日本語表現文型(051～060)

jinjin

051 ＊～からして

名詞：　×　　＋　からして
9 A, `: P6 X  x3 ?# I$ p

♪　会話　♪

李　：今度の新入社員、どうなってるんだ。お辞儀の仕方からして、まったくなってないよ。
山田：ぎこちないくらいだと可愛いんだけど・・・。それに身なりからして堅気の会社員には見えないな。
6 Y: x' `& X! l* o2 [$ n# M% R5 R課長：彼らは君たちにない何かを持っているんだから、一日も早く戦力化する方法を考えようや。

% G. b6 u- f, b3 \

♯　解説　♭

　「～からして」は主に例文１、2のように「～をはじめとして、その他はもちろん～」という意味を表しますが、「～をはじめとして」（→文型474）の強調と考えていいでしょう。それ以外にも例文３のように「から」の強調として使われます。また、例文４、５のように「～から判断して」を意味することもありますが、その場合は、次項の「～からすると／～からすれば」（→文型052）と同義表現になります。＜≒をはじめとして＞
: \7 j# R. H8 D3 ]1 H　　Ａ国は食料からして欠乏状態だから、衣類・燃料も欠乏しているに違いな
& d% z4 w8 @: n- k+ \+ |3 E; }　　い。＜≒から判断して＞　
　　Ａ国の深刻な食糧事情からして、衣類・燃料も欠乏しているに違いない。
0 s: h1 \2 k% G6 H+ h7 P* x

§　例文　§

１．金持ちというのは、靴からして我々庶民の物とは違うね。
! R4 m  o6 R$ a& p9 u' D  j２．あいつは言葉遣いからして生意気だ。
% s" H% g' K- z  x/ a6 _, K4 v( X３．天才というのは、もう生まれたときからして凡人とは違っているらしい。
) i2 A- ?; ?- v0 Z４．最近の株価の動きからして、景気は上向いていると言えるでしょう。
" J3 ^" A4 d/ t$ T, w$ g1 K! w1 v５．あの先生、顔つきからして恐そうねえ。

+ R- q! s( E4 X/ f8 a, m6 |. U

★　例題　★

1)　一流モデル（ともなると／ともすると）、歩き方（と／や）身のこなし方（からして／からすれば）、（どこが／どこか）普通の人と違って優雅だ。
; Y% h! s7 h6 e# }2)　先日会った老人は、その身なりや上品（　）言葉遣い（　）（　）して、一角の人物だ（　）すぐわかりました。
& p/ x3 X: H( q0 l; L+ _8 @
! U# o" Q  G, |6 U4 h% v# [  c/ @
9 [# f, y7 {% s

(^^)前課の解答(^^)

1)　み（→文型097）／み／からこそ
' P) Y9 o2 n# }  S2 K% S* k2)　あれ／生きて（～ていく→文型177）／か
4 n" j+ |  o8 \9 _, r7 @% r7 e; v

052 ＊～からすると／＊～からすれば

名詞：　×　　＋　からすると
　　　　　　　　　からすれば
1 Z5 B4 v& U# W0 n
: A) c/ N6 H) x( x, f

♪　会話　♪

佐藤：この一泊二日の職場旅行のプラン、どう思う？僕にしてみれば、ずいぶん思い切って張り込んだんだけど。
百恵：温泉というのはありふれてるんじゃない？
李　：正直に言わせてもらうけど、この値段からすると中身も余り期待できないんじゃないかなあ。
! n; {% v& X/ s, G+ x9 W佐藤：何もかもうまくいく案なんてないよ。

♯　解説　♭

　これらの文型は「～から判断すると～」という意味を表す表現で、この「する」には「見る・言う・考える」などの多くの語義が含まれています。なお、以下はほぼ同義表現です。
9 ]8 h; B. U, H& V1 z1 f+ W$ j　この成績から
　　　すると／すれば／して
- R3 x5 X; T; t3 R　　　言うと／言えば／言って（→文型049）
+ J! @- H7 n$ g- N8 K　　　見ると／見れば／見て　（→文型059）
0 c) g7 J& c6 J. l- s9 \! x　合格は間違いないと思う。

