子どもの視点から戦争を描き続けた英国の児童文学者ロバート・ウェストールに、「弟の戦争」(徳間書店)という作品がある。主人公は15歳の少年トム。両親と三つ年下の弟アンディと暮らしていた。
一直从儿童视角出发描写战争的英国儿童文学家罗伯特•维斯特鲁(Robert Westall)写了一本名为《弟弟的战争》(德间书店)的作品。主人公是十五岁的少年汤姆。他跟父母及比自己小三岁的弟弟安迪生活在一起。
1990年夏、そのアンディが突然、とりつかれたように意味不明の言語をしゃべり始めた。アラビア語だった。湾岸危機で従軍したイラクの少年兵の意識が、弟に乗り移ったのである。
1990年夏天,安迪突然像着了魔似的开始讲别人听不懂的语言。那是阿拉伯语。这是由于一位在海湾战争中从军的伊拉克少年士兵的意识附身到了弟弟身上。
弟は、ひとの苦しみに極めて敏感な性格だった。それまでも、写真で見た飢餓に苦しむエチオピアの子どもに、とりつかれるように感情を移入したことがあった。トムはアンディを助けようとするが、弟の意識はイラクの少年兵との間を行ったり来たりする。
弟弟具有对他人痛苦极为敏感的性格。在此之前,有一次他在照片上看到埃塞俄比亚饥饿的孩子们,也像被附身似的,曾经感应到那些孩子们的情感。汤姆试图帮助安迪,可是弟弟的意识仍在伊拉克少年士兵和自身意识之间徘徊。
やがて米軍の猛攻が始まり、少年兵の目を通して戦場のむごさが伝えられる。それは、弟の体が目に見えない力ではねとばされるまで続いた。そのとき少年兵は死に、弟は意識を取り戻した。
不久美军发起猛攻。通过少年士兵的眼睛,弟弟能看到战场的惨无人寰。那些景象,使弟弟的身体被看不见的力量摧残到分崩离析的边缘。那时,少年士兵死去,弟弟恢复了意识。
戦争を見る目は、どうしても一方に偏りがちだ。地上の戦死者の姿が見えない映像では、本当の戦場は分からない。物語は、超人的な共感能力というフィクションを使って戦争を反対側からも描き、みごとである。
看待战争视角,往往容易向一侧偏斜。没有亲眼看到地上战死者的情形,凭印象的话很难理解真正的战场。小说通过使用虚构的非凡共感能力,也从反面描绘了战争,是一部佳作。
ウェストールは、執筆後間もない93年に死去した。その後起こったイラク戦争では、子どもを含む民間人多数が巻き添えになった。イスラエルとレバノン過激派との紛争でも、同じ悲劇が繰り返されている。日本の私たちは、戦争の実相をどれだけ知っているだろうか。他者への共感能力の大切さを訴えた作品の重さを、改めて思った。
维斯特鲁在写完此书后不久就于93年与世长辞。此后爆发的伊拉克战争也将儿童在内的众多平民卷入其中。现在以色列与黎巴嫩真主党的纷争中,也不断上演着同样的悲剧。我们日本人,对战争的真实情况又了解多少呢?笔者再次感受到了,这部反映与他人共感能力重要性的作品有着沉重的分量。
能力有限,请大家多多指正!
[ 本帖最后由 露小荷 于 2006-8-23 17:35 编辑 ] |