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財務諸表講座

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发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层 |阅读模式
  第1回 重要な会計方針を知っておこう-その1-

“将来、より大きな利益をあげそうな会社はないだろうか”“持っている銘柄は今後利益を伸ばすだろうか。それとも業績が低下する心配はないだろうか”有価証券報告書は投資家がこのような疑問を解決するうえで最も基礎的な情報を提供するものであり、まさにそのような目的のために法律によって作成が義務づけられているものです。

投資を考えるために有価証券報告書を利用する場合、会社の財務内容を知ることが最も重要なことです。このシリーズでは有価証券報告書から会社の財務諸表、連結財務諸表を読むうえで、ぜひ知っておきたい事項のいくつかを解説していきます。

有価証券報告書の「第5 経理の状況」には直前2期分の会社の決算期末の財政状態を示す貸借対照表、事業年度を通じての業績を示す損益計算書、利益の処分方法を示す利益処分計算書及びそれらの附属明細表、以上を総称して財務諸表と呼ばれるものと、それらを補足する情報が記載されています。

会社が行ういろいろな取引を記録して報告するため財務諸表を作成する作業を会計と言います。会計には誰が読んでもわかるように、そして昨年と今年と、あるいは他の会社との比較ができるように、一定の、もしくはいくつかのものから選択できるルールが定められています。いったん選択したルールはみだりに変更することはできません。

いくつかの方法の中から一つを選択したものが、その会社の「重要な会計方針」として、財務諸表の注記事項の初めに必ずまとめて記載されます。財務諸表を読む時にはこの会社が選択した「重要な会計方針」を知っておかないと、直接比較できないものを比較したり、隠れているリスクを見落としたりしてしまうことにもなります。

「重要な会計方針」には次のようなものがあります。

(1)有価証券の評価基準及び評価方法

(2)棚卸資産の評価基準及び評価方法

(3)固定資産の減価償却方法

(4)繰延資産の処理方法

(5)外貨建資産及び負債の本邦通貨への換算基準

(6)引当金の計上基準

(7)収益及び費用の計上基準









「重要な会計方針」はいったん決めたら絶対に変更できないというものでもありません。周囲の情勢が変わったり、製品そのもの、製品の製造方法や販売方法が変わったりすると、会計方法も変えないと財政状態や経営成績を正しく表せなくなることもあります。

以下、「重要な会計方針」の代表的なもののいくつかについて注意すべきことを説明しましょう。


(1)有価証券の評価基準及び評価方法

会社は短期的な資産哂盲韦郡幛渌位嵘绀蛑浃筏郡辍ⅳ蓼郡祥L期的な投資目的で株式、国債、社債等の有価証券を保有します。有価証券のうち、流通市場で取引されているものは価格が変動します。また、市場取引は行われていなくても、特に株式の場合はその会社の財政状態、経営成績が悪化すると実質的価値が低下することがあります。

市場性のある有価証券(上場もしくは店頭登録銘柄)の評価基準は原価基準と低価基準のどちらかが選択できます。

原価基準(原価法)というのは、購入した価額のままで評価し、市場価格が変動しても評価額は変えないという基準です。したがって原価基準をとっていれば取得価額より値上がりすれば含み益が、値下がりすると含み損が発生することになります。ただし、著しく価値が下落した場合は原価基準をとっていても、実質的価値まで評価の切り下げを行わなければなりません。

低価基準(低価法)というのは、取得価額より値下がりした場合にのみ、期末の市価にまで評価額を下げるという方法です。評価は銘柄毎に行われ、値上がりしている銘柄は原価のままで評価されますから、低価法をとっている限りは含み益は発生することはあっても含み損はないことになります。

同じ銘柄を何度にも分けて買った場合、例えばある銘柄を100円で買ったものを1,000株と、110円で買ったもの1,000株の合計2,000株持っていたとした場合、購入の都度合計の価額を平均して、105円とする評価方法を移動平均法といいます。有価証券の評価方法はこの移動平均法が最も一般的ですが、同じ銘柄でも買った時の値段で区別して管理する個別法という評価方法を採用する会社もまれにはあります。

例えば、上の例で、その後1,000株を110円で売ったとすると、移動平均法で評価している場合、5,000円の利益が出ますが、個別法では10,000円の利益が出る場合と全く利益が出ない場合とが生ずることになります。

原価法をとっている場合、会社の保有している有価証券の合計で含み損になっているのか、含み益があるのかはわかりません。また、低価法をとっていても含み益がどの位あるのかもわかりません。

そのような疑問に答えるため、最近、有価証券報告書の「経理の状況」の一番最後に「有価証券の時価情報」という項目が設けられました。ここでは保有しているすべての市場性のある有価証券の期末現在の時価の合計額が、有価証券の種類毎に示されています。たとえある銘柄で評価損がでていても、別の銘柄でより大きな含み益があれば全体として損にはなっていないことがわかります。

有価証券は本来的にはリスクの高い(儲けも大きいが損をすることもある)資産なのですが、長期的に値上がりが続いているとそのリスクをつい忘れがちになります。貸借対照表によって、会社の持っている資産のどの位が有価証券なのかということもよく見ておきましょう。



(2)棚卸資産の評価基準及び評価方法

卸売や小売を行う商業の会社では、販売するために仕入れて店頭や倉庫に置いてある商品のことを棚卸資産と言います。製造業の場合は、製品の原材料や部分品として外部から購入したもの、製造して出荷する前の製品等が棚卸資産です。製品を完成するまでにいくつかの工程を通る時には、製造工程の途中にあって製造中のものを半製品もしくは仕掛品と言い、これも棚卸資産に入ります。また、工場で使う燃料なども貯蔵品といって棚卸資産に含まれます。

棚卸資産は購入価額で評価されるのが原則ですが、なかには有価証券と同じように市場で取引相場が立っていて、購入した価額より値下がりすることもあるし、ファッション性が高い商品の場合、時間がたつと価値が下がって予定した値段では売れなくなることもあります。

一例として、外国から原料大豆を輸入して、油を絞って販売する会社のことを考えてみましょう。輸入大豆を船で輸送中に大豆の相場が低落し、製品である油の方が先に値下がりしてしまうということも起こります。輸送中に決算期を迎えた場合、船の中にある大豆の価額を時価にまで評価減しておかないと翌期に損失を繰り越すことにもなります。

