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WITH LOVE 网络情人日文剧本 第一集

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发表于 2004-4-6 23:00:00 | 显示全部楼层 |阅读模式
パソコン画面
 
 デスクトップに、音楽ファイルがある。

ポインタが重ねられ、クリックされる。

短いが、リリカルなメロディが流れ出す。
 

□ 雨音のアパート?室内
 
 雨音、パソコンに向かっている。
 

雨音のN 「アドレス間違いで届いた素敵なメロディ」

□ パソコン画面
 
 

【てるてる坊主】
 

□ 天のマンション?仕事部屋
 
 天、パソコン画面を瞶めている。
 

天 「........」

天のN 「リナだと信じたかった」

□ フラッシュ
 
 天の(その頃の)アパート。

軒先に――十数個のてるてる坊主がぶら下げられている。

部屋の主はいない。

    ×      ×

“本日中止”の貼り紙が、土砂降りの雨に打たれている。

誰もいない野外音楽堂。

天とリナがステージに座り込み、恨めしげに雨を眺めている。
 

□ 仕事部屋
 

天 「........」

□ パソコン画面
 
 

【Who are you?】
 

□ 雨音のアパート?室内
 
 雨音、困惑の表情でパソコン画面を瞶めている。
 

雨 音 「........」
 雨音、マウスを操作する。
 

□ パソコン画面
 
 【ツールバー】のアイコン(新規メッセージ)がクリックされる。

新規送信メールのウィンドウが開く。

そして、メールの文面に文字が打ち込まれてゆく。





hataさん



私は、ふたば銀行に勤める23才のOLです



名前は、村上雨音


 

□ 室内
 

雨 音 「(考えて)........」
 マウスを操作する。
 

□ 天のマンション?仕事部屋
 
 ターミナル?アダプタに、メール着信を知らせる点滅。

天、!

天、“接続”をクリックする。
 

□ パソコン画面
 
 新着メールが読み込まれていく。



その題名――【銀行】
 

□ 天のマンション?仕事部屋
 
 天、怪訝にパソコン画面を見る。

差出人は、【古川英子】
 

天 「(落胆の色で)........社長か」
 天、“件名”をクリックする。
 

□ パソコン画面
 
 

長谷川天様



うちの一階のふたば銀行に



天も口座を開いて下さい



お互いなにかと便利でしょ





         古川英子
 

□ 雨音のアパート?室内
 
 雨音、パソコン画面を瞶めている。

書きかけのメール。

雨音、迷うが、マウスを操作する。
 

□ パソコン画面
 
 カーソルが動き、プルダウンメニューから、【メッセージ削除】が選択される。

雨音が書いていたメール、一瞬のうちに画面から消えてしまう。
 

□ 東京オペラシティ?ふたば銀行?一階フロア
 
 ――営業時間中。

雨音、笑顔で客の相手をしている。

ソファに、番号札を持った天がいる。

二人ともまだお互いに気づいていない。
 

天 「(手持ちぶさたに)........」

天のN 「てるてる坊主から返事はなかった」

雨 音 「ありがとうございました」
 笑顔で客を送り出す。
 

雨音のN 「........返事を出せなかった。どうしてためらったんだろう」

雨 音 「(フロアに)番号札○○番でお待ちお客様........(と、呼びかける)」  
 天、自分の番号札を確認し、雨音の窓口へ行く。

雨音、!
 

