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刺杀东洋(三)

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发表于 2007-1-5 03:13:06 | 显示全部楼层 |阅读模式
やがて、帯屋町一丁目の辻に、ポツリと提灯の灯がうかんだ。
(東洋か)
と、場所の関係で最初に気づいたのは、大石団蔵である。
蓑をかなぐり捨てた。
大石は、黒木綿の紋服(もんぷく)に小倉(こくら)の袴(はかま)。刀のさげ緒で、十文字のたすきをかけている。大刀は大石家伝来の名刀で天文佑定(てんもんすけさだ)。
備前長船(おさふね)の鍛冶(かじ)である。二尺三寸、ソリは六分、乱(みだ)れ刃(ば)である。ツカは半巻、ツバは土佐明珍(みょうちん)の作。
鞘は、朱。
大石団蔵は鯉口を切って雨中に走りで、安岡が揉みあうようにつづいた。先導する供の提灯をいきなり斬っておとしたが、この初大刀だったのが、安岡なのか、よくわからない。

不一会儿,在带屋町一丁目路口,“突-”的一下,浮出一团灯笼火光。
(东洋来了)
由于藏身地点的关系,大石团藏最早注意到了。
身上的蓑衣被胡乱地摔掉了。
大石上身穿黑色带族徽的和服,下身是小仓产的裤裙,用刀上的飘带勒起了袖子,在背上打了个十字。手中的长刀是大石家祖传的名刀“天文佑定”。
该刀出自备前长船(注:地名。现冈山县东南部。古代以产刀剑闻名)。二尺三寸,弯度六分,刀刃处是一连串月牙花纹。刀柄半缠,护手则出自土佐明珍(注:古代制作甲胄的名家)之手。
刀鞘,朱红。
大石团藏松开鞘口,冲入雨中疾走,安冈也欲争先,紧随其后。第一刀斩落的是领头的跟班手里的灯笼,但是不是安冈砍的,就不得而知了。

(遅れたり)
那須信吾は、門前から飛び出し、雨中を駆け出した。袴はつけず、着物のすそを尻のみえるまでからげている。
闇になった。
大石団蔵が、東洋の供の提灯を斬りおとしたためである。
「痴れ者――」
東洋は底ひびくような声をだした。腕は神影流の皆伝である。それも、ただの旦那芸ではない。
腰間の大刀は、ただの家老のような、拵えばかり華美で中身は細身の「殿中差し」などではない。
――実戦向きに。
と東洋がとくに注文して、高知城下南奉公人町に住む名工行秀(ゆきひで)に打たせた二尺七寸という豪壮な太刀(たち)である。刃の幅あつく、中反(なかぞり)、匂いが深い。これほどの長刀は、よほど、長身で剛力(ごうりき)の者でなければあつかえない。馬上ならともかく、常時の佩用すべきものではない。が、東洋は戦国武士の風を好み、刀も、馬上でヨロイ武者を斬る目的のものをというわけで打たせたものであろう。

(迟了一步)
那须信吾从门下一跃而起,奔入雨中。他没穿裤裙,将和服撩得高高的,连屁股都看得见了。
漆黑一片。
这是由于大石团藏将东洋跟班的灯笼砍落了的缘故。
“大胆狂徒——”
东洋从丹田处发出一声吼叫。他的本领已得了神影流的真传,可不是花架子。
腰间的长刀,也不是那种花里胡哨中看不中用的“老爷刀”。
——实战用的。
那是东洋特别关照住在高知城下南奉公人町的名匠——行秀打造的,二尺七寸长的威猛大刀。背厚刃薄,刀身反翘,刀刃与刀身分界处纹理深密。如此长刀,若非身高力猛者,绝使不了。骑在马上则另当别论,平时,一般不随身佩带。可是,东洋崇尚战国时代的武士之风,所以,该刀也打成了能在马上斫杀披甲武士的利器。

那須信吾は、大上段にふりかぶっておどりでた。
「元吉(もときち)っ(東洋の通称)」
とまでは叫んだが、右足はぬかるみにとられて、わずかにすべった。
「国のために参る」
ざあっ、とふりおろした。
東洋は、刀を抜く間もなく、ひらいた唐傘で、受け止めた。
那須信吾の刀はその傘を斬り、東洋の左肩にまでおよんだが、傷は浅い。
「痴れ者、名を、名を名乗れっ」
というなり、東洋は高足駄(あしだ)をぬぎとばしてはだしになり、三歩とびさがった。そのときは、剣をぬいている。
「なんの遺恨ぞ」
「天誅じょ」

