来敲竹杠的呢。在大阪已给冈田以臧拿掉了点,要是再给敲掉一点就吃不消了。所以一直紧捂着缠腰来着”
  “开什么玩笑。你刚才可没这么轻松啊”
  “俺的脸吗?俺的本相就是板板的啊”
  “话说回来,少爷的事也真多。少爷的一生想来也是轰轰烈烈的。头一回出门,就遇上了试刀的,又差点被亡命徒盯上”
  (眼下不就正和小偷结伴同行着么)
  龙马自己也觉得匪夷所思。
  “不过,那家伙或许在伏见寺田屋看过循环薄,知道少爷的名字和去向。人又执拗好计仇,肯定会来报复的”
  “行啊。这对俺在江户练功是个激励。”


 さいわい、六本矢車の浪人に追いつかれることなく、二川(ふたがわ)、白須賀の宿をすぎ、竜馬と藤兵衛はやがて潮見坂にさしかかった。
 (ほう)
 眼が洗われるような思いがした。
 右手に遠州灘七十五里の紺碧(こんぺき)がひろがっている。左手には、三河、遠江、駿河の山々が、天のすそを濃淡の青で染め分けて重なっていた。
 しかもこの壮大な風景には主役がいた。富士である。竜馬にとって始めて見る富士であった。
 富士は不思議な色をしていた。峰の雪が夕方の光をあびて真赤に染まっているくせに、すそは風にも堪えぬほどに軽い藍色の紗を引いているようであった。

  幸好,没被那个六羽攒心纹的浪人赶上,过了二川、白须贺的宿头,龙马和藤兵卫很快就来到了潮见坂。
  (嚯)
  眼前一亮,眼珠子像是刚洗过的一样。
  右边是远州滩七十五里的碧绿海空。左边是三河、远江、骏河的巍巍丛山,遥远的天际被染成浓淡不同的蔚蓝色,分别与各处的风景叠合在了一起。
  更有甚者,在这壮丽的风景中还矗立着一位主角。那便是富士山,龙马初次看到的富士山。
  富士山的风光瑰丽多姿,简直是匪夷所思。山顶上的积雪沐浴在夕阳之中,被染成了鲜红色,可山脚下却像是扯了一领弱不禁风的蓝色轻纱。
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 楼主| 发表于 2007-10-6 12:01:27 | 显示全部楼层

「藤兵衛、この景色を見ろ」
 「へい」
 藤兵衛はつまらなそうにまわりを見た。二十年来、この海道を何度も往来している寝待ノ藤兵衛にとって、この眺望はめずらしくもなんともない。
 「気のない顔だなあ」
 竜馬は、なおも風の中で眼を細めている。彼の若い心には、潮見坂の坂と山と天が、自分の限りない前途を祝福してくれいるように思えるのである。
 (富士は木花咲耶姫(このはなさくやひめ)の化身だというが、江戸へ行く俺のために一段と粧いをこらして待っていてくれたに違いない)
 「藤兵衛、一向に驚かぬな」
 「見慣れておりますんで」
 「若いころ、始めてみたときは驚いたろう。それともあまり驚かなんだか」
 「へい」
 藤兵衛は、苦い笑いしている。

   “藤兵卫,看看这景致”
  “哎”
  藤兵卫无精打采地看了一下四周。二十年来,这条沿海大道已来回走过不知多少遍了,所以,对于夜猫子藤兵卫来说,周围的景色没什么可希奇的。
  “你怎么一副萎靡不振的样子”
  龙马还在风中眯缝着眼眺望着。他那年轻的心觉得,潮见坂的坡道以及这山和天,都在为自己的无量前途而祝福着。
  (据说富士山乃木花咲耶姫○3的化身,她一定因为我去江户要路过这里,才打扮得如此出众在此等候的)
  “藤兵卫,你一点也不觉得惊奇吗?”
  “看惯了呗”
  “那你年轻的时候,第一次看到时肯定觉得很神奇吧。要不,也没什么感觉?”
  “哎”
  藤兵卫只得苦笑连连。


 「だからお前は盗賊になったんだ。血の気の熱いころにこの風景を見て感じぬ人間は、どれほど才があっても、ろくなやつにはなるまい。そこが真人間と泥棒のちがいだなあ」
 「おっしゃいますねえ。それなら旦那は、この眺望を見て、何を思いになりました」
 「日本一の男になりたいと思った」
 「旦那」
 と藤兵衛はむくれて、
 「それは気のせいでございます」
 「あたりまえだ。正気で思うものか。坂を下りればすっかり忘れているに違いないが、しかし一瞬でもこの絶景を見て心のうちがわくわくする人間と、そうでない人間とはちがう」