□ フラッシュ
 
 あるバーで、天のとばっちりでお酒をかけられてしまう雨音。

    ×      ×

銀行の前で、天、雨音からハンカチを受け取ると、車のミラーについた鳩の糞を拭き取る。
 

雨 音 「――」

□ 元の一階フロア
 
 カウンター前に座った天、雨音に気づき――
 

天 「........どうも」

雨 音 「........いらっしゃいませ」

天 「新しく口座を開きたいんだけど........」

雨 音 「ありがとうございます。総合口座でよろしいですか? 色々便利だと思いますが」

天 「はい」

雨 音 「では、こちらの用紙に記入して下さい」
 と、手続きを始める。

天、申込書に書き込む。

雨音、手持ちぶさたに壁に貼られたポスターなどを見て待つ。
 

雨音のN 「........hataさんは、誰なんだろう」
 天、書き終わった申込書を渡す。

雨音、確認する。

天、手持ちぶさたに壁に貼られたポスターなどを見て待つ。
 

天のN 「てるてる坊主は、誰なんだろう」
 天と雨音、お互いがメールの相手とも知らず、カウンターを挟んで対峙している



    東京オペラシティ?ふたば銀行?一階フロア
 
 カウンターの天、時間を気にしている。

雨音はバックオフィス(窓口の後ろで事務処理をするところ)で、祐子と端末を操作している。
 

天 「まだかな」
 困惑気味の雨音が戻ってきて――
 

雨 音 「申し訳ありませんが、ローンカードの方、お作り出来ないんです ........」

天 「(ムッと)カード勧めたの、そっちでしょ?」

雨 音 「(言いにくい)お調べしましたところエラーが出まして........失礼ですが、カード会社のご返済、滞っていらっしゃいませんか?」

天 「そんなことないよ」

雨 音 「もう一度詳しくお調べしますが........」

天 「もういいよ」
 と、通帳や印鑑を持って席を立つ。
 

雨 音 「長谷川様........」
 天、出て行ってしまう。
 

雨 音 「........」

めぐみ 「(見送って)ブラックリストに載ってたの?」

雨 音 「(頷き)........」

めぐみ 「カッコいいのにィ」

雨 音 「........」

□ “AVA”?社内
 
 英子がスタッフ数人と打ち合わせ中。

天がブ然と入ってくる。
 

健太郎 「(弾かれたように)お早うございます!」

みどり 「お早うございまーす」

英 子 「(笑顔で)お疲れ。ピアノ、菅野ちゃん押さえといたから。天、初めてだっけ?」

天 「ああ」

健太郎 「今日は何のレコーディングなんですか?」

英 子 「オリエンタル石油のイメージソング。一社提供のドキュメンタリーの中で流す60秒CM。天、頼むわよ。これ決まったらでかいんだから。CD化が前提だし、オリエンタル石油が全面バックアップなんだから」

天 「........ああ」

健太郎 「これ決まったら........って、指名で注文された仕事じゃないんですか」

英 子 「そうよ」

健太郎 「それなのに、ちゃんと完成品にしなくちゃいけないんですか!?」

英 子 「そういう仕事もあるの。今回はオリエンタル石油も気合い入ってるからね、それで最終判断したいって。天も気合い入れてよ。最後の二本まで残ったんだよ、絶対獲らないと!」

天 「ああ」

健太郎 「もう一本は誰が作曲したんですか?」

英 子 「堀井光」

健太郎 「強敵じゃないですか」

天 「(首を竦める)........」

英 子 「大丈夫。ただ、伊藤ちゃんが噛んでるからね」

天 「(もちろん判っている)........」

英 子 「揉め事起こさないでよ」

天 「........」

□ フラッシュ
 
 天、伊藤を殴る。
 

□ 元の社内
 

天 「........」
 ドアにノックの音。
 

みどり 「はーい」
 ドアが開き、制服姿の雨音が神妙な顔で入ってくる。
 

英 子 「(笑顔で)あら、こんにちは。昨日はお手数さまでした」
 雨音、会釈する。
 

英 子 「何か?」

雨 音 「長谷川天様、いらっしゃいますか?」

英 子 「(会議室に)天、お客さん」
 天、顔を出し、雨音と知ってムッとなる。
 

天 「(突っ慳貪に)何」

雨 音 「調べ直しましたところ、他のカード会社の支払いが滞ってらっしゃったのは、長谷川様と同姓同名の方でした。本当に申し訳ありませんでした(と、深々と頭を下げる)」

