目」と「レンガ」
問題 次の文章を読んで、後の問に答えなさい。答えは1・2・3・4から最も適当なものを一つ選びなさい。
顔の話が出たついでに、眼や鼻のことも調べてみたい。先に述べたように「頬」や「顎」が正確にはどの部分をいうのかが不明であっても、眼がどこの部分かはっきりしないなどと思う人はまずいないだろう。
ところが以外なことに、眼も実はどの部分のことだか、よく分からないのである。①この点を明らかにするために、「煉瓦」という言葉と、「め」という言葉の、それぞれ五種類の使い方を次に比較してみよう。
(1)このレンガは四角い。 (1)彼のめは丸い。
(2)このレンガは赤い。 (2)彼のめは青い。
(3)このレンガは重い。 (3)彼のめは大きい。
(4)このレンガは固い。 (4)彼のめはいい。
(5)このレンガは凹んでいる。 (5)彼のめは凹んでいる。
左側の(1)から(5)までは、ある一個のレンガについて、そのいろいろな性質を述べた文であり、右側の(1)から(5)までは、ある人の眼についてさまざまな描写を試みた文である。
右側の文はすべて同一の対象(referent)を次々と形容しているのであり、②そこでは「レンガ」という言葉と、レンガという対象の関係は不変である。ところが、文の形の上では、これとまったく変わらない右側の五つの文の中に出てくる「め」という言葉と、それが対応する(③)はまったく違っている。
(1)における「め」は上下のまぶたで作られる形容しているので、眼球が丸いといっているわけではない。(2)の文の「め」とは、虹彩のことである。(3)では眼球が、またから外部に露出している部分の大きさを言い、(4)では視力のことであり、(5)眼球それ自体が凹んでいるわけではなく、眼球と顔面との相対的な位置が形容されているのである。
レンガが凹んでいるといえば、レンガの一部が欠けたか、とれたかしてほかの部分より引っ込んでいることであるし、赤い、重い、固い、四角いなどすべてレンガ自体についての形容であるのと比べると、「め」という言葉が指す対象がいかに変化するかに、④いまさらのように驚かされるのである。いったい日本語の「め」とは、体のどの部分を指す言葉であろうか。
はじめ人間の顔の各部分の名称を相互に比較した時は「頬」や「こめかみ」に比べて、「眼」はどちらかと言えば、(⑤)、いざその眼に焦点を当ててみると、⑥なにが眼なのか、はっきりしなくなってしまう。
問Ⅰ ①「この点を明らかにするために」とあるが、「この点」とはなにを指すか。
1「眼」がどの部分かはっきりしないと思う人が多いこと
2「眼」がどの部分かはっきりしないと思う人がいないこと
3「眼」がどの部分であるかはっきりしていること
4「眼」がどの部分かよく分からないこと
問Ⅱ なぜ②「そこでは『レンガ』という言葉と、レンガという対象の関係は不変である」と分かるのか。
1「レンガ」という言葉で表されるものは種類が少ないから
2「レンガ」という言葉で表されるものはいつも同じものであるから
3「レンガ」を表すほかの言葉が存在しないから
4「レンガ」がどの部分かよく分からないこと
問Ⅲ (③)には入るものとして最も適当なものはどれか。
1対象の言葉
2文の形の関係
3対象の関係
4形容詞の意味
問Ⅳ ④「いまさらのように驚かされるのである」と言っているが、筆者はなにに驚いているのか。
1「め」ということばが一定の部分を表していることに驚いている
2「め」ということばの現す部分は一定ではないことに驚いている
3日本語が考えていたより不正確であることに驚いている
4日本語は少ない言葉で多くの表現をすることが可能であることに驚いている
問Ⅴ (⑤)に入るものとして最も適当なものはどれか。
1それ自体の境界は明瞭だが、独立性の強いものではないように思えたのだが
2それ自体の境界は明瞭ではないが、独立性の強いものであるように思えたのだが
3それ自体の境界は明瞭な、独立性の強いものであるように思えたのだが
4それ自体の境界は不明瞭な、独立性の弱いものであるように思えたのだが
問Ⅵ 筆者は⑥「なにが眼なのか、はっきりしなくなってしまう」と言っているが、それはなぜか。
1「め」と言う言葉の対象が不変であるから
2「め」と言う言葉の意味が分かりにくいから
3「め」と言う言葉の対象が変化するから
4「め」と言う言葉の対象が存在しないから
問Ⅶ この文のタイトルとして最も適当なものはどれか。
1指示対象の神秘性
2指示対象のあいまい性
3指示対象の絶対性
4指示対象の対象性
[ 本帖最后由 浪迹的小鱼 于 2008-12-1 21:57 编辑 ] |