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牛さんが大金持ちになってから、飛ぶものと泳ぐものと走るものとを何でも食べたことがあるが、フグだけ、今まで食べてみたことがない。今日、牛さんは死にいく決心をして、料理屋でフグ刺身を注文した。覚悟まだ足りないか、フグを挟んだ箸を口に送ってこなかった。料理屋門前にいる乞食を頭に浮かんだそう、ふらりと足さんの手で皿一分量のフグをあの乞食へ上げってしまった。大丈夫の報告があってほっとした牛さんが思い切ってフグを腹一杯した。
満足した顔をしている牛さんの姿が現れると、頬を緩めていた乞食は後ろから一皿フグを出して
「ようやく私の番だ」 |
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