天 「もういいよ(と、引っ込もうとする)」

雨 音 「カード発行手続きを進めさせて下さい」

天 「もういいって」
 と、会議室に引っ込んでしまう。
 

雨 音 「........」

英 子 「(苦笑して)長谷川天がブラックリストねえ」

雨 音 「(小さくなって)最初にカタカナでお調べするので........」

英 子 「ま、彼にはうまく話しとくから、手続き、進めていいわよ」

雨 音 「ありがとうございます。でも........」

英 子 「おたくには色々お世話になると思うし」

雨 音 「........はあ」

みどり 「それ、いただけるんですか?」
 と、雨音が持参したとノベリティグッズを示す。
 

雨 音 「あ、どうぞ、お使い下さい(と、渡す)」

英 子 「ね、振り込みとか頼みたい時、来てくれるかしら」

雨 音 「いつでも仰言って下さい。後で必要な書類をお持ちします」

英 子 「(微笑で)ありがとう」

雨 音 「よろしくお願いします」
 と、頭を下げる。
 

□ 東京オペラシティ?エレベーター内
 
 ホッとなった雨音が仱盲皮い搿
 

雨 音 「........」

□ 同?ふたば銀行?一階フロア
 
 やってきた雨音、ドキッと立ち止まる。

雨音が担当の窓口にいる客は、吉田である。

祐子が相手をしているが、吉田はつまらなそうな顔をしている。

吉田、雨音に気づき、笑顔で手を振る。
 

雨 音 「――」
 祐子が笑顔で席を立ち、戻ってくる。
 

祐 子 「ホステスじゃないんだから指名しないでほしいわよね」
 雨音、行かざるをえない。
 

雨 音 「(ぎこちない笑顔で)いらっしゃいませ」

吉 田 「(笑顔で)どうも。いやあ、やっぱり雨音さんが一番似合ってるなあ、銀行の制服」

雨 音 「個性がない人が似合うそうです」

吉 田 「そんなことないですよ、雨音さん、充分個性的ですよ」

雨 音 「(ビジネスライクに)どういったご用件でしょうか?」

吉 田 「○○(ミュージシャン)が来日しますよね」

雨 音 「(キョトンと)は?」

吉 田 「コンサートのチケットが手に入りそうなんです。一緒に行きましょう」

雨 音 「――。私、音楽嫌いなんです」

吉 田 「珍しいですね。じゃ、映画に行きましょう」

雨 音 「映画も嫌いです」

吉 田 「だったら........」

雨 音 「(遮って)上司に叱られますので........」
 と、チャイムを鳴らし、次の客を呼ぼうとする。
 

吉 田 「ちょっと待った。預け入れ、お願いします」
 と、財布を取り出そうとする。
 

雨 音 「こちらは新規?ご相談窓口です。あちらの機械でお願いします」

吉 田 「これ、機械じゃ無理ですよね」
 と、米ドル札の束を取り出す。
 

雨 音 「――」

吉 田 「ドル建て預金、できますよね」

雨 音 「........はい」

吉 田 「(ニコニコ)手続きしてもらってる間は話、出来ますよね」

雨 音 「(絶句して)........」

□ ○○音楽スタジオ?玄関
 
 天と健太郎が入ってくる。

天、!

