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24(2)
その場の雰囲気は僕には何となく不自然で人工的で、多少馬鹿馬鹿しく感じられた。何処が悪いというのではない。誰が間違っているというのでもない。でもどうも何かのパロディーみたいな感じがするのだ。みんなきちんと自分に与えられた役割を果たしているように見える。作家と書生。でも五反田君ならもっとチャーミングに上手くやれるだろうなと僕は思った。五反田君は何でも上手くやれるのだ。たとえ脚本がまずくとも。
「君がユキの面倒を見てくれたんだって」と先生は言った。
「たいしたことじゃないです」と僕は言った。「ただ一緒に飛行機に乗って帰ってきただけです。何もしてないですよ。それよりもK札のこと有り難うございました。助かりました」
「うん、ああ、いや、そりゃいいんだ。とにかくこれで貸し借りなしだ。気にしなくていい。それに娘が俺に何か頼みごとするなんて稀有なことだからさ。別にそりゃいいんだ。俺もK札は昔から嫌いだ。六○年には俺もひどい目にあった。樺美智子が死んだとき俺は国会の回りにいた。大昔だ。大昔には――」
それから彼は腰を屈めてゴルフ?クラブを拾い上げ、僕の方を向き、クラブで自分の足をとんとんと軽く叩きながら僕の顔を見て、僕の足元を見て、また僕の顔を見た。まるで足と顔の相関関係を捜しているみたいに。
「――大昔には、何が正義で、何が正義じゃないかちゃんとわかっていた」と牧村拓は言った。
僕はあまり熱意をこめないで肯いた。
「君はゴルフやるか?」
「やりませんね」と僕は答えた。
「ゴルフは嫌いか?」
「好きも嫌いも、やったことないですからね」
彼は笑った。「好きも嫌いもないなんてことはなかろう。大体においてゴルフやったことのない人間はみんなゴルフのことが嫌いなんだ。決まってるんだ。正直に言っていいよ。正直な意見が聞きたい」
「好きじゃないですね、正直言って」と僕は正直に言った。
「どうして?」
「何をとっても馬鹿気てるように感じられるんです」と僕は言った。「大袈裟な道具とか偉そうなカートとか旗とか、着る服とか履く靴とか、しゃがみこんで芝を読む時の目付きとか耳の立て方とか、そういうのがひとつひとつ気に入らないんです」
「耳の立て方?」と彼は不思議そうな顔つきで聞き返した。
「ただの言い掛かりです。意味ないです。ただゴルフに付随する何もかもが気にさわるというだけです。耳の立て方のことは冗談です」と僕は言った。
牧村拓はまたしばらく空虚な目で僕の顔を見ていた。
那样的场景对我来说有些不自然有点人工痕迹,让人感到多少有点不协调。虽然也并不说有什么地方不好,或者说不是谁的错误。总觉得是一种较滑稽的作品。看上去大家各自发挥自己的作用。作家和书童。我想,若是五反田的话会有魅力地更优秀地做好。五反田做什么都会那么优秀。不管脚本多糟糕。
“你对雪给了很多帮助。”先生说。
“这个也太客气了。”我说。“只不过是一起乘飞机回来而已。也没有做什么。这和K札之事相比,太感谢您了。让我得救。”
“嗯,那个,不,那也很简单。千万别因此而觉得欠什么。不要在意。女儿对我有什么需求也太稀罕了。不要太在意。我从来就讨厌K札。在六十年代我目睹了悲残的事。桦美智子死的时候我就在国会附近。很久以前,在很久以前——”
之后他弯下腰拣起球杆,朝我这个方向,用球杆嗵嗵地敲自己的脚,看我的脸,看我的脚跟,又返回看我的脸。就像是在寻找脚和脸的关系那样。
“——在很久以前,什么是正义,什么不是正义,都很清楚。”牧村拓说。
我并不那么热情地点点头。
“你打高尔夫吗?”
“不打。”我回答说。
“不喜欢高尔夫吗?”
“谈不上喜欢不喜欢。只是没有打过。”
他笑了起来。“喜欢或不喜欢这事是不存在的。大概讲没有打过高尔夫的人都不喜欢高尔夫。一般是这样。直接说最好。想听听你真心的意见。”
“不喜欢。直接地讲。”我直接说。
“为什么?”
“拿到什么东西都感到有点不舒服。”我说。“夸大的道具、高级的手推车、旗子、穿的衣服、穿的鞋、蹲下看草坪的眼神、还有听的方法?等等,对这些一个也不入门。”
“听的方法?”他用不思议的脸色返过来问。
“那是随便说的。没什么意思。凡是和高尔夫有关的什么都不关心。听的方法只是开玩笑。”
牧村拓还是用空虚的目光看了一会儿我的脸。 |
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