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18(15)
五反田君は溜め息をついた。とてもチャーミングな溜め息のつきかただったが、それでも溜め息は溜め息だった。
「絵に描いたみたいな人生だと思わない?」
「それほど上手く絵に描けない人もいっぱいいる」と僕は言った。
「まあね」と彼は言った。「幸運だったことは認めるよ。でも考えてみたら、僕は何も選んでいないような気がする。そして夜中にふと目覚めてそう思うと、僕はたまらなく怖くなるんだ。僕という存在はいったい何処にあるんだろうって。僕という実体はどこにあるんだろう?僕は次々に回ってくる役回りをただただ不足なく演じていただけじゃないかっていう気がする。僕は主体的になにひとつ選択していない」
僕には何とも言えなかった。何を言っても無駄だろうという気がした。
「僕は自分のことを喋りすぎるかな?」
それほどでもない、と僕は言った。「喋りたい時には喋ればいいんだ。言いふらしたりはしない」
「そんなこと心配してない」と五反田君は僕の目を見て言った。「そんなこと始めから心配してないよ。僕は最初から君のことは信用している。どうしてかはわからん。でもそうなんだ。君になら話せるんだ。安心して。誰にでもこんな風に話しているわけじゃない。というか、殆ど誰にも話してない。別れた女房とは話したよ。すごく正直に。僕らはよく話をした。僕らは上手く行ってたんだ。理解しあっていたし、愛しあってもいた。回りの奴等によってたかってぐしゃぐしゃにされちゃうまではね。僕と彼女と二人きりなら、今でもずっと上手く行ってたよ。でも彼女には精神的にすごく不安定なところがあったんだ。彼女はハードな家庭で育ったんだ。家族に頼り過ぎていた。自立してなかった。それで僕は…いや、話が飛びすぎるな。それはまた別の話になる。僕が言いたいのは君が相手だと安心して話せるってことなんだ。ただ、僕の話を聞いているのが迷惑じゃないかと思っただけなんだ」
五反田喘口气。而且那是非常迷人的喘气方式,而且喘气就是喘气。
“你想过没有?这就是像绘画的人生。”
“像那样不能绘高级绘画的人多得是。”我说。
“是的。”他说。“承认那是幸运的。可是想过之后感觉到我也没有选择什么。在夜中突然醒来想到,我非常难以承受的恐怖。这个自我的存在到底在什么地方?这个自我的实体在什么地方?我觉得在非常不充分的重演角色。我没有主体性地选择任何一个。”
我什么也没有说。说什么也是无用的。
“我说自己的事说过头了吧。”
“并没有到那种程度。”我说。“想说的时候就应该说。也并没有散布什么。”
“并不担心那些事。”五反田看着我的眼睛说。“那些事从开始就不担心。从开始我就信任你。具体为什么也说不清楚。也就那么回事。对你就想说,很安心。对谁也不会以那种方式说话。几乎对谁都不说。对离婚的妻子说过。很直接地说。我们经常谈说。我们相互配合很好,相互理解,相互爱护。因周围的人聚集乱说。若只有我们两人我和她至今还会相处很好。她在精神方面有极其不稳定的地方。她在家庭受到严格的教育。依赖家庭过度,不能自立。而且我还……不,说跑了话题。扯到别的话题上了。我之所以想说是因为对你讲能安心地讲。可是听我讲给你添麻烦?” |
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