このような場合に備えて棚卸資産の評価基準にも低価基準を採用することができます。低価基準をとる場合、その時価はどのようなものを採用したらよいかということが問題になります。製品や半製品、仕掛品の場合は期末現在で販売可能な価額ということになりますが、原材料や仕入商品の場合は期末現在で同種のものを仕入れることのできる価額が使われることが多いようです。

商品は仕入れて倉庫に入れ、販売する時順次出荷します。仕入も出荷も随時行われます。原材料も必要なときに何回にも分けて購入される一方、毎日生産工程に投入されます。これらの出し入れを記録して売上原価または製造原価の金額を決定する方法が棚卸資産の評価方法です。

評価方法には先入先出法、後入先出法、移動平均法、総平均法の他、百貨店や量販店で用いられる売価還元法等いろいろなものがありますが、品物の性質、価格変動の違いによりふさわしい方法がとられているかどうか、よく見ておかねばなりません。
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 楼主| 发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层
 

第2回 重要な会計方針を知っておこう-その2-

このシリーズでは財務諸表を読むうえで、ぜひ知っておきたい事項を解説しています。

第1回では、会社が行う取引を記録して財務諸表をつくる作業を会計と言い、その会計にあたっては、会社が選択したひとつのルールを「重要な会計方針」として、財務諸表の注記事項のはじめに記載しなくてはならない、ということを説明しました。さらに、「重要な会計方針」の代表的なものとして、(1)有価証券の評価基準及び評価方法、(2)棚卸資産の評価基準及び評価方法について解説しました。引き続き、「重要な会計方針」のなかから主なものを取り上げます。

(3)固定資産の減価償却方法

会社は商品の生産や販売をするために長い間継続して使う目的で資産(固定資産)を取得します。大きいものは工場、機械やビル、航空会社では旅客機のようなものです。固定資産は長く使用しているうちに壊れて使えなくなったり、更新しなければ目的通りに使えなくなります。工場の機械や装置も原材料と同じように製品を作るために使われるのですから、使用している間はそれらを買うために支払った金額を毎期製造原価の一部として、適切な方法で計上する必要があります。このように固定資産の購入価額を毎期の費用に配分することを減価償却と言います。

毎期の減価償却額は固定資産の取得価額、耐用年数、耐用年数が終了した時の残りの価額と減価償却方法の4つの要素で計算されます。前の3要素は税法が定めている基準が用いられることが多いようです。まれに耐用年数や残存価額に会社独自の方法が採用されることもあります。

減価償却方法は他の方法が採用されることもありますが、ほとんどの会社が定率法か定額法を採用しています。

定率法とは毎期償却前の価額に一定の率をかけて償却額を計算する方法です。一定の率というのは耐用年数が終了した時に帳簿の価額が残存価額に等しくなるように計算された率です。定率法だと固定資産の使い初めの期間に償却負担が重くなり、段々費用計上額が少なくなります。したがって、耐用年数が終わらないうちに技術革新が起こって使っている設備が陳腐化したりした場合、定率法を使っていると、その設備を廃棄した時の臨時損失も比較的少なくてすみます。

定額法は使用期間中の償却額を毎年均等に計上する方法で、計算もしやすく毎期の費用も等額となりますが、途中で廃棄する時の損失は定率法を使っている場合と比べて大きくならざるを得ません。

定率法も定額法も設備の使用の度合いに関係なく、時間の経過によって費用として計上されますが、このほかに生産高比例法という方法がとられることも、まれにあります。

減価償却の目的の一つに設備投資資金の自己調達があります。毎期減価償却費として計上しても、その金額は社外に支払われるわけではなく、社内保留となりますから、資金は新しい設備の購入に使うことができます。
 

(4)収益及び費用の計上基準

商品を顧客に販売する取り決めをし、出荷する。その後で代金を回収して一連の販売行為が完結します。代金を手形でもらってきた時は、その手形が現金化されなければ販売行為は完了しません。

この中で会計のルール上は原則として、商品を出荷した時点で売上高を計上することとしています。店頭で代金と引き換えにお客様に商品を渡す時には、上の行為すべてがほとんど同時に行われますので、問題は何も起こりません。

海外旅行をする時、旅行者は前もって航空券を代金と引き換えに購入します。航空会社はたとえ代金をもらっても航空券を購入した旅行者が旅行を開始するか、または旅行を完了するまでは売上高を計上しません。この場合、航空会社は旅行前に受け取った代金を売上高を計上するまでは前受金として負債にしておきます。

これら二つの例は実現主義で売上高を計上したと言うことができます。それにひきかえ次の例は実現主義とはいえない特殊な収益の計上方法です。

建設会社は通常、工事が完成して発注者に引き渡した時(実現時)に完成工事高(売上高)を計上しますが、完成までに数年を要するような大きな工事を請負った場合、工事の進行度合いに応じて分割して完成工事高を計上することがあります。

売上原価等の費用も、可能な限り売上高と対応して計上するのがルールです。先に費用だけ計上したり、収益を先に計上しておいて後から遅れて費用を計上するようなことは許されません。

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 楼主| 发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层
第3回 重要な会計方針を知っておこう-その3-

(5)引当金

──貸倒引当金で説明すると──

店頭で現金販売を行うデパート、スーパー等の小売業や鉄道、航空会社等の一部のサービス業以外は、わが国のビジネス慣習では、製品・商品の販売はもっぱら掛売りが行われることが多いようです。書面で交わされているかどうかは別として、売り手と買い手の間で了解に達した条件で契約をしたうえで、その商品を引き渡し、後日売り手は買い手に代金を請求して支払ってもらう、という形で取引が行われます。

企業はこのような営業活動を毎日行っています。掛売りを行うと、帳簿には売掛金が記入されます。この売掛金は後日、当初の契約条件にしたがって買い手から支払ってもらうのですが、時として買い手が条件通りに支払えなくなってしばらく滞ったり、回収不能になったり、いわゆる「貸倒れ」が発生することがあります。

決算期末にある売掛金の残高について考えてみましょう。仮に、月中に売った分の支払いをまとめて2月後の月末という条件で毎日同じような販売活動が行われているとすれば、期末の帳簿には平均して3カ月分の売掛金があることになります。過去の実績から考えますと、この残高全額が必ず期日どおりに回収できるとは限りません。顧客の中には最近売上が落ちて業績があまり芳しくない先もあるかもしれません。

