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イカとタコは、いずれも頭足類に属する軟体動物。クネクネした姿態、ギロッとした目。どこか、不気味な印象を与える。
実際、西洋ではどちらも悪魔の魚「デビルフィッシュ」と一緒くたにされ、地中海諸国を除いてあまり食べない。ユダヤ教では戒律で食用を禁じている。
しかし、この怪物めいた生き物を、日本人は古くから食べてきた。大阪湾沿岸の弥生時代の遺跡からはイイダコつぼが見つかっており、少なくとも二千年前には食べられていたらしい。平安時代の「延喜式」には、「干しするめ」と「干したこ」が貢物として記されている。
韓国やポリネシアなどでも食べられているが、消費量は日本がケタ違いに多い。
中でも関西では、タコの存在感が大きい。たこ焼きには欠かせない存在だし、七月の大阪・天神祭には、ハモと並んで旬を迎えたタコが食卓に上る。兵庫県播磨地方の農家では、夏至から十一日目の「半夏生(はんげしょう)」の日に食べる習慣があり、毎年七月三十一日に大阪府堺市で開かれる大魚夜市の別名は「タコ市」と呼ばれている。京都や大阪には蛸(たこ)薬師、蛸地蔵などがあり、信仰の対象にもなってきた。
みなさん、イカとタコ、どっちの方が好き?
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