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家庭におけるしつけや学校における教育は、子どもをこちらの岸から会社というあちらの岸に渡すことだと思います。ところが、子どもを向こう岸に渡すとなると、得てして教師は橋を架けることばかりに熱中します。しかし、これは間違いです。
なぜかというと、こちら側にいる子どもたちは、それぞれいる場所が違うからです。上流にいる者、中流にいる者、下流にいる者など、さまざまです。いる場所がちがうということは、それぞれ必要なことが異なるということです。上流にいる者に対しては、導く者はせせらぎを発見すべきでしょう。川かせせらぎ波立っているのは、底が浅い証拠です。別に橋を架ける必要はなく、その子どもには履き物を脱ぎ、裾をまくって渡ることを教えればすみます。中流では橋を架けるのもよいでしょう。しかし下流に行って川幅が広がり、海からの逆流が強ければ、なかなか橋を架けることも困難です。であれば、下流にいる者に舟で渡ることを教えるべきです。
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