売掛金のなかから将来貸倒損失が発生することが高い確率で見込まれるとすれば、その損失見込額を期末の残高のなかから控除しておかないと、貸借対照表は財政状態を正しく示しているとはいえません。この回収不能見込額として、貸借対照表の資産の部に△マークをつけて計上されるのが貸倒引当金というわけです。

──引当金計上の3条件──

引当金は、

 (1)将来損失または費用が発生する可能性が高く

 (2)その原因が期中に発生しており

 (3)失または費用の金額が合理的に見積もりすることが可能

という3つの条件がそろった場合に期末の貸借対照表に計上されます。

貸倒引当金は引当金の典型的なものですが、その他にも賞与引当金、販売費引当金、返品調整引当金、退職給与引当金等各種のものが見られます。

「重要な会計方針」には、計上したこれらの引当金の計上理由と計上基準、すなわち上の1.~3.が説明されます。

わが国では給与規定または労働協約によって決められて、従業員に毎年一定の時期に賞与が支払われます。10月から翌年3月まで勤務分の賞与を6月に支払う、と決められている場合、3月の決算期末に6月に支払う見込額を、例えば前年の実績によって計算して引当てることが行われます。

販売代理店と一定の条件で返品することを認める契約を結んでいる場合、既に計上した売上利益相当額から返品見込分を控除しておく必要があります。この場合の返品見込額を過去の長い実績平均返品率をもって計算するのが合理的といえるでしょう。これが返品調整引当金です。

──税法の影響──

引当金計上の3番目の条件「金額が合理的に見積もり可能」の、計算の合理性を説明するのはなかなかむずかしいことです。日本の会計ではこれに税法がからんできますので、さらにややこしくなります。先の貸倒引当金の場合で考えてみましょう。

例えば、税法の法定繰入率によらないで、過去長い期間(例えば5年)の貸倒実績率の統計をとっておいて、その平均の率によって毎期の計上額を計算するのも合理的といえるでしょう。しかし、貸倒れはいつも平均的な金額で発生するわけではありません。代わりに、毎年個々の顧客の信用度を調査して貸倒れ発生の推定をするのも時としては有用ですが、あまり現実的とはいえません。

税法は課税所得計算のために、減価償却の時の耐用年数を定めているように、損金に計上できる引当金の計算基準を定めています。一方、税法は、確定決算主義といって、決算書に計上した額しか損金として所得から差引くことを認めません。つまり、決算書に貸倒引当金を8億円と計上したら、たとえ税法の計算基準によって計上できる最大の額が12億円あっても8億円しか損金と認めないことになっています。

日本では税法に定めた計算方法で計上すれば合理的な見積額と認めていますので、引当金の計算基準が企業毎の実態によって計上するよりも、「法人税法の規定による繰入れ限度相当額(法定繰入率による)を計上している」と記載されることが多いようです。

上記の貸倒引当金の税法による計算方法の一つである法定繰入率は、大きく業種を卸・小売業、製造業、金融業、その他事業及び割賦小売業の5業種に分けてそれぞれの繰入率を定めています。例えば、卸・小売業は1,000分の10ですが、金融業は1,000分の3となっています。

この法定繰入率は個々の企業の事情は全く考慮しませんので、貸倒率の低い会社にとっては、法定繰入率を使って計上すれば節税効果を上げることができますが、その場合貸倒引当金の一部は、実態は利益の一部とみられないでもありません。

反対に、法定繰入率で計算した以上の貸倒が見込まれるような会社の場合、税法基準だけに頼らず必要額を独自に計算して追加計上している例もかなりあるようです。この場合、追加計上額は税法上必ずしも損金にはならず、所得に加えて税金を払わねばなりません。実態としては必要なのに、収益に余裕がないと税金を払ってまで計上するのはなかなかむずかしいこともあるでしょう。

このように、日本の会計には税法の規定が大きな影響を与えていて、決算書が必ずしも財政状態、経営成績の実態を表しているとは言いがたいこともあることは知っておかねばなりません。

──資産評価の引当金と債務の引当金──

貸借対照表を見ると貸倒引当金のように資産の部(借方)に△をつけて計上されるものと、賞与引当金や退職給与引当金のように負債の部に計上されるものとがあります。貸倒引当金は売掛金や貸付金のような資産に計上されている金額の評価にかかわるものなので、評価性引当金と分類されています。一方、賞与や退職金は将来支払わねばならない債務とみられますので負債に計上されるのです。
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 楼主| 发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层
 

第4回 重要な会計方針の変更の意味するもの

財務諸表における「重要な会計方針」が変更される場合があります。どのような時に変更され、またその意味するものは何でしょうか。

3)意外に多い会計方針の変更  

前回まで、財務諸表を比較分析し理解する時に先ず重視しなければならない「重要な会計方針」すなわち、会社の採用する会計処理の原則及び手続きのいくつかを見てきました。これらの会計方針は毎期継続して適用し、みだりに変更してはならないものとされています。変更すると、財務諸表の利用者にとって最大の注目点である利益が変わることになり、前期や前々期との比較が困難になるからです。

 ところが、東京証券取引所の調査によりますと、95年度(96年3月末に終わる1年間)には、1部、2部上場会社合計1,729社の内135社の財務諸表の監査報告書に重要な会計方針の変更を行った旨の限定意見が付いていたそうです。さかのぼりますと、89年度にはそれが277社もあり、その後数年間は200社を超えていたようですから、最近の数年間を平均すると、おおよそ毎年10社に1社、別な言い方をすれば、ここ5~6年間に全上場会社の半数以上に会計方針変更に関する限定意見が付けられていた計算になります。

 一方、96年7月4日付けの日本経済新聞は、銀行、証券、保険の3業種を除いた上場企業で96年3月期決算に会計処理変更を行った会社は157社あったと伝えています。3月決算会社は全上場会社の8割程度であり、更に、集計に除外している業種も加えれば会計処理を行った会社の数はもっと多くなります。監査報告書に限定意見が付けられたのは変更の結果、財務諸表に重要な影響を与えたと監査人が判断したものだけですから、影響が軽微なのを加えると会計処理変更を行った会社は監査報告書の集計よりはかなり増加することになります。

