英会話のクラスでアメリカ人の先生に「ノーならノーと、もっとはっきり言いなさい。あなたがた日本人のそのあいまいな態度は無責任ですよ。」と 注意され 、山下秀雄氏の『日本のことばとこころ』という本の中に、日本人が一般的にはっきりノーと言わないのは、日本語の構造と関係があるのでは、と書いてあったのを思い出した。「見ませんでしたか。」と聞かれて、見なかった場合、英語では「ノー」と答えるのに対し、日本語では「はい」と答える。すなわち英語の場合にはお互いが客観的事実を見て、その事実に対してイエス、ノーを言うのに対し、日本語の否定は相手の質問そのものに向けられる。きっぱり否定することは、事実の否定を飛び越えて相手の考え方に対する否定と受けとられかねない。日本人はその控えめな「ノー」によって、否定が相手に対してではなく事実に対してのみ限定されることを無意識のうちに伝えようとしているのではないか、と山下氏は指摘していたが、なるほどそうか、と思った。だとすれば、「ノー」とはっきり言える日本人になるということは、かなり難しいことかもしれない。
問:なぜ先生に「注意された」のですか。
1. 日本人が無責任な答え方をするから。
2. 日本人が「ノー」をはっきり言わないから。
3. 日本人が客観的事実をしっかり見ないから。
4. 日本人が相手に誤解されることを恐れているから。 |