§　例文　§

１．儲けしか考えない企業は、長期的な観点からすると、将来性はありませんねえ。
2 Z5 d9 Z5 S3 y7 ^. n- }２．わが家の経済状態からすると、家を買うのは夢のまた夢だ。
３．法律的見地からすれば責任はなくても、道義的責任は免れない。
  W  _, G3 o) _% _8 o４．男からすれば、家族のために働いているのに、妻から粗大ゴミ扱いされたのではたまらないよ。
５．妻の立場からすれば、そう考えるのは当然でしょうね。

★　例題　★

1）　今年の天候（からして／からこそ）、小豆の収穫はあまり期待（できる／でき）（そうではない／そうもない）。
+ ^1 T7 U# S( s0 d/ h; L- p6 d  L8 n2）　患者の立場からすると、薬の成分は何（　）、副作用はどう（　）、無関心では（いられる→　　　　　　　）。

! W( N3 d/ R3 W7 T

(^^)前課の解答(^^)

6 F! _3 a; a7 U) |$ |- h3 x' z1)　ともなると（→文型253）／や／からして／どこか
% _: _, e, x6 \% `1 w& y" A. C2)　な（ナ形）／から／と（内容を示す「～と」）
2 \1 J3 Q5 B/ u# e, c. f
- v6 f8 Y& `/ x7 I% f
3 \6 T' |- u9 k; W: h3 r( ~

053 ＊～からと言って／＊～からって／～からとて

4 ?9 u: l4 }- h名詞　　　　：　　　　だ　　　　　＋　からと言って ～ ない
; j8 y7 N% w; ~( k6 ~動詞・形容詞:：普通形＜ナ形ーだ＞　　　からって
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　からとて

♪　会話　♪

李　：景気がいくらいいからと言って、何もしなくても自然に物が売れるってわけじゃあないよ。
山田：でも店の前でやたらに呼び込みをしたからって、お客が来てくれるとは限らないよ。
課長：しかし、客足が少ないからと言って、むざむざと店をたたむわけにはいかないからなあ。
* i/ S) u2 S1 Y+ R7 x) z1 Q9 l2 m
% t" i* |% b0 u- ?8 p+ `' ^

♯　解説　♭

　これらの文型は「いくら～（の）理由があったとしても～」という意味を表します。「～からと言って」の短い形が「～からって」で、文語が「～からとて」ですが、意味・用法は同じです。これらの文型はどれも「～ても」で置き換えることが可能ですが、この文型は文末に否定判断を加えるのが特徴で、多くは「～からと言って～ない」と呼応します。
1 u7 _' Z0 {7 F4 X! ]　　熱が 熱が下がっても（≒ 下がったからと言って）、安心してはいけない。
6 G6 P9 m- v5 B' U2 P$ n9 N% Y( }6 _　　誰が反対しても（×反対したからと言って）、私は行く。

# z: D, X0 y2 l9 _7 v, w7 c, s& H

§　例文　§

１．日本人だからと言って、正しく敬語が使えるとは限らない。
２．相手が弱そうに見えるからって、決して油断するな。
３．苦しいからとて、途中で投げ出すわけにはいかない。
４．健康に自信があるからって、そんなに無理をしてると体を壊しますよ。
- @& I# T3 g* @% w) j+ I$ y５．夫婦だからと言って、お互いに何の秘密もないなどということはあり得ませんよ。

9 x* Z: D: w5 ]5 P( }; P

§　例題　§

1）　ボーナスが出た（からには／からと言って）、無駄遣いをするな。社会人になった（からには／からといって）、いざというの時のための蓄えをし（ておけ／てしまえ）。2）　一度（　）二度、受験に（失敗する→　　　　　）からって、（しょげる→　　　）込むことはないよ。

(^^)前課の解答(^^)

) m: o3 ]% O; n% D  F6 q# J+ S  a1)　からして／でき／そうもない（様態「そうだ」の否定形に注意）
2)　か／か／いられない（～てはいられない：→191Ｐ）

  e+ J( Q6 U  i5 [( A  ]

054 ～から成る

( J, l6 X, P3 [: N" _名詞：　×　　＋　 から成る

1 s' c* w: ]+ A% @4 U/ Q+ g' x

♪　会話　♪

課長：今日の慰労会には、各地の販売代理店の社長などの幹部から成る方々がお集まりだ。
山田：八時からカラオケ大会が予定されていますが、会場設定の事前チェックが必要ですね。
李　：でも、百人からの団体となると、まとまりがつかなくなりそうで、何かと気を使いますね。
) l# N% D" h2 O
) p9 x9 D( `2 b+ R+ j3 r