反対の効果を持つ二つの事例

 次に会計処理の変更を事例で見ることにしましょう。

事例1.不動産会社の費用の計上基準の変更

 中高層住宅の発売に係わる物件パンフレット等の広告宣伝費については、従来、発生時に期間費用処理していたが、当期より物件の引渡時に費用処理する方法に変更した。この変更は、新規発売物件の大幅な増加により、発売時の物件に係わる広告宣伝費の金額的重要性が増している状況に鑑み、発売から引渡しによる売上計上までに相当期間要していることから、より費用収益の対応を明確にし、経営成績を適正に表示するために行ったものである。

 この変更により前期と同一の基準によった場合と比べ営業利益は6,100百万円増加し、 経常利益及び税引前当期純利益はそれぞれ同額増加している。

これはある不動産会社の財務諸表の「重要な会計方針の変更」の記載内容をそっくり写したものです。

 この会社の有価証券報告書の「第2 事業の概況」を読みますと、マンションの発売は 工事着工とほぼ同時に行っていることが解ります。発売に先立って広告宣伝が行われるでしょうから、工事が完成して売上が計上されるよりもかなり前に広告宣伝費が使われることは理解できます。

 一方、損益計算書の経常利益は 5,766-6,100=-334百万円 と、変更しなければ経 常損失であったことになります。会計処理の変更によって赤が藟浃铯盲郡铯堡扦埂
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 楼主| 发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层
第5回 財務諸表と監査

監査は信頼性を高める

 この連載の第1回で、会社は「行った取引を記録して報告するため財務諸表を作成する」と述べました。これを別な面から言いますと、「会社の経営を委された社長を始めとする取締役が、株主から預かったお金(資本)を諏gに哂盲筏拷Y果を、出資者に報告するために財務諸表を作成する」ということになります。

 報告を受ける株主は公開会社の場合、株主名簿に登録されている株主だけでなく、市場に参加する投資家すべてを指すことになります。出資証券である株券は公開の市場で売買されているのですから投資家は誰でも総ての会社の潜在的株主といえるわけです。

 報告を受ける株主の側からすれば受けた報告(財務諸表)に大きな誤りがあっては困ります。一方、委された経営者の方では、自分が諏gに責任を遂行し、報告が正しいものであることを誰かに証明してもらう必要が生じます。このように、経営者が責任を全うしたかどうか、そして、作成した報告が信頼できるものかどうかを調べるのを広い意味で監査と言います。

 監査は会社の財務諸表を分析したり評価することとは異なります。分析や評価は財務諸表を読む人の仕事です。投資をしようか判断するときに重要な材料となる財務諸表が信頼に足るものかどうかを読む人に知らせるのが監査報告書であるわけです。

 「あの人は高い能力を持っているし、人格も高潔な人だから全面的に信頼して委せておけば大丈夫、調べるなんて信頼を裏切る行為であり、そんなことをすればやる気を失ってしまう。思うままにさせておけば最高の能力を発揮してくれるのだから黙って委せて置こう。」という考え方と、「いや、どんなに高い能力を持ち、人格の高潔な人でも人間は必ず間違いをしでかすものであるし、第一広い会社の隅々まで眼が行き届くはずがないから専門の第三者に調べてもらう必要がある。」という対立する二つの考え方があります。

 監査はこの内、後者の考え方に基づいて行われるものです。
 

監査とプロフェッショナル

 監査はこのようなものであるため、次の三つのことが重要になります。

 第一に、監査をする人、即ち監査人は会社及び経営陣と利害関係のない人でなければなりません。

 第二に、監査人は監査の仕事に練達し、高い専門的能力と豊かな経験を持った人でなければなりません。

 第三に、詳しく調べれば精度は高まりますが、それだけ時間と費用がかかります。監査は効率性高く行われる必要があります。

 第一と第二は監査をする人についての問題でありますが、このような人のことを総称して職業的専門家(プロフェッショナル)と言うことがあります。正確に言いますとプロフェッショナルは、利害関係を持たず、経験が深く、専門分野に精通しているだけでは足りません。その上に公共に奉仕するという意識を持ち、人格の高潔さが要請されます。監査人がそのようなプロフェッショナルであってこそ、一般の投資家は安心して財務諸表を利用することができるからです。
 

「適正」の意味するもの

 有価証券報告書の「第六 企業集団の状況」の後ろに、通常監査をした監査法人または公認会計士から会社の社長に宛てて提出された「監査報告書」がついています。

 監査報告書には、固有名詞以外どれもほとんど変わらない決まり文句が記載されています。正直言って、退屈なだけでいちいち読む気にはならないものでしょう。決まり文句の最たるものは結論の最後が必ず「・・日現在の財政状態及び・・年度の経営成績を適正に表示しているものと認める。」で結ばれていることです。

 「適正」であって「正しく」ではないのです。「正しく」と書いた場合は財務諸表及び連結財務諸表の隅々まで絶対的に正しいと保証することになります。

 監査はもともとそのようなことを証明するために行っているものではないのです。そうかと言っていいかげんに監査しているのとも違います。英文の監査報告書でも“present fairly (適正に表示)”と言い、“true and correct(真実かつ正しく)”とは言っておりません。

 大変おおざっぱな表現になってしまいますが、「適正」ということは「会社やその経営陣と利害関係をもたず、しかも専門的能力を持った監査人が規則で定められたものの中から最も効果的と判断した手続きによって監査した結果、この財務諸表等は全体として信頼に足るものと認めました」と言っていると受け取ったらよいでしょう。最初にも申し上げた通り、監査は財務報告の信頼性を高めるために行われるものと理解すべきなのです。
 

監査報告書を読んでみよう

 無味乾燥かも知れませんが、辛抱して一度監査報告書を読んでみましょう。監査報告書に書かれていることは一字一句が大変重要な意味を持っており、余分なことは一切書かれていません。監査報告書に決まり文句以外のことが書かれていたら、かえって、注視しなければなりません。

 監査報告書の宛て先の下には日付が書かれています。この日付は定時株主総会の開催日と一致します。細かく言いますとこの日付も重要な意味を持つことがあるのですが、長くなりますので省略します。

 その下に監査した監査法人の名前と実際に監査を行い報告書に責任をもっている監査法人の社員である公認会計士の名前が自署され印鑑が押されます。

 本文の最初のパラグラフは監査が証券取引法の第193条の2の規定に基づくものであることを明らかにしています。その後に監査の対象となった財務諸表及び連結財務諸表を特定しています。

 「証券取引法第193条の2の規定に基づく」というのは、他の法律、例えば商法に基づいたり、任意に行ったものではないと言っているばかりでなく、監査する人が発行会社と利害関係のない公認会計士または監査法人であること、更には、法令で定められた監査の基準及び手続きを実施していることを意味しています。

