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「僕が信用できるかどうかってことでしたが」
「そう。俺はユキの勘を信用する。ユキは君を信用している。だから俺は君を信用する。君も俺を信用していい。俺はそんな悪い人間じゃない。ときどきろくでもない文章を書くけど、悪い人間ではない」彼はまた咳払いして唾を地面に吐いた。「どう、やってくれないかな?そのユキの面倒を見ることを?君の言うことは俺にだってよくわかるさ。そういうことするのは確かに親の役目だ。でもあれはね、ちょっと普通じゃないんだ。さっきも言ったように手の打ちようがないんだ。君しか頼れる相手がいない」
僕は自分のグラスの中のビールの泡をしばらく眺めていた。どうすればいいのか、僕にもよくわからなかった。不思議な一家だ。三人の変人と書生のフライデー。宇宙家族ロビンソンみたい。
「彼女とときどき会うのはかまいません」と僕は言った。「ただし毎日は会えない。僕にもやらなくちゃならないことがあるし、義務的に人に会うのは好きではない。会いたいときに会います。金は要りません。今のところ金には困ってないし、彼女と友達として付き合うからには僕がそれくらいの金は払います。そういう条件でしか引き受けようがないですね。彼女のことは僕も好きだし、会えれば僕としても楽しいでしょうね。でも何の責任も持てませんよ。それはいいですね。彼女がどうなったとしても、最終的な責任は言うまでもなくあなた方にあるんですからね。それをはっきりさせておくためにも金はもらえないですね」
牧村拓は何度か肯いた。耳の下の肉が揺れた。ゴルフではその肉のたるみは取れない。もっと根本的な生活の転換が必要なのだ。でもそれは彼にはできないだろう。できていればもっと前にやっているはずだ。
「君の言いたいことはよくわかるし、言ってることの筋も通ってる」と彼は言った。「君に責任を押し付けようとしているわけではない。責任なんか感じることはない。我々には君以外に選択肢がないからこうして頭を下げてお願いしてるんだ。責任云々なんてことは何も言ってない。金のことはまたいつかその時になったら考えよう。俺は借りは忘れずにちゃんと返す人間だからな。それだけは覚えておいてくれ。でも今はまあ君の言うとおりかもしれん。君にまかせる。君の好きなようにすりゃいい。金が必要だったら俺のところか、あるいはアメのところか、どちらでもいいから連絡してくれ。どっちも金には困ってない。遠慮しなくていい」
僕は何も言わなかった。
“我是值得信用吗?”
“是的。我相信雪的灵感。雪很信用你。所以我会信用你。你也信用我好了。我并不是那么坏的人。虽然在某些时候也写些无聊的文章,却并不是坏人。”他又咳嗽一次把啖吐到地上。“怎么,你不给帮忙?来照顾雪吗?你所说的事我当然很清楚。要做那些事的确是父母的责任。可是她不是一个普通的人。就像刚才说的那样并不容易。只有你是靠山。”
我看了一会儿自己杯中的啤酒气泡。怎么办为好呢?我也不知如何是好。不可思议的一家。三个不正常人和一个书童。就像是宇宙家族那样。
“和她时不时地见面,那是没有问题的。”我说。“但是不能每天见面。我自己也还有必须要做的事,我并不喜欢义务性地和人见面。想见面时就见面,这个不需要钱。现在这个时候不缺钱,和她作为朋友应酬所需要的钱我来支付。我只在那种条件下承担。我也很喜欢她,和她能见面我也很高兴。可是什么责任也不承担。这样就很好了。她最终变成怎么样,最终的责任,不用说那也是你们的。为了把这个责任分清,不需要钱。”
牧村拓点了几次头。耳垂下的肉跟着摇动。高尔夫不能改变其肉的松弛。其最根本的生活方式转换是必要的。大概这事他是做不到的。若是能做到的话在这以前就应该做了。
“你所表达的意思很能理解,所表达的精髓也说得过去。”他说。“向你推卸责任是说不过去的。不会感觉到什么责任的。除你之外我们没有什么别的选择,所以就这样低下头请求你了。至于责任什么的什么也不用说。至于钱的事还是到时再说。有借必还,我还是正常人。把这件事记住就可以了。现在就按你说的。拜托你了。就按你喜欢的方式做可以了。需要钱的时候,就可以给我或者给雨联系,哪一个都可以。哪一个也不缺钱。不要有什么担心。
我什么也没有说。 |
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