中から英子と伊藤が出てきたのだ。
 

伊 藤 「(上機嫌で)あ、どもども、長谷川先生」
 天、一瞬不快感を露わにする。

英子、目配せする。
 

天 「........」

伊 藤 「いやあ、この前の先生のパンチ、効きましたよ」
 と、殴られた頬を撫でる。
 

天 「........」

伊 藤 「どお、あれから。女の方は」

天 「(ムッとなる)........」

伊 藤 「(ニッと)美味しいシュークリーム差し入れときましたらね」

英 子 「別件で出るけど、よろしく」
 と、伊藤と一緒に出てゆく。
 

健太郎 「お疲れさまです!」

天 「........」
 天、スタジオに向かいかけ、フト、二人を振り返る。
 

□ 東京オペラシティ?ふたば銀行?表
 
 閉店後。

――シャッターが閉まっている。
 

□ 同?ロッカールーム
 
 めぐみが慌ただしく駆け込んでくる。

そして、自分のロッカーから携帯電話を取り出してダイヤルする。
 

めぐみ 「(繋がって)めぐみ。モオ、最悪。伝票と現金の額が合わなくて、いつ出られるか判ンないの........(などと続く)」

□ 同?一階フロア
 
 雨音、必死の思いで伝票確認作業。

祐子他行員たちも目の色を変えて確認作業中。
 

小西課長 「(目を吊り上げて)23万4千円、この数字に覚えはないのか? え? 村上くん」

雨 音 「ありません。でも、現金が多いということは、伝票がどこかに紛れてると思います」

小西課長 「思うだけじゃダメなんだよ、探しなさい!」

雨 音 「はい」
 雨音、床に這いつくばって机の下を覗いたり。

――机の下で。
 

めぐみ 「聞いた? ○○支店の話」

雨 音 「ううん」

めぐみ 「本部が検査に入って、一人一人会議室に呼ばれたんだって。それで服を脱がされて調べられたんだって」

雨 音 「(目を丸くして)ホントに!?」

□ 同?一階フロア
 
 雨音たちの大捜索、続いている。

端末を操作していた祐子が素っ頓狂な声を上げる。
 

祐 子 「これだァ」
 みんな、注目する。
 

祐 子 「○○工務店からの入金金額と同じです」
 雨音たち、ホッとなる。

    ×      ×

祐子が電話を切って――
 

祐 子 「ないそうです」
 雨音たち、ガクッ。
 

年配の女子行員 「ひょっとしてその前後の人に間違って渡したんじゃない?」

小西課長 「すぐに確かめて」
 雨音たち、端末画面を覗き込む。
 

□ 互洋物産?全景
 

□ 同?有機化学部?フロア
 
 保留中の電話。

席に戻って来た吉田が出て――
 

吉 田 「はい、吉田です」

電話の声 「........ふたば銀行の村上です」

吉 田 「(驚いて)村上さん!? ホントに村上さん!?」

□ 東京オペラシティ?ふたば銀行?一階フロア
 
 雨音が電話を掛けている。
 

吉田の声 「○○工務店の伝票........ちょっと待って下さい」
 めぐみたち、祈るように雨音を見ている。
 

電話の声 「ああ、ありましたよ」

雨 音 「! よかった。(受話器を塞ぎ、小西課長に)ありました」
 めぐみたち、ホッとなる。
 

小西課長 「急いで取ってきて」

雨 音 「私がですか?」

小西課長 「キミのミスでみんなが迷惑してるんだぞ」

雨 音 「........。(電話に)あのう、すぐに伺いますので........え?(怪訝な顔になる)」

□ ある街
 
 タクシーが到着し、制服のままの雨音が降り立つ。

雨音、キョトンと見上げる。

そこは、一軒家(例えば)の高級レストラン。
 

雨 音 「(哕炇证耍─工皯盲皮蓼工椤
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 楼主| 发表于 2004-4-6 23:00:00 | 显示全部楼层
□ 天のマンション?室内
 
 帰宅した天、ベッドに倒れ込む。
 

天 「........」

□ フラッシュ
 

菅 野 「........プライドってもんがあるんだよね、ミュージシャンとしての。あんたも昔バンドやってたら判るだろ」

□ 元の室内
 

天 「........」
 天、起き上がる。
 

□ 雨音のアパート?室内
 
 パソコンが立ち上がってゆく。

パジャマ姿の雨音、パソコンの前に陣取る。

パソコンが立ち上がると、メールソフトも立ち上がるように設定されている。

雨音、メールチェックする。

テレビもつけず、音楽もない静かな部屋に、接続時の信号音が響く。

雨音、画面を見ている。

メッセージ【新しいメールはありません】
 

雨 音 「(落胆して)........」
 デスクトップの音楽ファイル。

雨音、クリックする。

リリカルなメロディが流れ出す。

雨音、心が和む。
 

□ 天のマンション?仕事部屋
 
 天、仕事用のパソコンに向かって打ち込みをしている。

一段落し、伸びをする。

ターミネータに、メール着信を知らせる点滅。

天、! メールソフトを立ち上げる。
 

□ パソコン画面
 
 新着メールが読み込まれてゆく。



その題名――【p(^^)q】
 

□ 仕事部屋
 

天 「........?」
 天、受信メールを開く。
 

□ パソコン画面
 
 

hataさん!





自分にとって大切なものも



他人にはガラクタだったり



自分の思いを他人に伝えるのってむずかしい



世の中楽しいことばかりじゃないですね




 

□ 仕事部屋
 

天 「........」

□ パソコン画面
 
 

やまない雨はない


 

□ 仕事部屋
 

天 「夜明けの来ない夜はない」

□ パソコン画面
 
 スクロールされるメールウィンドウ。

【夜明けの来ない夜はない】の文字が現れる。
 

□ 仕事部屋
 

天 「(微苦笑)........」

□ パソコン画面
 
 スクロールしていくメールウィンドウ。





明日は別の日



頑張ろうp(^^)q



        てるてる坊主


 

□ 仕事部屋
 

天 「(顔文字の恰好をして)頑張ろう、か」
 穏やかな微笑みを浮かべた。

3)
 

□ 東京オペラシティ?ふたば銀行?表(数日後)
 
 ――営業中。
 

□ 同?一階フロア
 
 窓口の雨音、前の客の書類などを整理している。

と――前の椅子に誰かが座る。
 

雨 音 「申し訳ありません、番号順にお呼びしていますので........」
 と、顔を上げ、!

