当初から日の丸狙い ドイツ製高級車でクラクション鳴らし3キロ追走
2012.8.28 23:40
【北京=川越一】丹羽宇一郎駐中国大使の公用車が襲撃された事件で、中国人とみられる男が最初から公用車の日の丸を奪おうとしていたことが分かった。
関係者の話を総合すると、丹羽大使の車は27日夕、北京市内の環状道路を走行中、ドイツ製高級車に追尾された。渋滞に巻き込まれて停車した際、30代の中国人とみられる男が降りてきて、公用車の前方に備え付けられた日の丸の小旗を奪おうとしたという。
しかし車が流れ出したため、男は再びドイツ車に乗ってクラクションを鳴らしたりしながら公用車を約3キロにわたり追尾。最後は、別のドイツ製高級車とともに、公用車の前方に割り込んで強制停車させ、先ほどの男が日の丸を引きちぎるように奪っていったという。
丹羽大使は28日、事件について「極めて遺憾だ」とした上で、「中国外務省から厳正な捜査の確約があった。在留邦人や日本企業関係者が安心して生活できる環境の確保が重要だ」などとする談話を発表した。
日本側は同日、北京市公安局に再度、犯行に使われた車両のナンバーと写真を提供し徹底捜査を要求。同局は器物損壊容疑などで捜査に着手したとされる。
しかし昨年来、中国の愛国主義者の間には「反日無罪」との空気が蔓延(まんえん)しており、一部で英雄視されている男の摘発は当局批判に転化しかねない。
米国務省のヌランド報道官は27日、「事実なら非常に懸念される」と事件に言及した。
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