  “所以你才做了贼啊。血气方刚之际看到这样的景致而麻木不仁的人,不管多有本事也成不了大器。这就是大丈夫与小偷的区别所在”
  “您可真会说啊。那么,少爷您看了风景,又有何感想呢?”
  “我想,要做个日本的第一男子汉”
  “少爷”
  藤兵卫赌气道:
  “您是心血来潮吧”
  “那是自然。那能当真呢。等会儿下了山坡肯定就抛到脑后了。可是,看到这样的美景,哪怕只是一刹那间,心潮起伏的人,与无动于衷的人,是绝然不同的”


 坂がくだりにさしかかるとともに、陽が急速にかたむきはじめた。きょう泊まる新居(あらい)の宿まで、まだ半里はある。
 藤兵衛は歩きながら、
 「新居でいよいよお別れでございます」
 「関所があるからえ?」
 「いいえ、左様なものは痛くもかゆくもありませんが、関所(せきしょ)を二人連れで通ると、あっしが万一どこかでドジを踏んでつかまった時旦那に傷がつく」
 「可愛いことをいう奴だ」
 「あっしを可愛いと思うなら、旦那に頼みがあるんです。聞いてくださいますか」
 「どういうことだ」
 「旦那の乾分(こぶん)にしてもれえてえんだ」
 「ははあ。泥棒の親分かえ、おれが?」
 竜馬は、驚いた。

  就在他们下坡的时候,太阳很快地就开始偏西了,而离要投宿的新居,还有半里(注:日本的一里很长,有3.9273公里)的路程。
  藤兵卫边走边说道:
  “到了新居,我也要跟您分道扬镳了”
  “是因为关卡的缘故吗?”
  “不是,我才不把它放在心上呢。不过,要是两人一起过关,万一我露出了马脚,会连累少爷您的”
  “真会说体贴人的话啊”
  “您要是觉得我会体贴人,我倒有个请求,能听一下吗?”
  “什么请求?”
  “让我做您的跟班吧”
  “啊——,你要俺做小偷的老大?”
  龙马大吃一惊。



 「ねえ、乾分にしてくださいよ」
 「……」
 「お厭でござんすか、旦那」
 寝待ノ藤兵衛は、ひょいと道端にしゃがんで葉の赤い雑草をぬきとり、茎を歯の間に入れた。竜馬はあきれて、
 「なんだ、それは」
 「蓼(たで)です」
 藤兵衛はにちゃにちゃ噛んでいる。

  “没错,让我做您的跟班”
  “……”
  “您不愿意吗?少爷?”
  夜猫子藤兵卫轻身一弯腰,拔了一跟红叶的杂草,将草茎放到了嘴里。龙马愕然道:
  “什么玩意儿”
  “蓼草”
  藤兵卫嘴里嚼得吧唧吧唧的。


 「うまいのか、そんなものが」
 「まあ、馴れればね」
 べっ、と吐き出して、
 「赤いやつは口にひびくほど辛えんだが、馴れてしまうと、辛味のすくない青蓼よりも赤蓼のほうがずっとうまい。蓼食う虫が好きずきとはよくいったものだ。こいつは、暑気ばらいから霍乱除け、腎虚なおし、精の源になるというほどの霊薬ですぜ」
 「なぜ、俺の乾分になりたいんだ」
 「理由なんざ、ねえ。蓼を食うようなものでさ」

  “那玩意儿有滋味吗?”
  “嗨,吃惯了就味儿了”
  说着他“呸”地一声,吐了出来。
  “红的很辣,能把嘴都辣麻,但吃惯了就觉得比不辣的青的那种有滋味得多了。不是常说,虫子食蓼各有所好么。这玩意儿吃了祛暑、防霍乱、治肾亏,为补气之本,还是一味灵药呢”
  “你干吗要做俺的跟班”
  “要说理由,也没什么。就跟食蓼一般吧”
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 楼主| 发表于 2007-10-6 12:03:58 | 显示全部楼层

 しばらく、二人は黙って歩いた。陽は落ちだが遠州灘の照り返しで、坂は気味悪いほど明るい。坂のふもとに来てから藤兵衛は、ぽつりと、
 「好きだから仕様がねえんだなあ」
 「蓼がか」
 「いや、旦那をさ」
 「人を馬鹿にするな」
 「旦那、贅沢を言うもんじゃねえ。寝待ノ藤兵衛はこうみえてもわざでは日本一の泥棒だぜ。その日本一が、わざわざ膝をまげて乾分にしておくんなせえと頼んでるんです」
 「馬鹿を自慢(たぎ)っちょる」