吉田である。
 

吉 田 「僕の番です」
 と、番号札を見せる。
 

雨 音 「(ムッと)お引き取り下さい」

吉 田 「(悲しそうに)そんなに嫌わないで下さい。反省してます。あの夜は眠れませんでした」

雨 音 「........」

吉 田 「これ、お詫びというか、償いに........」
 と、製菓会社の紙袋をカウンターに置く。
 

雨 音 「結構ですから」
 と、押し戻す。
 

吉 田 「いや、違うんです、預けたいんです」

雨 音 「え?」
 見ると、紙袋の中身は帯封のついた500万円分の札束。
 

雨 音 「――」

吉 田 「今までの銀行、解約してきました。どういう形で預けるのが一番いいんですか? 雨音さんにとって」

雨 音 「――」

吉 田 「ノルマだとか今月の目標ってあるんでしょ?」
 雨音、絶句。隣のめぐみも目を丸くしている。
 

□ 天のマンション?仕事部屋
 
 天、仕事中。

打ち込んだ音をチェックしている。

電話が鳴る。
 

天 「(出て)はい」

電話の声 「天?」

天 「(怪訝)どちら様ですか?」

電話の声 「判ンないかな、坂本だよ、坂本伸雄」

天 「(パッと顔が明るくなり)ノブ!」

□ 夜の街
 

□ ある焼鳥屋?店内
 
 天と坂本が、カウンターで和気藹々と杯を重ねている。
 

天 「何年ぶりだよ」

坂 本 「“アッシュ”解散してから全然だろ? 六年だよ、六年」

天 「老けたな、ノブ」

坂 本 「バカヤロオ、貫禄って言えよ。俺、今社長だぜ」

天 「社長!?」

坂 本 「従業員は親父とお袋と妹」

天 「あ?」

坂 本 「実家の酒屋をコンビニにしたんだ」

天 「いいじゃないか。俺、心配してたんだ、ギャンブルにはまってンじゃないかって」

坂 本 「(一瞬言葉に詰まるが)バカ言うな。額に汗して働いてるさ」

天 「山岡とか松井とは会ってるのか?」

坂 本 「いや。天は?」

天 「(首を振り)連絡も取ってないのか?」

坂 本 「ああ」

天 「........」

坂 本 「(笑って)相変わらず判りやすい奴だな」

天 「え?」

坂 本 「どうしてリナのこと、聞かないんだ」

天 「――」

坂 本 「(気持判っていて)........確かに忘れられないよな、あんな消え方されちゃ.......」

天 「........」

坂 本 「なんか、結婚したらしいぞ」
 天、!
 

坂 本 「風の噂だけどな」

天 「........」

坂 本 「(励ますように)リナの奴、案外いい奥さんやってンじゃないの?」

天 「........」

□ 雨音のアパート?全景
 

□ 同?室内
 
 雨音、台所に立ち、洗い物をしている。
 

智 美 「(寛いでいて)あー美味しかった。二人分食べちゃった。(と、お腹をさする)雨音、いい奥さんになるよ。結婚してくれる?」

雨 音 「何言ってンの」

智 美 「いつも帰ってきて作ンの」

雨 音 「だいたいね。安上がりだし、一人で入れるレストランって少ないし」

智 美 「淋しくない? 一人で」

雨 音 「(首を竦め)一人で食べるのが当たり前だから」

智 美 「私のほうは彼と二人で食べるのが当たり前になっちゃってて、昨日一人で食べたら味気なくてさ。だから雨音に電話したの」

雨 音 「(苦笑気味に)どこに出張?」

智 美 「札幌。ね、さっきの○○(料理名)、彼にも作ってあげたいんだ。レシピ、教えて」

雨 音 「ちょっと待って」
 と、パソコンのところへ――

智美、? 見る。

雨音、“料理”のフォルダを開き、“○○(料理名)”とタイトルのついた“書類”をダブルクリック。

パソコン画面に、カラー写真付きのレシピが現れる。
 

智 美 「(驚いて)凄ーい。何、これ」

雨 音 「インターネットでね、料理のレシピを公開してる人がいるのよ。それをコピーしたの」

智 美 「へえ........しかしヒマな人もいるもんだ」
 と、見る。
 

雨 音 「自己アピールのためにやってる人が多いみたい。誰かに何かを伝えたがってる感じ」

智 美 「ふうん」

雨 音 「ね、智美も始めなよ」

智 美 「こんなこと(画面)、やってる場合じゃないよ、今年中に結婚して、子供産まなきゃいけないのよ」

雨 音 「電子メール。電話だと話せない時があるけど、メールだと相手の都合考えずに送れるし、好きな時に読めるじゃない?」

智 美 「あ、そうそう、うちの近所のオバさんがね、メールにはまってるらしいのよ」

雨 音 「はまるって?」

智 美 「相手によって女子高生になったり、ある人には若いOLになりきって書いてるんだって」

雨 音 「........」

智 美 「最初は呆れたけど........もしさ、私妊娠しなかったらどうなってたんだろ。きっと紀子と二人で雨音をいろんなとこ引っ張り出してバカやってたんだろうなあ、って」

雨 音 「........」

智 美 「全然後悔はしてないけど。変身願望って言うの? 別の人生歩いてみたいって気持ち、ちょっとだけ判る」

雨 音 「........」
     ×      ×

智美が帰って、一人の部屋。

――壁に飾られたフランスの画家の絵画。
 

雨 音 「........」
 雨音、パソコンの前にいる。
 

□ パソコン画面
 
 hataからのメールが開かれている。





Who are you?




 

□ 雨音の部屋
 

雨 音 「(考えて)........」

□ 天のマンション?仕事部屋
 
 天、パソコンに向かっている。

パソコン画面に、開かれたメールの文面。

【てるてる坊主】の文字。
 

天 「(瞶めて)........」

□ フラッシュ
 
 ――天の(その頃の)アパート。

焦った天が入ってくる。
 

天 「リナ、何やってンだよ、リハーサルだぞ」
 部屋には誰もいない。
 

天 「(トイレをノックし)みんな待ってンだぞ」
 ドアを開けるが、リナの姿はない。
 

天 「........」
 テーブルの上に、てるてる坊主。

天、怪訝に手にとって見る。

天、!