 このことは、そのすぐ下でもう一度明瞭に言っています。「一般に公正妥当と認められる監査基準に準拠し、通常実施すべき監査手続を実施した。」と書かれます。

 この言葉の意味を少し詳しく説明しますと、

(1)      財務諸表が証券取引法に定める財務諸表等規則に従って作成されている。

(2)      大蔵大臣の諮問機関である企業会計審議会が公表している監査基準、監査実施準則に従って監査を行ったのであって、監査人が勝手に判断して適当に選んだ手続きを行ったのではない。

(3)      監査したと言っても、会社の行った取引の総てを調べているわけではない。適切な範囲で対象を選んで試査している。裏返して言えば、会社の組織や会計の仕組みから、試査するだけで全体を判断できるような状況にあると監査人は認めた。

ことになります。
 

監査意見と重要性

 「監査の結果」以下はいよいよ監査意見の表明です。意見は財務諸表と連結財務諸表別々に述べられますが、それぞれ前半には

(1)      財務諸表を作成するために会社の採用した会計処理の原則及び手続きが、一般に公正妥当と認められる企業会計に準拠していること

(2)      それらの原則及び手続きが前期と変更がないかどうか

(3)      財務諸表の表示が財務諸表等規則に準拠しているかどうか

の三つが述べられます。

 そして後半は監査の対象となった財務諸表が会社の財政状態及び経営成績を「適正に表示していると認める」という総合意見が述べられます。

 (1)(2)及び(3)にはそれぞれ「・.・.・.を除き」という、いわゆる限定意見が付くことがあります。ただし、(1)が準拠していないと商法に基づく監査上「適法」ということにならないので、大会社では(1)の限定意見がつくことはほとんどありません。(2)の限定意見は前回の「重要な会計方針の変更」のところで述べました。

 監査意見には常に、ことが重要であるかどうかの判断がついてまわります。財務諸表全体に大きな影響を与えていない規則違反や会計方針の変更が見付かっても「・.・.・.を除き」とは一々書かれないことがあるのです。その辺の事情は前回にも触れています。

 監査意見に限定意見を書くかどうかの重要性の判断は画一的な数量的基準があらかじめ定められているわけではなく、高度の知識と経験を持ったプロフェッショナルである公認会計士または監査法人が量的、質的両面から検討して自主的に行います。

 監査は会社がまず財務諸表を作成し、後から監査するという手順で行われますが、公開会社の財務諸表で会計処理の準拠性の違反の限定意見が付いたり、まして適正に表示しているとは認められない、という意見のついた財務諸表はほとんど見たことがありません。会社も会計や財務諸表作成にかかわる規則をよく理解していますし、ふだんから、監査人と会社との意志の疎通ができていて、監査をすることが前提になって会社の方も不適当な処理はしないという防止効果が働いていると認められるわけです。

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 楼主| 发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层
 
 

第6回 財務諸表と資金収支

勘定と銭]

 「勘定合って銭足らず」ということがよくいわれます。文字通りの意味は、帳面づらは儲かっているのに、その割に手元にお金が乏しいことをいうようです。売上高を集計し、原価と諸費用を引いたら利益がたくさんあるのに預金残高はボーナスを払う資金にもことをかく、というようなことでしょう。

 損益計算書の上では利益がでているのに、手元の資金は不足がちということはそんなに異常なことでもありません。特に伸びている企業では往々にして起こることなのです。  この連載の第2回「重要な会計方針を知っておこう」の(4)収益及び費用の計上基準で説明しましたが、会計のルールとして売上高や費用を計上する時点と、現実の代金の受取や支払いの時点が異なるために、計算上は儲かっているはずなのに手元にお金がないということが起こるのです。

 損益計算書作成のルールでは取引を発生主義で計上して期間の損益を把握することが多いので、通常、代金の支払いは売上計上の日より後のこととなります。

 売上代金の回収の条件も仕入代金の支払いの条件も、例えば、両方とも月末締めの翌月末現金払いというように同じにしていたとしても、すべて右から左という訳にはいきません。仕入れたけれども月末現在まだ売れていない在庫の分は売れてから払うという訳にはいきませんし、家賃や給料・賞与の支払いは1カ月先まで延ばすこともできません。そのようにして「勘定合って銭足らず」は通常でも発生するものなのです。

 損益計算書上の利益を「勘定」とすれば、「銭」の方を「現金」または「資金」といっています。

 有価証券報告書にも、監査の対象とはなっていませんが、「第5 経理の状況」に「5.資金収支の状況」があり、期首の資金残高、事業活動に伴う収支、資金調達活動に伴う収支及び期末の資金残高が一表に示されています。事業活動で発生した資金の過不足を資金調達活動によって調整し、期末の資金残高としていることを示しているのです。米国においても監査対象に含まれる財務諸表の一つとして、連結キャッシュフロー計算書の開示が義務づけられています。
 

[キャッシュフローはどのように計算される]

 わが国の規則による資金収支表では事業活動と資金調達活動とに分けて、期中の総ての現金収入から総ての現金支出を差し引いて計算(直接法)されますが、その他の方法として、前期末、当期末の貸借対照表と当期の損益計算書を使って間接的な方法でも資金計算書は作成できます。ちょっと頭のこんがらがる話になるかも知れませんが、この仕組みを理解するとキャッシュフローとはいかなるものか、そしていかに大事なものかも解ります。

 間接的な作成の基本の式は次のものです。

前期末(=期首)資金残高+税引後利益+資金の支出を伴わない費用-資産の増(減)+負債の増(減)=当期末資金残高

 この式の内、資金の増減を事業活動に伴う項目、資金調達活動に伴う項目とに分けて計算し別々に表示し、最後にそれらを合計して総合資金の残高とします。式の中身を説明しましょう。

(1) 資金残高=キャッシュ

 貸借対照表の資産の部、流動資産の一番上にあるのが「現金及び預金」です。狭い意味ではこれが資金ですが、有価証券報告書の様式ではこれだけではありません。預金以外の資金の一時的哂脤澫螭扦ⅳ胗衼^券、金銭の信託等が加わります。米国の様式では現金預金に、購入日から3カ月以内に満期がくる投資を現金等価物として加えてます。現金以外の投資は現金化の可能な価額で金額を表す必要があります。

