~であれ/~であろうと
名詞・ー格助詞 : + であれ ・
ナ形容詞 :<ー×> であろうと
疑問詞や副詞など: であれ~であれ ・
であろうと~であろうと
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♪ 会話 ♪
李 :今度の連休に中国へ行くんだって?中国は広いから、どこへ行くか迷ったんじゃない?
真理:ええ、でも、たとえ一時間であろうと無駄にしないよう予定を詰め込んじゃったから、超過密なの。
李 :寝る時間もないようなスケジュールであれ、行けさえすれば幸せなんだろ、君の中国語を試す時だからね。
♯ 解説 ♭
「~であれ/~であろうと」は「~でも/~であっても」を意味する点で同じです。「AであれBであれ」また「AであろうとBであろうと」と繰り返されると、「A、Bのどちらの場合でも」という意味を表すようになります。
学生だ ・ 学生でも
学生である ・ 学生であれ/学生であっても/学生であろうと
「である」は文語的・論文調の「だ」に相当しますから、名詞のほかにも広範な語と結びつきます。「元気だ/きれいだ」(ナ形容詞)、「私にだ/私とだ」(名詞+格助詞の形)、「ゆっくりだ/少しだ」(副詞)など、この「だ」は全て「である」で置き換えられ、この文型は この「~である」の形から作られます。
§ 例文 §
1.誰であれ、欠点の一つや二つは持っています。
2.いかなる天才であれ、人知れぬ努力はしているものだ。
3.彼ときたら、ビールであれウイスキーであれ、およそ酒と名のつくものには目がない。
4.たとえ困難であろうと、やると決めたからには途中で投げ出すような真似はしない。
5.学生であろうと教師であろうと、学問の前には平等でなければならない。
★ 例題 ★
1) 本当にお腹が空いた時は、一杯の粥(であれ/であれば)、何物(にもまして/にもかかわらず)おいしい(ことだ/ものだ)。
2) そのことを私( )であれ、事前( )話してくれていたら、こんな失敗は(避けた→ )のに。
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*~にしろ/*~にせよ
名詞・疑問詞: × / である + にせよ
動詞・形容詞:普通形<ナ形ー×/である> にしろ
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♪ 会話 ♪
良子:行くにせよ行かないにせよ、連絡だけは入れておかないとまずいわ。お友達を足止めした形になってるし。
李 :熱は下がったけど、子供は体力がないから、無理は禁物だよ。いずれにしろ今日はやめよう。
良子:こぶつきはどこに出かけるにしろ、ままならないわね。でも、親の心子知らず、すやすや寝てるわ。
♯ 解説 ♭
「~にしろ/~にせよ」は「~にしても」(→文型316・317)と同じで、「~ても」に相当する既定・仮定の逆説表現です。この文型は「いつ・どこ・だれ・なに」など疑問詞を受ける場合があり、その場合「いつにせよ=いつでも/だれにせよ=だれでも」のように、例外なく全てを表す「でも」に相当します。
注意してほしいのは、逆説「ても」は常に前件の後で後件が発生しますが、「~にせよ/~にしろ/~にしても/~としても」は普通形接続なので、どのような場合でも使えることです。例えば下の例文の「乗るにせよ、~」(原形+にせよ)は乗る以前のことを表していますから、「~ても」が使えません。→例題2)
10時の電車に乗ったにせよ(・乗っても)、もう間に合わないよ。
10時の電車に乗るにせよ(×乗っても)、9時だから出かけた方がいい。
§ 例文 §
1.子供のいたずらにせよ、少し悪質だ。
2.相手を批判するにせよ、人格攻撃は厳に慎むべきだ。
3.あなたが直接手を下したのではないにせよ、犯行に手を貸したことは疑いの余地がない。
4.「損して得取れ」、どんな商売をするにしろ、目先の利益だけ追っていては、成功はおぼつかない。
5.「溺れる者は藁をもつかむ」でね、誰にせよ、困ったときはなりふりにかまってはいられないものさ。
★ 例題 ★
1) 故意ではなかった(にしたら/にしろ)、相手にけがを(した/させた)のだから、治療費は払う(はず/べき)だ。
2) 会社を(辞める→ )にせよ、後の計画をしっかり(立てる→ )からに(する→ )なさい。
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*~やら~やら~/*~やら~やらだ
名詞 : × + やら ~ やら
動詞・形容詞:普通形<ナ形ー×> やら ~ やらだ
やら ~ やらで
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♪ 会話 ♪
李 :今朝はひどい目にあった。電車が遅れるやら、雨には降られるやら、おまけに車に水までかけられるやら。
良子:ついてない時って、そんなものよ。
李 :どうも最近は何をやってもうまくいかないし、もしかして男の厄年かなあ?
