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確かに、鍵のかかっていない扉に鍵は必要なかった。それでも、この銀色の鍵は、俺の扉を開けるには必要だったのかも知れない。
『勇気』という扉を開けるには。
Coffee Break...
これは、1998年の7月(ごろ)に書いたものです。
その当時所属していたサークル誌「near」に掲載したものを再掲させていただきました。
長男が5月に生まれ、ダンナさまは単身赴任で愛知に行ってしまい、私は実家に帰っておりました。
昼間、長男が寝たところを見計らって買い物に出たんですが、近所のお店にバイクを止めたところで衝撃が!
メットインの中にキーを閉じ込めてしまったんです!
スペア・キーがないかと急いで実家に戻ったんですが、家の鍵も一緒に閉じ込めてしまったんで、いつも鍵の掛けていない私の部屋から侵入したときには、すでに長男は起きてぎゃーぎゃー泣いています。「ごめんよお」と言いながらスペア・キーを捜すものの、見つからず……結局、泣き叫ぶ長男を置いてバイクのところへ戻り、近くの自動車工場まで走っていって何とか助けていただきました。
その日はとても暑く……ああ! 何でも開けられるような鍵が欲しい! 切実にそう思ったその直後、できた作品が「コレ」です。転んでもただで起きてはいけない(笑)。
この主人公の「ワタルくん」、好き嫌いの別れるところだと思います。結構、優柔不断で。嫌いな人は、すごく嫌いなタイプなんだろうなー。
でも、あたしはこの「ワタルくん」、とても好きです。「咲月ちゃん」も、とても好きです。ああいう「かっこよさ」が身につけばいいんですけどね。
この作品はサークル誌に掲載していただいたものですので、字数に限りがありました。そのためにこういう忙しい(?)場面転換をしているのですが、これはこれでよかったかな、と。今は書き直すつもりはありません。
作品中に出てくるワタルくんのモノローグ――高校の先生がよく言っていた――「大学に入ったらイヤっていうほど遊べるんだから、今のうちだけ頑張って勉強しろ」――あれは、嘘、だ。――は、教育大学へ進学して教育実習までしていた私の実感です(笑)。
忙しくない大学生の方、もしくは大学生になろうとしている方。頑張って勉強してくださいね(笑)。
1999年11月
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