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偶然何年か前に中国で大反響を呼び、フジテレビでも放送されたドキュメンタリー「私たちの留学生活、日本での日々」をネットからダウンロードした。このドキュメンタリーは2000年末頃に日本で放送され、人々に感動を与えた。私はその頃、大学一年生で、毎日の放課後は地下鉄に走りこみ、夜遅くまでバイトをやっていたから、うわさで聞いたものの、実際に見ること、正確に言えば見る暇はなかった。
ダウンロード済みのファイルを開き、懐かしげに見始め、いつの間に見入ってしまった。狭いアパート、異国の地下鉄乗り換えの戸惑い、バイト探しの艱難、長時間労働後の食事の美味さ、手振り身振りで自分の考えを何とか伝えようという姿、肉体の疲れ、日本語、英語の本を見る途端に吐き気がするほどの猛勉強、大学進学時の喜び、、、などなど、昔の自分を見ているような気がした。
そう、自分にもそういう時期があった。戸惑った。苦労した。がんばった。そして、喜んだ。苦しくて不安な時期にも、輝かしい未来があると信じ、困難にしたたかに立ち向かい、けなげに生き、ひたむきに進んだ。そして、成功を手に入れたときに、努力は決して無駄にならない、必ず報われるものだと確信した。
大学を卒業して会社勤めになってから早二年。昔の夢とかけ離れた仕事をし、職場の雰囲気に引き込まれ、情熱や感動が薄れて来た。昔の自分が遠ざけつつ、いまの生活が当たり前のようになりかけて不安を抱いているときにこのドキュメンタリーが見れて良かったと思う。
こんなはずではない。昔の意気揚々な自分から見れば今の状況は悩みに値しない。こんなことに悩まされるなんてみっともない。自分がどんな困難でも乗り越えられる、努力は必ず報われるということはもう実証済みだ。日本に来てからの苦労といったら本当に辛く悲しい日々でした。けれども、そうやって自分が鍛えられた。雨にも負けず、風にも負けず、という信念が自分の中に潜んでいる。これは留学生活からの贈り物、一生の財産といえるだろう。
このBBSで留学生活を終え、日本の社会へ出ている人は少なくないと思う。理想高きの自分が普通な日本人と一緒に平凡な仕事をし、最初は抵抗感があるものの、安定な収入を得ることが出来て、いつの間に生活は平凡になってしまう。しかし、気を緩んではいけない。学生のときとは違って、今までと全く違う日本を経験しなければならない。戦場が変わっただけ。夢はまだ実現していない。仕事は平凡なところから始まるのは当たり前だが、平凡な仕事をし続けるのは私たちには当たり前ではない。若いがゆえに私たちに理想がある。みな、共にがんばろう。
初心忘れるべからず。 |
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