てるてる坊主に文字が書かれている。

“so long”
 

□ 元の仕事部屋
 

天 「........」

□ 雨音のアパート?室内
 
 雨音、マウスを操作する。
 

□ パソコン画面
 
 新規メールのウィンドウが開かれている。

本文に、文章が打ち込まれてゆく。





hataさん



Who are you? にお答えします


 

□ 室内
 
 キーボードを打つ雨音。
 

□ フラッシュ
 

智 美 「........変身願望って言うの? 別の人生歩いてみたいって気持ち、ちょっとだけ判る」

□ 元の室内
 

雨 音 「........」

□ フラッシュ
 
 ――ふたば銀行。

笑顔で客の応対をしている雨音。

その胸にネームプレート。
 

雨音のN 「お客さんは誰も名前で呼んでくれないけど、いつも名前を晒している。銀行の評判を落とすようなことはするな、と言われ続けている」

□ 元の室内
 
 雨音、キーボードを打つ。
 

□ パソコン画面
 
 ――メールの文面。

文字が打ち込まれてゆく。





私は 元OL



会社をやめてパリに来ています



目的は、語学と美術の勉強です


 

□ 天のマンション?天の部屋
 
 天、ターミナル?アダプタの点滅に気づく。

天、! 急いでメールを取り込む。
 

□ パソコン画面
 
 新着メールの題名――



【てるてる坊主は........】
 

□ 仕事部屋
 
 天、ドキリとなる。

マウスを操作する。
 

□ パソコン画面
 
 ――メールの文面。





私は 元OL



会社をやめてパリに来ています



目的は、語学と美術の勉強です





――ウィンドウがスクロールされる。





日本人が一人しかいない学校で授業を受け



あまった時間は美術館めぐり



ルーブル美術館



オランジェリー美術館



オルセー美術館などなど



パリにはたくさんの美術館があり



一年かけても全部見られないでしょう



今日はモンマルトルで



りんごのデザートの美味しい店を見つけました





             てるてる坊主 in Paris




 

□ 仕事部屋
 

天 「(落胆のため息で)........」

4)
 

□ あるバー?店内
 
 天、坂本と会っている。
 

天 「300万?」

坂 本 「(頷き)それだけあれば、コンビニ、潰さなくてすむんだ」

天 「.......」

坂 本 「頼む」

天 「........俺たちのルールだったよな、金の貸し借りはしない、って」

坂 本 「コンビニチェーンの本部と交渉したんだけど、埒あかないんだ」

天 「........銀行は」

坂 本 「(首を振り)よく言うだろ、晴れてる時に傘を貸して雨降ったら取り上げる」

天 「(見据えて)ギャンブル絡みじゃないのか?」

坂 本 「(動揺するが)違うよ。な、300万、お前にはどうってことないだろ?」

天 「金額の問題じゃないんだ」

坂 本 「(苛立ち)金額の問題なんだよ!」

天 「――」

坂 本 「金の苦労、したことない奴には判らないだろうけど、生きるか死ぬかの問題なんだ」
 と、天に紙切れを渡す。

天、広げてみると、銀行の口座番号が書かれている。
 

坂 本 「頼む!」
 天、見ると、坂本は床に手をついて頭を下げている。
 

天 「! みっともない真似すンなよ」
 と、腕を掴んで引き起こそうとする。

坂本、膝をついたまま、懇願するように天を瞶めている。
 

天 「(辛く)........」

□ 天のマンション?全景(数日後)
 

□ 同?室内
 
 天、ジャンクな朝食を取っている。

テーブルの上に、坂本の口座を書いた紙切れがある。

天、丸めてゴミ箱へ捨てる。

玄関のチャイムが鳴る。

天、玄関へ行き、ドアを開ける。

と――抱えきれないほどの花束が差し出される。

天、!?

「お早う」

と、花束から顔を出したのは、佳織。
 

天 「やめろよ、花なんか」
 と、中へ戻る。
 

佳 織 「(入って来て)下で配達の人と会ったの。誰から?」

天 「(心当たりなく)さあ........何しに来たの」

佳 織 「あ、冷たいなあ。何もなくて来ちゃダメ?」

天 「午前中だぜ、用事があるから来たんだろ?」

佳 織 「(首を竦め)花瓶、ないの?(探しつつ)出演依頼。この前かけた“アッシュ”の曲が評判よくてね、是非TOKYO FM“トワイライト?イリュージョン”に........」

天 「(ちょっとムッと)お断り。曲をかけるのもやめてくれ」

佳 織 「どうして?」

天 「もう昔のことだ」

佳 織 「リナさんのことは?」

天 「――」
 佳織、仕事部屋へ入ってゆく。
 

天 「! 仕事部屋には入るなって」

佳 織 「(キョトンと)何過敏になってンの?」

天 「花瓶はないって」

佳 織 「その花瓶じゃなくて........ま、いいけど。花、どうするの」

天 「持って帰って」

佳 織 「いい匂い」
 と、花の香りを嗅ぎ、?
 

