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少なくとも、普通の状況であれば僕は自分の金を出してこんなホテルには泊まらない。値段が高いし、余計な物が多すぎる。でも仕方ない。何はともあれとにかくこれが変貌を遂げた新しいいるかホテルなのだ。
僕はカウンターに行って名前を告げた。ライト?ブルーの揃いのブレザー?コートを着た女の子たちが歯磨きの宣伝みたいににっこりと笑って僕を迎えてくれた。こういう笑い方の教育も資本投下の一部なのだ。女の子たちはみんな処女雪のごとく真っ白なブラウスを着て、髪をきちんとセットしていた。女の子は三人いたが、僕のところに来た子だけが眼鏡をかけいた。眼鏡がよく似合う感じの良い女の子だった。彼女が来てくれたことで僕はちょっとほっとした。三人の中では彼女がいちばん綺麗だったし、僕は一目で彼女のことを気に入っていたからだ。彼女の笑顔の中にはなにかしら僕の心をひきつけるものがあった。まるでほテルのあるべき姿を具現化したホテルの精みたいだ、と僕は思った。手に小さな金の杖を持ってさっと振ると、ディズニー映画みたいに魔法の粉が舞って、ルーム?キイが出てくるのだ。
でも彼女は金の杖のかわりにコンピュータを使った。キイ?ボードで僕の名前とクレジット?カードのナンバーを手際良くインプットし、画面を確認してからまたにっこり微笑んでカード式のキイをくれた。1523というのが僕の部屋番号だった。僕は彼女に頼んでホテルのパンフレットをひとつもらった。そして、このホテルはいつから営業しているのかと訊いてみた。昨年の十月でございます、と彼女は反射的に答えた。まだ五カ月しか経っていないのだ。
「ねえ、ちょっと聞きたいんだけど」と僕は言った。僕も営業用の感じの良い微笑みをきちんと顔に浮かべていた。僕だってちゃんとそういうのを持っているのだ。「昔ここの同じ場所に同じ名前の『ドルフィン?ホテル』という小さなホテルがあったでしょう?それがどうなったか知ってる?」
彼女の笑顔が少しだけ乱れた。上品な静かな泉にビール瓶のふたを放り込んだみたいに静かな波紋が彼女の顔に広がり、そして収まった。収まった時、笑顔は以前のそれよりも幾分後退していた。僕はそういうこみいった変化を感心して観察していた。泉の精が現れて、あなたが今投げ込んだのは金のふたですか、それとも銀のふたですか、と質問するん じゃないかという気がしたくらいだった。でももちろんそんなものは出てこなかった。
「さあ、いかがでしょう」と彼女は言って、ひとさし指で眼鏡のブリッジを軽くさわった。「なにぶん開業前のことですので、私どもはちょっとそういうことは…」
彼女はそこで言葉を切った。僕はその続きを待ったが、続きはなかった。
「申し訳ございません」と彼女は言った。
至少说在正常情况下我不会花自己的钱住在这样的宾馆。价格高,无用的东西配置太多。也没有办法。总之它是从面貌发生巨变的新的海豚宾馆。
我走到服务台前报了名字。身着淡蓝色工作西服的女服务员就像做刷牙广告那样微笑着迎接我。这种笑容的培训也是投资的一部分吧。女服务员都穿着雪白的衬衫,头发也束得很整齐。女服务员有三人,只有来接待我的女孩戴着眼镜。那是戴眼镜非常相称的女孩。因为她的到来让我很舒心。在那三位服务员当中她是最漂亮的,只看了一眼我就非常关注她了。在她的笑脸中有什么打动了我的心。就像是宾馆所必须有的容颜具体到她身上的宾馆之精。只要在手中轻轻摆动小金仗,像ディズニー电影中漂舞着魔法粉,那宾馆房间的钥匙就出来了。
她并没有使用小金仗,而使用了计算机。用键盘将我的名字和信用卡的号码很方便地输入进去,在显屏上确认之后微笑着把卡式的房门钥匙递给我。1523是我房间的号码。我从她那里领了一本宾馆册子。接着问了一声这个宾馆是从什么时候开始营业的。她很自然地给以答复:是从去年十月开始的。这也只刚刚过了五个月。
“这个,还想再问一下。”我说。我也把营业用的感觉良好的微笑浮现在脸上。说后我就专心地等待。“过去在这个同一地点有相同名字‘海豚宾馆’的小宾馆还有吗?它变成什么样了?你知道吗?”
她的笑脸稍有点乱。就像把瓶盖投放到上等的平静的泉水那样,平静的波纹在她的脸上扩展开来,然后来平静了。平静之后的笑脸比以前的笑脸有几分退色。我完全观察到了那种令人吃惊的复杂的变化。泉的精灵出现了,它是不是在问:你现在投放的是金盖子还是银盖子?当然那些场面并没有出现。
“啊,你说的那个,”她说着,用一手指轻轻地触摸了一下眼镜框。“这些是开业之前的事情吧,对那些事情我们……”
她说到这里停住了。我在等着她继续说,她却没有说。
“实在对不起了。” |
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