  两人默不作声地走了一会儿。太阳已经落山,可在远州滩的反照下,坡道亮得让人心烦。走到山坡脚下的时候,藤兵卫突然漏了一句:
  “喜欢上了就没什么可说的了”
  “蓼草吗?”
  “不,是少爷”
  “别拿人开玩笑”
  “少爷您别不知作了。想我夜猫子藤兵卫的手段,可是日本第一的妙手空空儿。现在,这个日本第一在屈膝求您啊”
  “瞎吹什么牛”



 藤兵衛には土佐ことばが分からないから、大真面目、
 「旦那、きっとお得ですぜ」
 と、もう一度蓼を吐きすて、
 「昔は、世間で大仕事をするほどの人は、手下に泥棒の一人はかならず飼っていたもんだ。諸国の様子が人よりも早くわかるし、世間の裏も見えてくる。大昔の天子さまで天武天皇というお方は多胡弥(たこや)という泥棒を飼っていたし、源九郎義経さまの手下には伊勢三郎義盛という鈴鹿の山賊がいたし、太閤秀吉には、蜂須賀小六という泥棒がいた。もっとも蜂須賀さまのご子孫は、いまでは阿波徳島二十五万七千石の大大名におなりだが」
 「ふん」

  藤兵卫没听懂龙马的土佐方言,一本正经地说:
  “少爷,您肯定合算的”
  随即他又吐出了口中的蓼草,道:
  “在古代,要成大事者,身边定要养一个小偷。这样才能及早探知各地的动静,洞察世情的内幕。远古时代,连天子天武天皇都养了一个名叫多胡弥的小偷,源九郎义经的手下有个伊势三郎义盛的铃鹿地方的山贼,太閤秀吉身边则有一位名叫蜂须贺小六的小偷。尤其是这位蜂须贺的子孙,现在可是阿波德岛二十五万七千石的大大名了”
  “哼”


 鼻で笑っているが、竜馬は胸中、
 (そうかもしれんな)
 と考えていた。
 竜馬は少年のころ私塾に通わず、学問は姉の乙女にならったきりだから、頭の中には頑固な先入主というものがなかった。自然、盗賊の講義でも、面白く頭の中に入ってくるのである。
 竜馬はのちに、海援隊という名で私設艦隊をおこし、天下の風雲のなかで隠然たる勢力をもつにいたるのだが、そのころ隊員たちに次のような「英雄の道」を説いたのは、潮見坂での藤兵衛の講義が記憶の底にあったからに違いない。

  龙马鼻子里转音笑了一声,可他心中却又不由地想道:
  (或许还真是这样呢)
  龙马少年时没去私塾上学,他的学问是跟他姐姐乙女学的,所以脑袋里没有那些先入为主的古板观念。自然,藤兵卫的这番盗贼论,他也是听得津津有味。
  日后,龙马建立起名为海援队的私家舰队,隐然而成天下风云之中一股势力,在对其队员大谈如下的“英雄之道”时,他的记忆深处无疑还保留着藤兵卫在潮见坂的这番盗贼论。



 「牛裂きの刑に逢うて死するも、逆磔(さかばりつけ)に会うも、または席上にて楽しく死するも、その死するにおいては異なることなし。されば英大なることを思ひ起こすべし」
 「(ことをおこすには)薄情の道、不人情の道わするるなかれ」
 「海賊は船軍(ふねいくさ)の手習ひなり」
 「殺生は軍(いくさ)の工夫、偸盗(ちゅうとう)は忍術の調練」
 「盗賊は、われ、世を見る手鏡也」
 竜馬が藤兵衛と別れたのは新居の宿であった。翌日、船で舞坂へわたり、そのあと八日の道中をいそいで江戸に入った時は、すでに初夏になっていた。

  “车裂之死,倒悬穿刺之死,席上寿终之死,其死无异耳。当可忆其一生伟业”
  “海盗乃水军之习练”
  “杀生乃征战之预习,偷盗乃忍术之修炼”
  “盗贼,乃余观世之小镜”
  龙马与藤兵卫在新居的旅舍分手。翌日,乘船抵达舞坂。之后,紧赶了八天路程进入江户,其时已是初夏了。


注:

○1六羽攒心纹


○2松平伊豆守:即:松平信纲。1596(慶長元)-1662(寛文2)。
               松平是其姓,名:信纲。别称:龟千代、长四郎、
正次、辉纲、信兴。伊豆守是其官职,即:伊豆(地
名)地方的太守。

○3木花咲耶姫:日本神话中大山祗神之女,后世奉为富士山之神,供奉在浅间神社。
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