那须信吾挥刀过顶,跳将出来,打叫一声:
“元吉(东洋的俗称)”
可右脚踩上泥泞,稍稍滑了一下。
“为国除奸”
“刷”地一刀劈下。
东洋来不及拔刀,就用打开着的雨伞,接了一招。
那须信吾的那一刀劈开雨伞,一直劈到东洋的左肩上,但伤得不深。
“狂徒,报、报上名来”
东洋口中喊道,踢掉高齿木屐,光着两脚急退三步。此时,他已抽刀在手。
“何怨何仇?”
“替天行道!”

那須は踏み込んで、うちおろした。東洋は刀の物打ちで受けた。欠けた刃が、火になってぱっと闇にはじけとんだ。
大石、安岡の二人は、若党と草履取りを追って行ったために、この場にいない。
「ど、どこの」
東洋は、はげしく踏み込み、神影流独得のするどい突きをくれ、
「貧乏郷士じゃい」
と、叫んだ。
さらに激しく数合。
那須は、やや受け太刀になってきた。雨が容赦なく、眼に流れ込んでくる。
「汝(うめ)ア」
東洋の気合は、ものすごい。
まわりは、上士たちの武家(ぶけ)屋敷がならんでいる。この東洋の声が聞こえていないはずがないのだが、しんと静まり返ったままである。かかわりあいになりたくなかったのであろう。
そこへ、しぶきを立てて、大石団蔵、安岡嘉助が駆け戻ってきた。
東洋は、はっとした。
背後にも、敵がいる。

那须踏步跟进,挥刀就砍。东洋以刀刃相架。“砰”地一下,刀崩了口,火花在黑暗中飞溅。
大石和安冈正在追赶跟班和提鞋,此刻并不在场。
“那、那来的穷乡士”
东洋大叫着欺身进招,施展起神影流特有凌厉扎刀。
转眼间,又过了激烈的几招。
那须渐渐地只有招架之功了。更有那无情的雨水,不住地流入眼中。
“混蛋”
东洋呼声连连,中气十足。
四周,上士们的武士宅邸鳞次栉比。东洋的连连叫喊不可能听不到,可依然是一片寂静。大概是不想担上任何干系吧。
此刻,大石团藏和安冈嘉助脚下踢起一片水花,飞奔而来。
东洋猛然意识到:
背后还有敌人。

安岡は、東洋の背を見た。
山のように見えた。
東洋は巍然として姿勢を崩さず、前面の那須信吾にむかっている。
(いかん)
ふるえた。大刀をふりかぶった。右足のひざだけを前に出した。が、あごは前へのめり出ている。腰は、後ろへ置き忘れた。平素習熟した刀法をわすてしまい、やくざなどがやる拝(おが)み打(う)ちの姿勢で、
(うわあっ)
と、背に向かって、斬りかかった。

――おっ。
東洋は体をひらき、戛(か)つ、と安岡の刀をたたいた。安岡は、不覚にも二、三歩泳いだ。
あたりは、ばくばくとした闇である。
東洋は逃げようとすれば、この瞬間こそ絶好の機会だったろう。東洋が真に人生の達人なら、逃げている。
が、ここで東洋の性格が、わざわいした。元来、攻撃的な性格で、諸事、異常なほどの自信の持ち主であった。
「この馬鹿者」
東洋は刀をふりあげた。
突ンのめった安岡の背を叩ききろうとした。が、敵は安岡だけではない。前面に那須、背後に大石団蔵がいる。
「東洋っ」
大石は例の天文佑定を相手の背に叩きつけた。東洋の背が、割れた。血が飛んだ。東洋は、わっ、と横へ崩れようとした。大石は、力あまって、路上の小石までを切った。
その東洋の崩れにつけはった前面の那須信吾が、
「吉田殿、国のために御成仏(じょうぶつ)。――」
と水もたまらず右袈裟に斬りさげた。どっと倒れた。この一太刀が、東洋に生涯を閉じさせた。