良子:ふっふ、じゃ、厄払いに神社にでもお参りする?
♯ 解説 ♭
「AやらBやら」はA、Bを例示して「A、B、その他いろいろある」という意味を表す並立助詞の用法です。ほぼ同義文型に「~とか~とか」(→文型226)がありますが、これは全体の中から代表例を選ぶ点に重点があります。
これらの並列表現は名詞の時は「~や~や」に、動詞・形容詞の時は「~たり~たり」(→文型158)を使っても表せるでしょう。しかし、ほかにも同類のことが色々あることを一番強く暗示するのが「~やら~やら」です。
お茶やら花やら(⇔や)
恐いやら見たいやら(⇔たり)
泣くやら騒ぐやら (⇔たり)
§ 例文 §
1.日本料理と言えば、寿司やら(⇔や)天ぷらやら(⇔や)、そうした海鮮料理を思い出す人が多いでしょう。
2.物価が高いやら忙しいやらで、日本での生活は大変だ。
3.悔しいやら自分が情けないやらで涙が出てきた。
4.老人の一人暮らしというのは、寂しいやら心細いやら、はたまた健康の不安やら、言うに言われぬものがある。
5.殴るやら蹴るやら、最後にはナイフまで持ち出すやら、もう誰にも二人のけんかを止めようがなかった。
★ 例題 ★
1) そのとき彼は怒鳴り(始める/出す)(や/やら)周囲に当たり散らす(や/やら)、大変な(怒る/怒り)ようだった。
2) あれ( )これ( )と雑用に(追う→ )、息つく暇もありません。
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~なり(と) ・/~なり~なり/~でも
名詞・疑問詞: × + なり(と/とも)
動詞・形容詞:原形<ナ形ー×> なり ~ なり
でも
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♪ 会話 ♪
李 :ぼんやり立ってないで、ほかの人の仕事を手伝うなりしたらどう?仕事はチームワークなんだから。
山田:全くその通り。
百恵:けなすなり何なりと御自由に。でも山田さん、あなたにだけは、そんなこと言われたくないわ。
李 :何だか、最近の百恵ちゃん、妙に怒りっぽいね。
♯ 解説 ♭
「~なり/~なりと(も)」は「例えば~でも」と例示する副助詞です。例えば、「お茶なり(と)いかがですか」は「お茶をいかがですか」と限定するより、はるかに丁寧になります。また、「どこへなりと/いつなりと/どれなりと」のように疑問詞につくと、「どこへでも/いつでも/どれでも」と同じ意味を表します。これらの「なり」は丁寧な「でも」と考えていいでしょう。
なお、「~なり~なり」と重ねて使われると、「例えば~か~かを選んで」という選択を示す用法になります。文法上注意してほしいのは「~とか~とか」との違いです。「~とか~とか」は同じ例示でも選択ではありませんから、「お茶なりコーヒーなり、好きなものをどうぞ」とは言えますが、「お茶とかコーヒーとか、好きなものをどうぞ」とは言えません。→例題1)
§ 例文 §
1.御用の際は何なりとお申し付けください。
2.娘の海外留学については、私も父親として心配で経験者の方に相談するなりしたものです。
3.そんなに食べないでいると体に毒ですよ。せめて味噌汁なりとも召し上がれ。
4.焼いて食うなり煮て食うなり、好きなようにしろ。
5.ファックスでなり電話でなり、ご連絡くだされば、いつでもお伺いします。
★ 例題 ★
1) 君にあげた(からには/からといって)、人にやる(とか/なり)捨てる(とか/なり)、それは君の勝手だ。
2) どこへ( )( )と行くがいい。もう親でも(ない→ )ば子でも( )( )。 |