[安部公房]方舟さくら丸

安部 公房(あべ こうぼう、1924年3月7日 - 1993年1月22日)は、日本の小説家、劇作家、演出家。本名は漢字は同じであるが、公房の読み方は「きみふさ」。
東京府北豊島郡(現東京都北区)生まれ(本籍地は北海道旭川市)。少年期を満州で過ごす。戦後日本においてシュルレアリスムの影響を受け、人間存在の本質を見据えた前衛的な作品を発表し、三島由紀夫などとともに第二次戦後派の作家とされた。その作品は海外でも高い評価を得、30ヶ国以上で翻訳出版されている。
主要作品は、小説に『壁』『砂の女』『他人の顔』『燃えつきた地図』『箱男』など、戯曲に『友達』『棒になった男』『幽霊はここにいる』などがある。自らの演出による舞台でも国際的な評価を受け、晩年はノーベル文学賞の候補にも挙げられた。
あらすじ
豚呼ばわりされるなら「モグラ」と呼ばれたい主人公は元カメラマン。引きこもり同然のような生活をしているように思われているが、実は世界滅亡の危機に備えて、地下の巨大な採石場跡に現代の箱舟とも言うべきシェルターを作っていた。そして外に出ては、共にシェルターで過ごす資格のある人間を探していたところ、ユープケッチャという自分の排泄物を食べながら生きる虫を売っていた元自衛隊の「昆虫屋」、元サラ金の取立ての「サクラ」、「サクラ」のガールフレンドである結婚詐欺経歴のある女が見つかった。彼らとのシェルター生活を送る中、スイート・ポテトを販売する「千石屋」、高齢者の清掃ボランティア団体「ほうき隊」や不良少年グループ「ルート猪鍋」、両方の組織の長である「モグラ」の父親が現れて、世界滅亡ごっこがサバイバルゲームに変化していく。 |