A 私は自分の行動について、いかなる批評もしなかった。人の眼には、あるいは、そうすることが行動を規制する、ただ一つの方法であるように見えたかもしれないのに、私にとっては、それも不要であった。いや、不要ではない。その暇も無いほど、それは素早かった。気が付いた時には、もう行動していた。
B こういう議論自体が不謹慎だ。ひょっとすると、そうお考えになる方があるのではないか。もしそうなら、私としては、たいへん我が意を得たことになる。不謹慎であるとか、世の中乱れるとか、人心に与える影響を恐れる。こういった、必ずしも明確に定義できない常識が、死体に関わる多くの問題の背景となっているからである。
こうした常識を考え、それと戦うことは、けっして容易ではない。私は死体を扱うのが仕事だから、そうは言っても、それを考えざるをえない。死体をめぐって、しばしばトラブルが生じるからである。 |