|
毎年12月22日頃やってくる冬至(とうじ)。冬至は、太陽が黄道(おうどう)の最も低い位置にきた時のこと。地球は太陽の周りを回っているけど、地上から見ると太陽が移動しているように見える。黄道はこの太陽が空を通る道のこと。黄道の中で最も南にある点を冬至点といい、ここを通過した時が「冬至」になる。
まあ、この黄道の説明は正確ではないけど、簡単に言うと、冬至は一年で最も昼の短い日で、この日を境にして昼が長くなる、というのがわかりやすいだろう。
ならば最初からそう説明すればいいじゃないか...という声が聞こえてきそうだ。
それはさておき、冬至を境に日が長くなるため、古来より太陽が蘇る日とされ、この日は五穀豊穣を願い、盛大にお祭りして祝っていた。
日本でも冬至は「一陽来復(いちようらいふく)」とも言い、冬が終わり春が来ることを告げる日とされている。
さて、冬至になると決まって「ゆず湯」に入るという家庭もあるだろう。
バスタブに湯を張り、ゆずを浮かべる。ゆず湯に入ると肌がスベスベになる美肌効果があったり、冷え性やリュウマチにも効くし、体が温まってカゼをひかないとも言われている。
これらの効能は、ゆずに含まれている芳香成分――精油の働きによるもの。ゆずの精油にはピネン、シトラール、リモネンなどの物質があって、これらは新陳代謝を活発にして血管を拡張させて血行を促進。ノミリンなどには鎮痛・殺菌作用があるので、体が温まり、カゼなんかも治るのだ。
また、ゆずにも含まれているビタミンCが肌にいいことは広く知られているし、リモネンは皮膚に膜を作って、肌の水分を逃がさないようになっている。みかんの汁が目に染(し)みた!という経験が誰にも少なからずあるだろうけど、実はこのリモネンが原因だ。
他にも香りのいいゆず湯はアロマテラピーのリラックス効果も期待できる。
意外にも「ゆず効果」が高くて驚いてしまう。
でも、ちょっと待った。別に冬至じゃなくたって、「ゆず湯」に入ったっていいじゃないか? 何故、冬至に風呂なのだろうか?
この答えは「とうじ」という言葉にあるのだ。
冬至の読みは「とうじ」。というわけで、湯につかって病を治す「湯治(とうじ)」にかけている。更に「柚(ゆず)」も「融通(ゆうずう)が利(き)きますように」という願いが込められているのである。
5月5日に「菖蒲(しょうぶ)湯」に入るのも、「(我が子が)勝負強くなりますように」という、ゆず湯と同じ「願かけ」なのだ。
あれ? 融通も利かず、勝負強くもないのは、ゆず湯や菖蒲湯に入らないからなのか? でも、そんなことに金を投(とう)じるのはムダだから、それだけは譲(ゆず)れない、という貧乏性こそ、ゆず湯が必要!?...かもしれません。 |
|