...友人から聞いた話である。彼は、だいたいが慎重な運転をする男だったが、ある日のこと、横丁から突然、そば屋の青年が自転車で飛び出してきて、彼の自転車と衝突してしまった。
幸い青年にはけがはなかったが、自転車はメチャメチャ。...警察官もやってきた。友人が、「私には責任はない。その青年の不注意だ」と主張すると、その話を聞いた警察官は、とにかく五千円払えば立ち去ってもよい、と言ったという。
友人が、「...。私には落度がないのに、なぜ罰金を...」と問い返すと、彼は「いや罰金じゃない。青年がかわいそうじゃありませんか」と答えた。...せめてメチャメチャになった自転車の代金の一部だけでも、と警察官は考えたのだろう。
悪くすると、これは大きなトラブルになりかねない。友人は根が日本びいきで、日本語も日本人的心情も理解していたから、それ以上の論争にはならなかったが、どちらがよいか悪いかの問題ではなく、西洋と日本では、法や正義に対する考え方が、全く違うことがわかる。...(ヨゼフ?ロゲンドルフ「ニッポンの大学生」)
問:「悪くすると」とあるが、例えばどういうことか。
1. 青年がその事故で病気になったりすると。
2. 警察官がその青年にお金をあげたりすると。
3. 私がそれをほかの人に話したりすると。
4. 友人がそれを法的に問題にしたりすると。 |