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春・・・・・・・・・梅が香に のつと日の出る 山路かな
雲雀より 上にやすらふ 峠かな
山路来て なにやらゆかし すみれ草
春なれや 名もなき山の うすがすみ
古池や 蛙飛びこむ 水の音
夏・・・・・・・・・朝露に 汚れて涼し 瓜の泥
若菜して 御目の雫 拭はばや
五月雨の 空吹き落とせ 大井川
おもしろうて やがて悲しき 鵜船かな
やがて死ぬ けしきは見えず 蝉の声
秋・・・・・・・・・菊の香や 奈良には古き 仏かな
野ざらしを 心に風の しむ身かな
野わけして 盥に雨を 聞く夜かな
名月や 池をめぐりて 夜もすがら
此の道や 行く人なしの 秋の暮れ
冬・・・・・・・・・曙や 白魚白き こと一寸
旅人と 我が名呼ばれん 初時雨
いざさらば 雪見にころぶ ところまで
初時雨 猿も小蓑を ほしげなり
旅に病んで 夢は枯野を かけめぐる |
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