宇宙基本法―あまりに安易な大転換
宇宙基本法——过于草率的转变
宇宙の軍事利用に積極的に道を開く宇宙基本法案が、衆院の内閣委員会で可決された。ねじれ国会の中、自民、公明の与党に民主党も加わった議員立法で、今国会で成立する見通しだ。
众院内阁委员会通过了旨在积极开辟军事利用太空道路的宇宙基本法草案。该草案由扭曲国会中的自民党和公民党以及在野党民主党的议员们共同提交,预计将获得国会通过。
法案は宇宙開発の目的として「我が国の安全保障に資する」との文言を盛り込んだ。「平和の目的」に限るとした1969年の国会決議を棚上げし、宇宙政策の原則を大転換させるものである。
草案中加入了以“保障国家安全”为太空开发目的的条款。它将1969年国会作出的只限于“和平目的”的决议抛到一边,彻底打破了以往太空开发的原则。
約40年前の国会決議のころとは宇宙をめぐる事情は様変わりした。多くの国が軍事衛星を打ち上げている。自衛隊も事実上の偵察衛星である情報収集衛星をすでに使っている。核とミサイルの開発を進める北朝鮮の動向を探るためなら、宇宙から情報を得ることに多くの国民が理解を示すだろう。
与约40年前国会决议时不同,太空利用情况已今非昔比。很多国家都向太空发射了军事卫星。自卫队实际上也在使用用于情报收集的侦查卫星。如果是用于获取北朝鲜推进核武器和导弹开发的动向,多数国民对从太空获取情报都能予以理解吧。
それでも、国会決議は自衛隊の衛星利用に一定の制約になってきた。政府は情報収集衛星を自衛隊に持たせず、内閣府の管轄にしてきた。情報収集衛星の解像能力も、民間で一般的な水準に抑えられてきた。
然而,1969年的国会决议在一定程度上限制了自卫队对卫星的使用。政府限制自卫队拥有情报收集卫星,并受到内阁府的管制。情报收集卫星的分辨率也控制在一般民用范围内。
今回の基本法は、現状を追認するばかりでなく、そうした制約も取り除いてしまおうというものだ。
此次提交的基本法草案不仅是对现状的追认,也是为取消这些限制而设立的。
ところが、そうすることによる国家としての得失はどうか、自衛隊の活動にどんな歯止めをかけるのか、といった論議は抜け落ちたままだ。しかも、たった2時間の審議で可決するとは、どういうことか。あまりに安易で拙速な動きである。
但是,这样做国家得失如何权衡,怎样限制自卫队的行动,这些问题还没有讨论。而且仅用2小时就审议通过了草案,这又该如何解释?决定做得太随便、太快了。
基本法が成立すれば、自衛隊が直接衛星を持ち、衛星の能力を一気に高める道が開ける。それにとどまらず、将来のミサイル防衛に必要な早期警戒衛星を独自に持つことができたり、様々な軍事目的での宇宙空間の利用が可能になったりする。
该基本法一旦成立,就能为自卫队直接持有卫星和提高卫星能力打开方便之门。不仅如此,自卫队可以独立拥有未来导弹防御所必需的早期预警卫星,也可以利用太空空间为各种军事目的服务。
だが、内閣委員会で、提案者の議員は具体的な歯止めについて「憲法の平和主義の理念にのっとり」という法案の文言を引いて、専守防衛の枠内であるという説明を繰り返しただけだ。
然而在内阁委员会上,提交草案的议员对如何具体限制自卫队,只引用了法案中的这句“遵守宪法关于和平主义的理念”,并反复说明军事利用太空属于和平防卫范畴。
基本法の背景には、日本の宇宙産業を活性化したいという経済界の意向もある。衰退気味の民生部門に代わり、安定的な「官需」が欲しいのだ。
该基本法的背后也有经济界要活化日本太空产业的想法。经济界希望稳定的“政府需求”来取代日益衰退的民间需求。
だが、宇宙の軍事利用は、日本という国のありようが問われる重大な問題である。
然而,军事利用太空涉及到一个重大问题,即日本国情是否允许。
衛星による偵察能力の強化は抑止力の向上につながるという議論もあるだろうが、日本が新たな軍事利用に乗り出すことは周辺の国々との緊張を高めないか。巨額の開発、配備コストをどうまかなうのか。宇宙開発が機密のベールに覆われないか。そうしたことを複合的に考える必要がある。
虽然有人认为加强卫星侦查能力就能提高国际威慑力,但日本开始尝试军事利用太空是否会加剧日本与周边各国的紧张局势,用什么来支付巨额开发、配备费用,太空开发是否在秘密进行,我们应综合考虑这些问题。
国民の関心が乏しい中で、最大野党の民主党が法案の共同提案者になり、真剣な論議の機会が失われているのも危うい。
民众对此关心较少,最大在野党民主党又成为该草案的共同起草者,这就失去了认真讨论草案的机会。
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