安冈看着东洋的后背。
像山一样的后背。
东洋的身姿巍然不动,面对着前面的那须信吾。
(不好!)
安冈哆嗦起来。长刀挥过头顶。右脚仅膝盖向前,脚下没动。下颚前冲,腰却还留在后面。平时练熟的刀法忘了个干净,以一副流氓打架的架势,
(哇——)
地一声,朝着东洋的背,从上往下劈了过去。

——喔。
东洋侧身闪过,“咔”地一下打在安冈的刀上。安冈身不由己地飘出了二、三步。
周围,依然是伸手不见五指。
东洋如果要逃走的话,眼下正是绝好的机会。如果东洋真是通权达变之人,那就逃了。
可是,此时此刻,东洋的性格在作祟。他本来就是攻击型的性格,不论面对何事都有着超常的自信。
“该死的混蛋”
东洋挥起了长刀。
正要朝向前摔倒的安冈背上斩去。可敌人不仅仅是安冈。前面有那须,后面是大石团藏。
“东洋”
大石抡起“天文佑定”向对手的背上砍去。东洋的背部被切开,鲜血喷涌而出。东洋,“哇”地一声,就朝旁边倒去。大石用力过猛,连路上的小石子都被一劈两半。
前面的那须信吾乘东洋身子颓倾之际,大喊一声:
“吉田大人,为国升天吧——”
干净利索地斜砍一刀。东洋一下子就倒在了地上。这一刀,彻底结束了东洋的生涯。

「嘉助、首を、首を打って」
と、たれかがいった。
安岡嘉助は近づいて、太刀をふるった。しかしあたりは、手足の位置も分らぬ暗さである。
手をあやまった。ふりおろした刃が、がっ、とあごの骨にあたった。切れなかった。何度もやり直し、あたりに凄惨な血の匂いが漂った。やっと首胴を切り離し、白木綿で首級をつつんだ。那須が手を貸した。この布は、たれかがいそいで外した古ふんどしである。この古褌については、
――武士の礼を知らぬ。
とあとで武市が怒ったそうだが、那須、大石、安岡は、いずれも食いや食わずの貧乏郷士で、あたらしい木綿を用意する余裕がなかった。
皮肉なものだ。平素、豪奢な絹服をまとい、長襦袢(ながじゅばん)まで真赤な緋縮緬(ひちりめん)を用いた上、
――上士は贅沢にしろ。郷士は綿服のほかに用いるな。
ときびしく階級の差別をしていた吉田東洋が、首になって貧乏郷士の古褌にくるまれてしまった。
三人は、雨中を飛ぶように走った。犬が二、三頭、血の匂いをかぎつけ、首を抱えた安岡にしきりにと飛びついてくるには弱った。安岡はその犬から逃げるために、足が宙で空回りするほどの勢いで、走った。

司馬遼太郎「竜馬がゆく」より

“嘉助,脑袋,快砍脑袋”
不知是谁,说了这么一句。
安冈嘉助走上前去,挥起了长刀。可是,四周漆黑一片,连手脚的位置都搞不清。
下手有误。刀砍下去,“咔”的一声砍到了下颚骨上。砍不下头来。重砍了几次,凄惨的血腥味四下飘荡。好不容易,将脑袋砍了下来,用白布包好。那须帮忙一起弄。那块布,是不知哪个急急忙忙扯下的旧兜裆布。为了这块旧兜裆布,据说后来武市还动了怒:
——不懂武士之礼。
可那须、大石、安冈,哪个都是吃了上顿没下顿的穷乡士,哪里去找新的白布呢。
不过这么一来,就搞得讽刺意味十足了。东洋平时衣着华丽,连穿在和服里面的长衬衣都是用绯色绉纱做成的。同时他主张:
——上士要奢化,乡士只能穿布衣。
强调等级差别。而就是这么个东洋,砍下的脑袋却被穷乡士的旧兜裆布裹着。
三人在雨中飞也似地奔跑着。有两三条狗,闻到了血腥味儿,不停地扑向抱着脑袋的安冈,搞得他很狼狈。安冈为了把狗摔掉,两脚离地一般地拼命狂奔着。

                      ——摘译自司马辽太郎《龙马奔走》
                                2007-1-3
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