(2) 税引後利益

 損益計算書の法人税及び住民税を差し引いた後の当期純利益をまず期中の純収入とします。総ての取引が同時に現金決済されていれば、税引後当期純利益がその期の資金流入の純額なのですが、そうではないので(3)以下の方法でこれを調整します。

(3) 資金の支出を伴わない費用

 損益計算書上は費用とされますが社外に資金を支払われない費用があります。減価償却費や引当金残高の増加高がこれに当ります。資金計算では、これらは税引後利益に加える必要があります。

(4) 資産の増(減)

 売掛金や棚卸資産等の資産を表す項目の期首と期末の増差額を計算します。期首より期末の方が増えている場合は資金がそれだけ減り、逆に期末の方が減った場合は資金が増えたことになります。

 機械のような有形固定資産を売却した場合で考えてみましょう。売却すると資産は減少しますからその分だけ資金の増加になります。損益計算書に計上される固定資産売却の損益にこの資産減少額を加えると固定資産の売却による資金収入金額が計算されることになります。

 資金に含まれる有価証券の評価に低価法を採用した場合の評価損の金額や外貨預金等の期末の換算差損益も加算または減算されます。

(5) 負債の増(減)

 買掛金、未払金、預り金等の負債項目の期首・期末の差額を計算し、資産とは反対に、増加している時は減算し、減少していれば加算します。負債が増えると資金は増え、逆は減るという訳です。借入金や社債等は資金調達活動に伴う収支として増加は資金の増、減少は資金の減と計算されます。

 このように、貸借対照表と損益計算書を組み合わせて計算することによって資金ないしキャッシュフロー計算書を間接的に作ることができます。貸借対照表や損益計算書から直接、諸比率を計算して財務諸表の分析をするばかりでなく、それらを利用して間接的に資金計算書を作成して分析すると、表面上では解らない部分を見付け出すこともできるでしょう。
 

[資金計算書による財務諸表の分析]

 有価証券報告書の資金収支の状況の表は事業活動に伴う収支と資金調達活動に伴う収支の二つに分けて示しております。事業活動に伴う収支はさらに営業活動と投資活動の二つに分けて作成することもできます。あるいは、事業活動に伴う収支に金融収支(利息配当の収支)を加えて経常収支を計算することもできます。

 損益計算書の上では利益を計上していても、経常収支が赤字ということは時としてあるものです。売上高が増えるとき経常収支が赤字になることがあります。売上が増える時に在庫が増えることが多いのも一つの原因です。売上代金回収の期間の方が仕入れの支払い期間より長いとなおさら赤字の原因となります。

 伸びている時の一時的な赤字は健全といえるのですが、例えば売上高が増加しないのに在庫が著しく増えたり、回収の遅れている債権が増えたりした時の経常収支の赤字には注意が必要です。このような傾向が何期も続きますと問題です。赤字の真の原因が何なのか調べてみる必要があります。
 

[資金は有効に使われているか]

 期末の資金残高の中身の動きも注意する必要があります。資金は「現金及び預金」だけでなく、有価証券等の短期の投資も入るのですから、それらがどのように哂盲丹欷皮い毪摔忾v心をもたねばなりません。

 第一に、資金残高の相対的な大きさが問題になります。資金は支払手段ですから常にある程度の用意は必要ですが、円滑な取引が可能な程度を超えて多くの額を持たねばならない理由はありません。業種、取引形態によっても異なりますが、売上高の2~3カ月分も常時置いておく必要はないでしょう。本業と比肩しうるくらいの利益率の投資対象があるならば哂盲筏评妞蚣冥挨韦猡瑜い扦工⒆蚪瘠韦瑜Δ私鹑谏唐筏卫胜蔚亭い趣摔悉扦毪坤辟Y金残高を無駄に持たないよう心がける方が効率の高い経営といえましょう。

 本業の成長性が高く、しかもある程度の収益性が期待できるならば、事業の拡大に投資すべきであるし、収益性の高い新規事業に進出するチャンスがあるならば、リスクとの見合いもありますが積極的に投資をすることも考えられます。そのような投資先がない場合はまず利息の高い借入金を返済する必要があります。

 資金余剰が生じた場合の哂盲问侄韦趣筏谱陨缰晔饯钨I入償却があります。企業経営の目的が株主の利益を増やすこと、即ち、株主資本利益率(ROE)を高めることにあるならば、自社株式の買入償却はそのためには有効な方法といえます。

 株主資本利益率=当期純利益/株主資本

  (ROE) =(当期純利益/売上高)×(売上高/総資本)×(総資本/株主資本)

        =売上高利益率×総資産回転率×レバレッジ

(この式は株主資本利益率を上げるには売上高利益率を上げるか、総資本回転率を上げるか、それとも負債の割合を増やすかの三つの方法があることを示してます。)

 余剰資金を使って自社株式を消却すれば、総資本も減って回転率が高まることもありますが、レバレッジ(総資本の中の負債の比率)が上がる効果の方が大きいことが解ります。つまりROE計算の分母の株主資本が小さくなることによって、売上高利益率は変わらなくてもROEが高くなる計算になるのです。一方、自社株式の買入消却によって発行済株式数が減少しますから、1株当り利益が増える効果があるのも当然です。

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 楼主| 发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层
第7回 連結財務諸表

分社経営と連結財務諸表

 例えば加工食品といったような、全国的に消費者向けの商品を製造販売する会社が、販売部門を子会社として独立させることがよくあります。販売会社は親会社から仕入れた商品を全国の主要な都市に設置した支店、営業所によって直接その周辺地域にある小売店に、またはさらに地域の問屋さんを通じて他の小売店に商品を販売します。

 このような流通形態をとっていますと、商品は小売店の店頭に並んでいるだけでなく、製造会社はもちろん販売子会社、問屋にもそれぞれの顧客から注文があればすぐ応じられるように在庫されます。

 ここで問題になるのは子会社である販売会社にある在庫です。子会社はもう十分な在庫を持っていると思っていても、親会社から要請されれば買い取ることになるでしょう。一方、親会社ではたとえ相手は子会社でも出荷すれば売上に計上されます。売上高と原価との差額は親会社では利益に計上されます。

 ところが、この親・子会社を一体として経営されている組織と見た場合、親会社が子会社に売っても、子会社から外部へ売られない限りこの企業グループにとっては売上とは認められないでしょう。

