日本語レッスン13 「～たい」

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作者：市川保子  
1 n9 W3 }4 N; g8 H「海外に行きたい」「デジカメを買いたい」「こんなところに住みたくない」などのように動詞のマス形の語幹（連用形）に「たい」が付いて、話し手の願望を表します。  
8 I7 X" }' p' T! u0 H願望は「宝くじが当たったら、世界旅行したい」のようにかないそうもないものから、「風呂付きのアパートに住みたい」と実現に結び付いたものもあります。  
「たい」で注重すべき点は、三つあります。ひとつは「デジカメを買いたい」か「デジカメが買いたい」か、目的語に「を」をとるか「が」をとるかという問題です。  
「たい」は「ほしい」と同じく形容詞の性格を帯びているため、「ほしい」が「デジカメがほしい」と「が」をとるように、「買いたい」も「デジカメが買いたい」と「が」をとると考えられてきました。  
しかし、最近の調査では、「が」より「を」を使うほうが圧倒的に多いというデータが出ています。目的語には「を」をとり、強調したいとき（感情を込めるとき）「が」をとることが多いようです。  
  C* x+ L7 u- w4 a* n   
次のように「を」が目的でなく、通過点や出発点を表す場合は「を」をとります。  
( ^" K2 x* C* U: \* a   
　　（１）?高速道路が運転したい。  
   
また、次の場合は「を」をとりやすくなります。  
　　  
* R" ]1 ~  ~( C, H, |　１．主語が誰か混乱が起きる場合  
" G! [$ F" o1 M3 s$ }# ?　　（２）？私は彼が殺したい。  
/ x$ h: Q9 O( B9 a　２．目的語と「動詞＋たい」の間に語が入るとき  
　　（３）？ビールがあびるほど飲みたい。  
　３．他動性の動詞で、それ自体が長い音節をもつ動詞  
　　（４）？あの柵にこの犬が結び付けたい。  
　４．従属節（連体修飾節、副詞節）の中  
　　（５）？手紙が書きたい人は申し出てください。  
6 u/ r. R& F6 n1 Y- B　　（６）？手紙が書きたかったら、ここに便箋があります。  
+ i9 M' i6 w/ z- x0 B   
二つ目の注重点は、「たい」は話し手の願望を表すのであって、「田中さんはりんごが食べたいです」のように他者の願望を表すと、不自然になります。他者の願望をあらわすときは、次のように「そうだ」「らしい」「と言っている」を付ける必要があります。  
   
) |7 J2 w; v! f$ s0 {- j/ a（７）田中さんはりんごが食べたいそうです。  
3 |; K' ^5 w9 G0 Q# R- {! n　　　　　　　　　　　　　　　　　　らしいです。  
　　　　　　　　　　　　　　　　　　と言っています。  
( A) V/ N/ B# ~  N   
% _( |& s  b4 K「たい」の代わりに「たがる」を用いる場合もありますが、「たがる」は「たがっている」としなければならない場合が多く、また、「ほしいという態度を見せている」という意味合いをもつので、意味的なずれが起こることがあるので使用には注重が必要です。  
   
（８）田中さんはりんごを食べたがっています。  
   
. N, G3 b1 e9 M% P（ただし、連体修飾節の中では、他者が主語であっても、次のように「たい」をそのまま使うことができます。）  
   
　　（９）田中さんが読みたい本は今売切れになっています。  
   
三つ目のポイントは、疑問文「食べたいですか」を使うと、相手によっては失礼になることがあります。友達同士なら、「何を食べたい？」と使えますが、上司や年配の人に、「何を食べたいですか」はやはり失礼でしょう。「何を召し上がりますか」とか「何がよろしいですか」を使うようにしてください。  
   
「たい」の活用表は次のようです。  
4 U' o5 X- t/ m   

* C6 H. h: P$ T% }. w$ Z
# E* y5 _( o3 f$ j" p! J


/ [+ w& P, n: ~5 w   

　　　　非過去  
  ~; w  ?5 y- k# p' k4 E3 P
　　　　過去  

) ]- C4 ~" I  g* \1 p1 \! m
　肯定  

+ _- Y+ k' u7 Q8 t# w  n  r+ t～たい  

～たかった  
# E$ D! l( A6 J: q
3 P. J+ U4 M3 M0 Q! k$ `
) @. w/ W( B2 f: j$ N5 \　否定  
& B( {+ Q; v+ O- x) Z0 z0 y% W. G
～たくない  
5 o- J$ `8 [7 X8 h9 Y4 s
) ~# K6 J- @3 i7 q～たくなかった   
   
6 l$ f9 a2 D/ u. b% |2 a9 Q「たい」は願望を表す表現なので、学習者は喜んで使いそうですが、案外身に付かないところがあります。ひとつには「たい」というのは、学習者がいつ使えるかという問題があります。自分の夢を語るような場合、たとえば、「旅行したいです」「きれいな人と結婚したいと思います」は「たい」を生かした使い方ですが、夢を語るような状況は現実にはそうありません。  
   
6 P: ~) F: W8 M- t8 t/ B& ]" w2 a学習者に指導するときは、まずは、「たい」が一番自然に使われる表現で練習してみましょう。  
前置きとして自分の希望を述べて、許可を求めたり、依頼をしたりする「・・・たいんですが、・・てもいいでしょうか」「・・・たいんですが、・・てくださいませんか」の形です。  
学習者の実情に沿った例を使って、練習させてください。すぐ使える丁寧な表現として役に立つと思います。  
   
: R! V3 H  `# s7 V( R8 ?（10）宿題をとりに行きたいんですが、よろしいでしょうか。  
3 r$ }) f) z; L2 ]* |' j- [（11）病院へ行きたいんですが、場所を教えてくださいませんか。