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週刊 社会の基礎知識
■ <第134号>
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日本の切り札 ■ 経済制裁 ■
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経済制裁とは、国や国際法違反国に対して、財政・金融措置や貿易上の措置を
行なうことで、違反をやめ義務を履行させるための制裁のことです。
現在の国際社会において、他国との貿易や通商をまったく行なわずに、
自国だけの国力で経済を維持していくことは、どこの国であっても不可能で、
他国との協調をなくしては、経済は破綻してしまいます。
そのため経済制裁を行なうことは、国際法や国家間で結ばれた条約の履行などを
強制させる効果があると考えられています。
現在日本も、北朝鮮に対して拉致問題の解決の切り札として、
この経済制裁について活発に議論されています。
しかし、歴史的に見て経済制裁による国家間の正常な解決は
ほとんどみられることはなく、国家間の関係をより悪化させ、
武器を使わない戦争と呼ばれるほど未来に遺恨を残す結果になりかねない現状です。
アジアに対しては、日本はとりわけ経済的影響が大きいだけに、
軽々しく経済制裁を行なうことは、日本にとって切り札というよりは、
最悪のカードにもなりうるということを私達は理解していかなければなりません。
もちろん、拉致問題をうやむやにしていいわけではありません。
被害者の気持ちを踏まえたうえで、日本として取るべき姿勢を
広い視点で、長い視野で、考えていかなければならないのではないでしょうか。 |
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