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040101《天声人語》沙画
砂といえば、はかないものの象徴のように見られる。砂の上にものを描く。風や波で消えていく束(つか)の間の営みでしかないだろう。
沙子往往被人当作是不可靠事物的象征。在沙上作画,也只是一种随时都会毁于风浪的短暂的经营吧。
砂に描く高度の技術を伝承してきた島があることを知って興味をそそられた。南太平洋の島国バヌアツである。80年に独立した人口20万人ほどの共和国だ。そこには砂の上にものを描く専門家がいる。人さし指一本で、一筆書きのように美しい幾何学模様を描く。模様には、さまざまな意味が込められる。
当我得知有那么一个历代相传着在沙上作画高超技艺的岛国时,不由得兴趣盎然。那是在南太平洋上的岛国伐奴阿吐。是一个1980年独立,人口约20万的共和国。那里有在沙上作画的专家。仅用一根食指,描绘出一笔画似的美妙的几何图形。而图形中孕含着各种各样的含义。
たとえば宇宙の始まりが物語られる。動物たちをめぐる神話もあれば、共同体をめぐる秘密やおきてもある。魔術が描かれることもあれば、科学的知識も入り込む。人々が蓄積してきた記憶の倉庫なのだ。砂上絵師は、芸術家であり、宗教家であり、科学者でもある。100近くの言語に分かれている地域だけに、共通言語をつかさどる役目もあった。
有叙说宇宙起源的,有描述关于动物的神话的,有的甚至表示部落的秘密及族规。既有迷信的成分,也有科学的知识。是世代累积而成的记忆大仓库。沙上画家们,既是艺术家,也是宗教家,甚至是科学家。在被近百种语言所分割开来的地域上,他们行使着执掌通用语言的职司。
強固で永続するものを尊重する文化とは少々違う。「石の文化」といわれる西欧から見れば、いや「木の文化」の私たちから見ても驚きだ。この「砂の文化」が去年、ユネスコの「無形遺産の傑作」の一つに選ばれた。 三好達治の詩「砂の砦」を思い浮かべる。「私のうたは砂の砦(とりで)だ/海が来て/やさしい波の一打ちでくづしてしまふ」の一節を繰り返す。だが「こりずまにそれでもまた私は築く(中略)この砦は砂の砦だ/崩れるにはやく/築くにはやい」
这与崇尚坚固永存的文化略有不同。在被称为“石头文化”的西欧来看,不,即使从“木头文化”的我们来看,也是惊叹不已。这个“沙滩文化”去年被联合国教科文组织评为“无形遗产的杰作”之一。
我的脑海中回荡起三好达治的一段诗:
“我的诗是沙滩上的城堡
海浪涌来
一个轻柔的海浪涌来就可将它摧毁”
但是:
“不悔的我仍将重新筑起
(中略)
这城堡是沙的城堡
毁得快
筑得也快”
いかに強固でも一度消えたら元に戻らないものもある。消え去ることを恐れず、持続することの強さがあることを「砂の文化」は教える。
不论如何坚固的东西一旦销毁了就无法复原。“沙滩文化”告诉我们:不怕被销毁的,持续不息的强韧。 |
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