日本は昔から天災の多い国であった。火山も多ければ、地震もある。夏の終わりから秋にかけては、毎年大小幾つもの台風に見舞われ、大雨が降れば、流れの速い川はたちまち氾濫して、周囲の田畑を 読み込み。冬は冬でまた逆に大陸からのからっ風で空気が乾燥し、毎年あちこちで山火事が発生する。......
天災の多かったことは日本人の心の中に、物事をすぐ忘れすぐ諦めるという癖をつけてしまったように見える。天災に打ち勝つためにはどうすればよいかを考え抜き、粘り強く工夫を重ね、根本的な対策を立てる代わりに、天災だから 仕方がない 、失ったもののことはさっぱり諦めきっぱり忘れて、もう一度新しく一からやり直すほかないと考えて、自分を納得させてしまう気持ちである。このようにして、打ちのめされてもまたやり直し、毎回同じことを 繰り返していく 。その気持ちはさらに、遠い将来のことなどあまり深く考えずに運を天に任せ、何か起こった時には、その都度その都度、その場その場で安易な一時しのぎの対策を講じて、それで済ませてしまうという一種の無責任さを植え付けてしまったようである。
* からっ風:水分の少ない強い季節風。 打ちのめす:徹底的な打撃を受ける。
一時しのぎ:そのときだけ何とかする。 講じる:する。
問1:何が「読み込む」のか。
1. 台風。
2. 周囲の田畑。
3. 流れの速い川。
4. 火山や地震。
問2:何が「仕方がない」のか。
1. 日本は天災が多いこと。
2. 日本に住んでいること。
3. 被害を受けたこと。
4. なくしたものを諦めること。
問3:何が「繰り返していく」のか。
1. 台風。
2. 山火事。
3. 日本の四季。
4. 日本人。
問4:何が「植え付けてしまった」のか。
1. 台風や地震などの天災。
2. 物事をすぐ諦め、すぐ忘れる癖。
3. 粘り強く重ねる工夫。
4. その場限りの一時的な対策。 |