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大般涅槃経という仏 教の経典の漢訳本には、以下の一節があります。
「王勅一臣、持一油鉢経由中過、莫令傾覆、若棄一滯、当断汝命」
王が臣下に油を持たせて通りを歩かせ、一滴でもこぼしたら命を断つと命じる。という話です。この故事の「油をこぼしたら命を断つ」というところが「油断」の語源となっているという説があります。つまり「断つ」のは「油」ではなく命のほうなのです。
また一方では古い表現の「寛(ゆた)に」が変じたものであるとする説もあります。「ゆたに」は、ゆっくりしている様子を表す語で、現代語では「ゆったり」に対応しています。また、四国地方の一部の方言では、まさに「ゆだんする」で「ゆったりする」という意味を表すところがあります。
つまり「油断」という表記に関しては涅槃経を語源とする説に一理あり、「ゆだん」という音に関しては「寛に」を語源とする説に一理あるということで、そのどちらであるかは今のところ判然としていないようです。 |
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