本帖最后由 阿门 于 2011-5-6 09:03 编辑
客を敬うことは亭主が謙虚になることである。それは茶の湯のもてなしのすべてに貫かれており、亭主の所作にも現れている。たとえば点前 (茶をたてる作法)も、ことさら客にみせびらかそうとはしない。道具の置き方にも、扱い方にもあらわれている。たとえ名器であってもそれを誇ることはしない。道具の正面はすべて自身の方を向け、客に請われたら、はじめて客の方に向けて差し出すのである。
こうした亭主の謙虚な姿勢は、茶室の平面(間取り)や構成にもあらわれている。茶の湯は、客の前でお茶をたてて客にすすめるのが建て前であり、客座と点前座が一つの部屋に結合されているのが茶室である。そして客は上座(じょうざ)に迎え、亭主は下座(げざ)である点前座にすわる。客座は上座、亭主の座は下座なのである。 茶室には床(とこ), が設けられる。床は単なる飾りの場所ではない。床は一段高い上段の形につくられる。そこは本来貴人(きにん) (特に身分の高い人)の座である。そこが飾りの場としても使われるのである。当然床のある方が上座になる。床の前では複数の客は平等である。第一客(正客)は床の前をあけてすわる。客もまた貴人の座に敬意を表するのが客の作法であった。
茶室の広さや構成は多様であるが、亭主と客が一室に炉を囲んで、親密な一座を結成するところに茶の湯の理想があった。一続きに連なった座に、亭主も客もすわっているが、その間には目に見えない上座と下座という区別が意識されていた。時には天井を点前座の上だけ一段低くして、天井の高い方を客座とすることもあった。天井の高低が上座と下座を表現すると同時に、亭主の座を謙譲に見せたのである。
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