|
41(5)
夏だ。街のどこに目をやっても夏が目についた。警官も高校生もバスの運転手もみんな半袖になっていた。ノースリーブで歩いている女の子だっていた。おい、ついこのあいだまで雪が降っていたんだぞ、と僕は思った。僕は雪の降りしきる中で彼女と二人で『へルプ?ミーロンダ』を唄っていたんだぞ。あれからまだたった二カ月半しか経っていないんだぞ。
「本当に私を憎まない?」
「もちろん」と僕は言った。「憎んだりしない。そんなことあるわけがない。この不確実な世界にあって、それだけは確信をもって言える」
「絶対に?」
「絶対に。二五OOパーセントありえない」
彼女は微笑んだ。「それが聞きたかったの」
僕は肯いた。
「五反田君のことを好きだったんでしょう?」とユキが訊いた。
「好きだったよ」と僕は言った。そう言って、僕は突然声がつまった。目の奥に涙があふれた。でも僕はやっとのことでそれを押しとどめた。そして深呼吸をした。「会うたびに好きになっていった。そういうことってあまりないんだけどね。特に僕くらいの歳になってからはね」
「彼があの人を殺したの?」
僕はしばらくサングラス越しに初夏の街を眺めていた。「それは誰にもわからない。でもどちらでもよかったんだ」
彼はきっかけを持っていただけなんだ。
ユキは窓枠に頬杖をついて、トーキング?へッズを聴きながら外の景色を眺めていた。彼女は僕が最初に会ったときに比べて少しおとなっぽくなったように思えた。でも気のせいだろう。まだ二カ月半しか経ってないのだ。
夏だ、と僕は思った。
「これからどうするつもりなの?」とユキが訊いた。
「どうしたものかな」と僕は言った。「何も決めてないね。何をすればいいんだろう?でもいずれにせよ、もう一度札幌に戻るよ。明日か明後日にでも。札幌に戻ってやらなくちゃいけないことが残ってるんだ」
夏天了。在大街上眼睛能看到的地方都是夏天的模样。K札、高中生、大巴的司机等大家都穿了半袖。也有穿无袖衣的女子在走路。我想,嗯,在前段时间还下雪呢。在下雪之中我和她二人一起还唱《ミーロンダ》呢。到现在也只过了两个半月。
“真的不恨我吗?”
“当然了。”我说。“决不恨。那种事不会有。在这不确定的世界之中,可以说只对它能确信。”
“绝对吗?”
“绝对。2500%。”
她笑了一下。“想听到这句话。”
我点头。
“你也喜欢五反田吗?”雪问。
“很喜欢。”我说。说到这里我的声音突然停止了。眼中充满了眼泪。我好歹还是把它控制住了。然后深呼吸。“跟他每见面一次,喜欢他的程度就加深一点。这样的事实在太少有了。特别是我们已经到了这样岁数。”
“是他杀了那人吗?”
我透过太阳镜望着初夏的大街。“谁也不明白这一点。但是否他杀的都无所谓了。”
他只是在等待机会而已。
雪把脸贴到窗户上,一边听着へッズ一边望着外面的景色。和我初次见面时相比她长大了一点。不过只是注意到的问题吧。也刚刚过了两个半月而已。
显然已经夏天了。我想。
“这以后有什么打算呢?”雪问。
“到底怎么办呢?”我说。“也没有决定什么。到底做什么为好呢?这些都无所谓了,要再去一次札幌。明天或者后天都可以。必须回到札幌,有件遗留下的该做的事。” |
|