 親会社単独の経営活動を表す財務諸表を個別財務諸表というのに対して、親・子会社の経営活動を一体の企業グループとして表すように作られたのを連結財務諸表といいます。

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 楼主| 发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层
連結財務諸表は粉飾決算を防止

 上の例でいえば、連結財務諸表上では、子会社である販売会社から商品が出荷されない限り売上高とはなりません。親会社は子会社へ売ったことにして個別財務諸表では利益を計上できても、企業グループにとってはその利益は絵に描いた餅(未実現利益)です。子会社から外部に出荷されない限り在庫になりますから、子会社への売上高で親会社に計上された未実現利益も連結財務諸表では消えてなくなります。

 親会社を頂点としてその下に多数の子会社がグループとなって、一体として経営されている会社が最近では多くなってきています。上の例でも解るように、このような企業グループの経営活動は親会社の個別財務諸表だけを見ていたのでは実態がわかりません。

 わが国では証券取引法で有価証券報告書、届出書の添付書類として連結財務諸表が制度化されたのは昭和52年のことで、まだ20年の歴史しか持っていません。添付書類から本体に組み込まれるようになったのは、平成3年4月以後に開始する事業年度からですから、まだ5年しかたっていません。

 昭和40年代には上の例のように販売子会社を利用して押込み販売をすることによって粉飾決算まがいのことをやった例が多く見られました。わが国の連結財務諸表制度は、このような子会社を利用しての粉飾決算まがいを防止することを主な目的として--これが連結財務諸表を作成することの本来の目的ではないのですが--昭和52年に制度化されたのです。

 今ではわが国の公開会社の中で連結財務諸表を作成していない会社の方が少なくなっているようです。平成7年度でみますと、東証1部上場約1,300社の内約4分の3程度が連結財務諸表を作成開示しています。連続性のある統計ではありませんが、昭和61年度では有価証券報告書提出会社の61%が連結財務諸表を提出していたようですから、9年間で10%以上増えたとみてよいでしょう。最近は子会社の形で事業の分野や活動の面を広げている企業が増えており、財政状態や経営成績の実態を見るのに連結財務諸表の重要性はますます高まりつつあります。

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 楼主| 发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层
親子会社間取引の消去

 大会社が子会社を作って事業を展開するのには色々な理由があると思いますが、おおよそ分類すると次のように考えられます。

i)      販売部門子会社-総代理店の場合と地区別販売会社(国内及び外国)をつくる場合。

ii)      製造部門子会社-親会社が販売会社で製造の全てを子会社が行う場合と、製造工程の一部だけを子会社に受け持たせる。

iii)      中間品製造会社の場合その製品の加工製品の製造を子会社に受け持たせる。

iv)      事業の多角化部門を子会社に受け持たせる。

 この内i)、ii)及びiii)のケースでは必ず親会社と子会社の間で製品または商品の売買が行われます。i)は冒頭に説明したケースです。例えば、子会社が作った部品を購入して親会社が製品を組み立てるようなのが、ii)の典型です。また、プラスティックの樹脂メーカーが成型加工会社を子会社に持つようなのが、iii)の例になります。

 これらの場合、親・子会社間の取引は連結財務諸表では会社内部の移動と認識されますから、売上/仕入は消去されます。子会社の作った部品は親会社に出荷すれば子会社では売上高ですが、企業グループの連結財務諸表では親会社が製品に組み立てて出荷するまでは売上高にはならず、在庫となります。したがって、子会社が親会社に売上げた時に計上した利益も連結財務諸表では消去されます。その代わり、親会社が売上げた時には部品の原価は子会社からの仕入価額ではなく、子会社での製造原価が部品の原価となり、親会社の製品の製造原価は低く(利益は大きく)なります。

 もうお解りと思いますが、連結財務諸表は親会社と子会社それぞれの個別財務諸表を単に合計した財務諸表ではありません。親会社の下につらなる子会社が親会社の意志で一体となった一つの組織体としての活動を表す財務諸表です。売上/仕入、債権/債務等が重なるところは消去されて作成されるのです。

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 楼主| 发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层
連結財務諸表の重要なポイント

 連結財務諸表の作成にはかなり複雑な手続きが必要で簡単には説明しきれません。そこで、以下多少難しい説明になるかもしれませんが、連結財務諸表作成の骨組みについて説明します。

(1)連結の範囲

 現在のわが国の規則では、連結の対象となる会社は議決権の過半数を実質的に所有されている子会社となっています。実質的に所有というのは名義がどのようになっていてもということと、直接だけではなく間接的に持っている分も含めることを意味してます。

 原則として全ての子会社を連結の範囲に含めねばなりませんが、更生会社とか清算中の会社のように組織的に一体と認められなかったり、継続性に問題があると認められる会社や議決権の所有が一時的な場合等には連結の対象から外されることになります。また、「企業集団の財政状態及び経営成績に関する合理的な判断を妨げない程度に」と限定されていますが、重要性に乏しい子会社は連結対象会社とはならないことがあります。この重要性の判断基準については通達によって細かな算定基準が示されています。連結の範囲から外された子会社の株式の評価は下記の(4)で説明する持分法が適用されます。

(2)親会社の投資と子会社の資本の消去

 親会社の個別財務諸表(親会社単体の財務諸表を個別財務諸表といいます)の貸借対照表には通常、子会社株式は購入原価(額面で払い込んだものならば1株当たり額面金額)で計上されます。ところが、連結財務諸表を作成するときは親会社の持つ子会社株式(投資)は取得した日を基準に子会社の資本勘定を相手として消去されます。ところが、子会社株式の取得価額が子会社の資本勘定を上回っていたり、あるいは逆に下回る場合は、消し切れなかったり、余りが出たりします。そのような不足や余りは、その発生原因を調べて適切な勘定に振替えます。例えば、土地の含み益の分だけ高く買ったような場合は土地の価額に振替えるのです。

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 楼主| 发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层
(3)少数株主持分

 前述のように現在の連結財務諸表規則では発行済株式(議決権)の50%超を実質的に保有していることが連結の対象となる子会社の条件となります。

 被連結子会社の資本に外部の株主が少数持分を持っていることがあります。その場合、連結貸借対照表の資本の部には子会社の純資産の内、親会社の持分だけしか計上できませんから連結子会社の資本勘定の内、他の株主の持分相当額は少数株主持分として負債の一番下に計上されます。