佳 織 「あれあれ、メッセージカード付きだあ」
 と、花の間から小さなカード入れつまみ出す。

天、受け取って中を確かめる。

入っていたのは、領収書。
 

佳 織 「(覗き込んで)金、300万也。電報堂?伊藤和宏、だって........」

天 「(考えて)........」

佳 織 「(ハッと)天、これって........」
 電話が鳴る。
 

天 「(出て)もしもし」

電話の声 「おめでとう、長谷川くん。お祝いの花、受け取ってくれた? 堀井です」

天 「........どういうことですか?」

堀井光の声 「聞いてないの? オリエンタル石油のイメージソング、キミの曲に決まったんだよ」

天 「........」

堀井の声 「(皮肉な口調で)勝てないよねえ、長谷川くんとおたくの社長には」

天 「(事情が飲み込めた)――」

□ 東京オペラシティ?“AVA”?前の廊下~社内
 
 天がズンズン歩いてゆく。

そして“AVA”のドアを勢いよく開ける。

寛いでいた健太郎とみどり、ビックリ。
 

天 「社長は!」

みどり 「レコード会社に行きましたけど。オリエンタル石油のCD化の件で........」

健太郎 「どうしたんですか?」
 天、答えず出ていこうとして――
 

天 「みどりちゃん、最近大きな金額の振り込み、頼まれた?」

みどり 「社長にですか?」

天 「ああ」

みどり 「いいえ」
 天、出てゆく。

健太郎とみどり、訳が判らず顔を見合わせる。
 

□ 同?ふたば銀行?一階フロア
 
 天、入ってくる。

混雑している店内。窓口はみな塞がっている。

と――雨音が客を送り出した。
 

雨 音 「番号札○○番でお待ちのお客様........」
 天、! 雨音の窓口へ――
 

雨 音 「........申し訳ありません、みなさんお待ちなんですから」

天 「(客に)すぐ済みます。ごめんなさい、緊急なんです」
 と、頭を下げる。

客、渋々ソファに戻ってゆく。
 

雨 音 「困ります」

天 「(声を抑えて)俺が“AVA”の関係者だって知ってるよね」

雨 音 「(戸惑って)ええ」

天 「ここ数日中に社長の古川が振り込んでるだろ、300万。その振込先........」

雨 音 「申し訳ありません........」

天 「(遮って)銀行がお客のそういうの話しちゃいけないってこと、判ってるけど........」

雨 音 「お判りになってるんでしたら........」

天 「そこを頼んでるんじゃないか」

雨 音 「申し訳ありません」

天 「(ため息で)どうしてそんなに頭が固いかなあ」

雨 音 「(ムッと)お客様が非常識なこと、仰言ってるんですよ」

天 「(必死に)大事なことなんだ!」

雨 音 「申し訳ありません(と、頭を下げる)」

天 「........」

後ろの客 「早くしてくれないかな」

天 「........(客たちに)ごめんなさい」
 と、頭を下げて出てゆく。

雨音、ホッと見送る。

なりゆきを見守っていた小西課長が――
 

小西課長 「村上くん、ちょっと」
 雨音、小西課長の席へ。
 

小西課長 「何言ってたんだ?」

雨 音 「“AVA”さんの大口の振込先を知りたいと仰言って........」

小西課長 「(したり顔で)音楽事務所だろ? ああいうのってたいてい汚ない金なんだよな。リベートとかさ」

雨 音 「........」

小西課長 「あの業界、結構金が物言うところらしいからね」

雨 音 「........(嫌悪感で)あの人も振り込んでました」

□ 同?表の広場
 
 天が出て来ると――

英子が帰ってきた。
 

英 子 「(笑顔で)天。CDの話、まとめたよ」

天 「(見据えて)伊藤に300万、握らせたのか」

英 子 「........」

天 「........社長、言ったよね。音楽は音楽として判断されなきゃいけない、って。それ以外のもので評価されちゃいけないって........俺、今までやってきたのと全然違うけど、CM音楽やってみようと思った」

