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「イエ」と「ウチ」は、その意味するところの守備範囲が異なります。
「イエ」は物理的な意味あいで「家」を表す傾向があり、一方の「ウチ」は心理的な意味あいで「家」を表す傾向があります。例えば、
ウチでは自分の部屋は自分で掃除することになっています。
という文において、「ウチ」を「イエ」に換えることはできません。
×イエでは自分の部屋は自分で掃除することになっています。
これは、先の文では物理的な意味での場所が問題とされているのではないからです。あえて言い換えると、この場合の「ウチでは」は、「私の家族においては」くらいの意味になるでしょうか。同じように、
ウチは5人家族です。
における「ウチ」を「イエ」に帰ることはできません。とはいえ、物理的な「家」を問題とする場合、すなわち建物としての「家」について言うときには、「イエ」同様「ウチ」も用いられます。
来月イエを建てかえます。/ 来月ウチを建てかえます。
地盤沈下でイエが傾いた。/ 地盤沈下でウチが傾いた。
したがって、「イエ」と「ウチ」は意味の面で相補的な分布をしていると考えるよりは、「ウチ」の方が意味する守備範囲が広いと考えるのが妥当でしょう。 |
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