(4)持分法

 親会社の投資対象会社の内、相手の議決権の20~50%を持っている会社は支配はできませんが、ある程度影響力は行使できることから、関連会社といいます。関連会社への投資もそれらの会社の財政状態、経営成績を連結財務諸表に反映させるため、持分法によって評価されます。

 対象会社の利益剰余金等資本勘定の増減に応じて、所有会社が、その持分相当額で投資有価証券を評価するのが持分法です。持分法で評価することによって対象会社の経営成績の内、企業グループに属する分だけを連結財務諸表に反映させることができるのです。

 連結された場合、資産や負債もすべて合算されますが、持分法が適用されると損益と持分の変動だけが反映されることになるわけです。もちろん、持分法を適用するに当たっては、親会社の利益から、対象会社から受け取った配当金及び相互の取引によって発生した未実現損益はそれぞれ差し引かれねばなりません。

連結の範囲のところで述べました「重要性に乏しい」として連結の範囲からはずれた子会社株式もこの特分法によって評価されます。

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 楼主| 发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层
第8回 連結財務諸表 その2

企業の変化で連結の重要性高まる

 わが国では、法人企業はそれぞれ独立的に邌婴丹欷雽g体であり、債権・債務も個別に認識され、処理されるのをルールとしてきました。ひとつひとつの法人に責任をとらせることによって取引の安全を図り、社会全体の経済発展を望んだわけです。ですから、企業の財務報告も個別に作成されるのがあたりまえで連結財務諸表制度という考え方はもともとわが国の制度にはありませんでした。

 企業グループといわれるものも、財閥グループのような緩いつながりのものはあっても、各種の企業を束ねて統一した意志で経営する、という形はあまり見られませんでした。中心となる大企業が本業に付帯する業務を子会社にやらせたり、他社と合弁会社を作ったり、企業買収や資本参加をしたりして新規の事業に進出するという例が多かったようです。子会社をはじめ、とりまく企業群も中心となる大企業に従属し補完する存在でしかありませんでした。

 わが国で連結財務諸表制度が開始されたころは個別と連結との差の大きい会社は少なくて、連結が個別の1割か2割増程度の総資産・売上高という例が多かったようです。ですから個別財務諸表だけでは企業実態が全く解らないというような会社はまれでした。それでも連結財務諸表の作成が必要とされたのは、前回にも述べましたように、関係会社が売上高や利益を多く見せるお化粧の道具に使われる例が目につきだしたからです。

 企業の財務分析の方法として、わが国において連・単比較が重要視されるのもこのような事情を反映しているからと思われます。ところが、最近では企業の活動が国際的な広がりを持ってきたり、本業から離れた分野への多角化が進んで行くにしたがい、子会社の活躍分野が拡大したり、事業の中の特定の機能を分社化する例も出てきて、連結財務諸表でなければ実態が解らない会社が飛躍的に増えてきています。

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 楼主| 发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层
持株会社には連結財務諸表が必須

 米国においてはじめから連結財務諸表の作成が義務づけられているのは、持株会社の下に実際の事業を行う子会社がいくつもぶら下がっているという形態をとる企業が多いという事情があるからです。

 例えばペプシコという会社は、事業の内容として、清涼飲料、スナック菓子及びレストラン・チェーンの3部門がありますが、3事業とも数多くの専門の子会社が実際の事業を行っています。公開されているペプシコ社は持株会社で、数多くの事業邌幼踊嵘缰晔饯虮S肖贰ⅴ哎氅`プ全体の戦略を立てて司令している、いわば参直静郡韦瑜Δ蚀嬖冥扦埂
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 楼主| 发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层
連結ベースが主体になる

 証券取引法の連結財務諸表制度は最近大きな改正に向かって動き出しました。企業会計審議会が6月6日に「連結財務諸表制度の見直しに関する意見書」を発表しました。それにしたがって規則の改正が行われますと98年4月以降開始する事業年度から順次、新しい規則により連結財務諸表が公表されることになります。

 改正の主な点は、

1.      従来、個別情報を中心としていたディスクロージャーを連結情報を中心としたものへ転換する

2.      連結の範囲の見直し等、連結財務諸表作成手続きの改訂整備

の二つに大別できます。

 意見書の全部を紹介することはできませんので改正点の内、筆者が重要と考えていることを二つだけ説明します。

 その一つは有価証券報告書の財務諸表の記載の順序が従来の個別・連結の順序から、逆の連結・個別に変わることです。そして、「営業の状況」や「設備の状況」の情報を連結ベースで記載するようになります。その結果「営業の状況」等における個別情報や、連結財務諸表では相殺消去される関係会社に関する付属明細表の一部がなくなったり省略されます。

 また従来、資金収支の状況は個別ベースで作成され、監査の対象ではありませんでしたが、連結財務諸表の一部として連結キャッシュフロー計算書が作成されます。連結財務諸表の一部ということは監査の対象となりますから情報の信頼性は著しく高まるのです。

 さらに、連結子会社を持っていないため連結財務諸表を作成しない会社についても個別財務諸表に関連会社に持分法を適用した場合の投資損益を注記で説明させるという改正も行われます。

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 楼主| 发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层
連結の範囲が広がる

 二番目は今回の改正のハイライトともいうべき点を含んでいます。連結対象会社の範囲は従来、相手の会社の議決権の過半数を所有している子会社だけだったのですが、改正後はそれだけにとどまらず、その他各種の手段で実質的に支配している会社をすべて被連結会社とするようになります。

 上場会社の中には新規に事業進出するときに新会社の資本金を企業規模に比較して極端に小さく、かつ、数人で分散出資して設立し、名目的な資本の所有関係では支配が及ばないように見せ、代わりに役員や資金の面で実質的に支配する会社を作っている例が少なからずあります。

 例えば、ある小売店チェーンの会社では、大規模な店舗を各地に展開するのに自社で直接設備投資をせずに一つ一つ別会社で行っています。店舗の規模は100億円を超える巨額の投資になるのに、当該会社は資本金1~2億円の小規模なものとし、親会社は20%未満の出資しかせず、残りは役員その他の関係者、あるいは商品供給会社等に分散して出資させています。

 このようにすれば形式的には子会社はおろか関連会社でもなくなりますから、連結対象にも、持分法評価の対象にもなりません。その上で、店舗建設等の必要資金のほとんどは親会社からの貸付金または保証によって銀行から借入れて調達します。

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