英 子 「........」

天 「裏金使ったりしない、って信じてた」

英 子 「みどりに聞いたけどさ、天は、誰に振り込んだの」

天 「話を逸らさないでくれ」

英 子 「私にまで金の無心に来たわよ、お友だちの坂本クン」

天 「――」

英 子 「まだ甘っちょろい友情ごっこやってるんだね」

天 「........」

英 子 「私は天の才能を買ってる。今度の曲だって素晴らしいと思う。でも、どんなに素晴らしくても、世の中に出なかったらタダのゴミよ」

天 「........」

英 子 「天の曲をゴミにしたくないの。お金が、手助けしてくれるのよ」

天 「でも........」

英 子 「(キッと)あなたはそういう世界にいるのよ!」

天 「(絶句して)――」

□ あるクラブ?店内
 
 強烈な音と光の洪水の中、踊りまくる若者たち。

その中に天がいる。佳織にしなだれかかっている。

したたかに酔っている。
 

佳 織 「(励まそうと)気にすることないでしょ、天が振り込んだわけじゃないんだし........」

天 「........」

佳 織 「よくあることなんでしょ」

天 「........もういい」
 佳織から離れてフラフラと歩いてゆく。
 

佳 織 「(ため息で見送って)........」

□ 夜の街
 
 天、フラつく足どりで歩いてゆく。
 

天 「(空しく)........」

□ 天のマンション?全景(翌朝)
 
 電話のベルの音。
 

□ 同?室内
 
 ベッドで死んでいた天、やっとの思いで電話に出る。
 

天 「........はい」

電話の声 「助かったよ、天」
 ――坂本である。
 

天 「........」

坂本の声 「金は必ず返すから........」

天 「........いい」

坂本の声 「え?」

天 「やるよ」

坂本の声 「........」

天 「じゃあな」
 と、切ろうとする。
 

坂本の声 「天、だったらもう100万。それは必ず返すから........」
 天、何も言わずに受話器を置く。
 

□ 東京オペラシティ?ふたば銀行?一階フロア
 
 雨音、いつものように爽やかな笑顔で客と応対している。
 

□ 天のマンション?仕事部屋
 
 天、パソコン画面を瞶める。

新着メールが読み込まれてゆく。

題名――【(*_*)】

天、マウスを操作して、メールを開く。

――その文面。
 

雨音のN 「hataさん、世の中お金お金お金、ですね」

天 「........」

□ 東京オペラシティ?ふたば銀行?一階フロア
 
 ――終業後の確認作業。

雨音たち、端末を操作し、伝票と現金の額をチェックしている。

雨音とめぐみのところに祐子がやって来る。
 

祐 子 「(蒼くなって)ヤバい、100円合わない」

めぐみ 「(ガックリ)えーッ、頼むよォ、またデートキャンセル!?」

雨 音 「.......」
 雨音たち、小西課長を気にしつつ、探し始めた。
 

□ パソコン画面
 
 

お金ってなくては困るものだけど



もっと大切なものがあるはず



それを探しにパリに来ました


 

□ 天のマンション?仕事部屋
 

天 「(読んでいて)........」

天のN 「てるてる坊主のメールに心和まされることが多い。なぜだろう」
 天、マウスを操作する。
 

□ パソコン画面
 
 

今でも宝物です



間違って届いた素敵なメロディ (^o^)/?



hataさんは作曲家?



私は元?銀行員



今度は私が質問します



Who are you?



        てるてる坊主




 

□ 雨音のアパート?室内(夜)
 
 雨音、パソコンの前にいる。

雨音、メールソフトを開く。
 

雨 音 「........」

雨音のN 「少しだけ後悔していた。ウソは苦手なのに........」
 雨音、【接続】をクリック。

電話線、プロバイダに繋がるが――



【新しいメールはありません】
 

雨 音 「........」
 雨音、デスクトップに置いた音楽ファイルをクリックする。

リリカルなメロディが流れ出す。
 

雨音のN 「パリに留学している元銀行員........このメロディと同じように、大切にしたいウソだった」

雨 音 「(心和ませて)........」

□ パソコン画面
 
 【ツールバー】の【返信】がクリックされる。

新規送信メールのウィンドウが開く。

題名(件名)は、自動的に【Re:(*_*) 】となる。
 

□ 天のマンション?仕事部屋
 
 天、キーボードを打ち始める。
 

□ パソコン画面
 
 ――メールの文面に文字が打ち込まれてゆく。





てるてる坊主さんへ





Who are you? にお答えします



私は元?作曲家
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 楼主| 发表于 2004-4-6 23:00:00 | 显示全部楼层
正文为空!
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 楼主| 发表于 2004-4-6 23:00:00 | 显示全部楼层
版主``可以把我这帖删了么``我再发一次这集```我写错名字了``这是2集我写成一了````
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发表于 2004-4-6 23:00:00 | 显示全部楼层
你应该发在一个贴子里面,这里不是水区呀~~~~~~~
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