♯　解説　♭

　「～から成る」は「～は～ の（要素・部分・材料）からできている」という意味を表す表現です。類形文型に「～からある」（→文型048）があり、混同しやすいので注意しましょう。
5 z' g" e6 J" a) M& {　　当校のサッカーチームは20人の部員から成る（×からある）。
　　試験まで、まだ10日からある（×から成る）。

1 l& Z( _4 i# S+ J- @

§　例文　§

１．水は水素と酸素から成る。
4 Z- D1 H4 h: `( a/ Y２．この全集は、全部で五巻から成っている。
３．大小五十の島々から成るこの○○諸島は、美しい珊瑚礁でも有名である。
- j" ?  W5 c& z$ ~４．日本の国会は、衆議院と参議院から成り、国会は国の最高決定機関である。
: w. w4 a2 _" P- C- c8 Q５．今回の訪米使節団は、総勢20名の国会議員と経済界代表から成っている。

: c  S6 m2 g' J- Q. U

★　例題　★

1）　仏教（によって／によると）、人間の欲望は108の煩悩 （からなる／からある）と（言っている／言われている）。
2）　その草野球チームは、同じ地域（　）住む様々（　）職業の人たち（　）（　）成っていた。
5 \) f1 E3 V7 k/ {3 g9 t8 B
: C, e5 m6 `; {

(^^)前課の解答(^^)

8 }' U) P; A! S/ i1)　からと言って／からには（→文型056）／ておけ
# r6 h( u: y6 M* f7 G/ B$ [2)　や／失敗した／しょげ（～込む→文型094）
$ v2 m/ i' S/ G& a2 k


1 M* M- [$ a) v  _1 l
1 S7 p7 ^+ }% a7 A3 ?4 S

055 ＊～から～にかけて／＊～から～にかけ

: a+ q' \0 y5 {: R1 P名詞・数詞：×　　＋　　から
名詞・数詞：×　　＋　　にかけて
4 U5 Z$ l9 }! [1 s　　　　　　　　　　　　にかけての　＋　名詞
& V! C. F2 b; _　　　　　　　　　　　　にかけ
! T# S( }5 h2 h% h5 d: M

♪　会話　♪

李　：夜半から明け方にかけて風が強かったけど、君、気がついたかい？
良子：雨もどしゃ降りだったらしくて、台所から居間にかけてびしょ濡れよ。
李　：それで濡れたタオルが、何枚も外の物干しにかけてあるんだね。
) ?+ M; b" T; _; t
) W4 j9 f) v) P8 X8 P* v2 i

♯　解説　♭

　「～から～にかけて」は「～から～まで」のグループで、時・場所・空間を表す名詞と結びついて、「～から ～まで、ずっと～」を意味する表現です。
　類似表現に「～から～にわたって」（→文型057）がありますが、日時・場所の起点と終点を特定し、その継続性を強調するときは「～から～にかけて」が使われ、「～から～にわたって」は使えません。逆に、○ヶ月・○年・○週間・○日間のように期間を述べるときは「～から～にわたって」が使われ、「～から～にかけて」が使えません。→ 例題1)
) C. j. e% U! c　　今月の十日から二十日にかけて（×にわたって）、研究会が開かれた。
; R" S% y4 @: l: y　　今月の十日から十日間にわたって（×にかけて）、研究会が開かれた。
- P$ q1 ~! O$ d! }
, r* s: H4 ?5 u' y

§　例文　§

１．六月から七月にかけて、日本は梅雨のシーズンです。
２．名古屋から大阪にかけて、高速道路は百キロ以上にわたる大渋滞が続いています。
9 r: o! ]) H4 j; H３．日本では年末から正月にかけて、ＪＲも飛行機も帰省ラッシュになります。
$ r, j! I! }' D# r' |! C４．金曜日から日曜日にかけて、新宿の夜はにぎわいます。
５．額から眉にかけて、三日月形の刀傷がある。
4 E1 g5 [- i9 g. h- i; ?& x
; A/ [' l1 }* b! Q% B9 w  A+ p

