[B]暗中模索[/B]<あんちゅうもさく>
手探りでいろいろやってみること。
唐の国に、許敬宗(きょけいそう)という人物がいました。
彼は、宰相(さいしょう=総理)までつとめた有名な人物でした。
ただ、政治の面では皇帝のご機嫌をとっていることが多く
歴史書を書くときには、自分の都合で史実をねじ曲げうそを書くなど
軽薄な行動や傲慢な性格で、他の人々に嫌われていました。
さらに、物忘れもひどく
人と会っても名前を覚えていないことが多かったのです。
そんな許敬宗に対して、ある人が忠告しました。
「あなたはもの覚えが悪すぎる。
ぜひ一度、何晏氏、劉楨氏などの優れた人たちに
会ってみてごらんなさい。
たとえ暗闇の中で彼らを模索(もさく)しても
すぐ見つけることができるくらい、とても印象的な人たちですよ。
いくら忘れっぽいあなたでも
決して彼らを忘れることなどできないでしょう。
あなたはいろいろ活躍して有名ですが
きっと、そんな素晴らしい人たちとの出逢いがないのです。
あなたは、世の中のことをよく知っているようで
実は、まだまだ何もよくわかっていないのですよ。」
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