★　例題　★

1）　中央線は、（たった今／ただ今）、新宿駅から中野駅（にわたって／にかけて）、信号故障の（ために／せいで／おかげで）不通となっております。
) B# f. D  p* g2）　私は中学（　）（　）高校（　）かけて、甲子園（　）目指して、野球（　）熱中していました。


1 ~$ d; ~$ Z/ H  X6 F2 Y. s  e% K

(^^)前課の解答(^^)

1)　によると（→文型350）／からなる／言われている（→文型221）
; o9 ^6 g4 F% D, ]. m2)　に／な（漢語形容詞はナ形）／から
% B# I/ p* ~% H, P2 q
& z  k; s8 @; Q" ]) a# [( g
. e4 Z& ~2 y" Z5 B1 p

056 ＊～からには／＊～からは

! m9 Z2 {( J8 s4 Y名詞　　　　：　　　である　　　　　　　＋　　からには
# z3 Y! a4 m" Z0 F動詞・形容詞：普通形＜ナ形ーである＞ 　　　　 からは

, V% L( E6 r9 P$ f9 e
" a' `( D( A" L/ F3 c

♪　会話　♪

! ~2 Y3 K9 @' S9 h課長：この仕事、わが課が引き受けたからには、立派にやり遂げたいと思う。なんだか闘志が湧いてきたぞ。
李　：課の名誉がかかっているからには、万が一にも失敗は許されませんね。
山田：不肖、私が助っ人に来たからはご安心ください。
李　：やけに大口をたたくねえ。お前が一番心配なんだよ。
, n& A' m1 u7 C/ U8 ?! o
$ z0 {; j4 E/ A+ P) @

♯　解説　♭

　「～からには／～からは」は「～だから、当然／必ず ～」という意味を表す「から」系の原因・理由表現で、文末には「～なければならない」や「～べきだ」（→文型382）、「～つもりだ」や「～たい」などの義務や意志・希望の表現、「～はずだ」（→文型367）や「～にちがいない」（→文型305）などの断定判断が多く現れます。この文型は、「～以上」（→文009）や「上は」（→文型015）と同義表現となります。
* K+ f3 o' y* B( o　 原因・理由の表現には「から」系、「ので」系、「て」系があります。大きく分ければ、「から」系は未定・未来・意志表現に、「ので」系は既定や過去表現に、「て」系は形容詞や状態の自然発生に使われます。詳しくは「資料､」を参照してください。

' ?0 n3 O' X7 g3 ?

§　例文　§

１．こんなに安いからには、きっと偽物に違いないよ。
２．共同生活をするからには、そこには最低限の規則が必要となる。
３．誰だって闘うからには勝ちたいと思う。それは人情だ。
! ]& F7 D) G! v& a' @- D４．こうなったからには、もう、運を天に任せて、捨て身でぶつかるしかない。
５．彼があんなに自信を持って断言するからには、何か根拠があるんだと思う。

★　例題　★

1）　そこ（ほど／まで）言う（からこそ／からには）、私が犯人だという証拠があって（の／×）ことなんだろうねえ。
2）　君（　）我々の秘密を知られた（　）（　）には、気の毒だが、生かしておく（　）（　）にはいかない。
; ^% b* |$ [( U3 w1 \( h( ~1 x

' B& {% S% i" k" [+ }. k
; A9 R) _2 N% ^

(^^)前課の解答(^^)

/ B4 c/ m; R, u% M& a5 e1)　ただ今／にかけて／ために（客観的に理由伝えるときは「ために」）
6 S, W0 p: M" l/ M1 a2 {! Y! G7 p2)　から／に／を（→文型479）／に（対象）
% F& W9 P' I$ Z6 _" {

0 g2 x6 ^; p6 X  t5 h

057 ＊（～から）～にわたって／＊（～から）～にわたる

( [0 Y' }1 j; p# Z名詞・数詞： ×　　＋　　から
0 ~8 Y) Z/ x  E6 h名詞・数詞： ×　　＋　　にわたって
9 c3 q, e3 x( k1 J　　　　　　　　　　　　　にわたり
; S( M  J2 u, T　　　　　　　　　　　　　にわたる ＋ 名詞
. k( m1 `0 p! y( ]4 k) Z: L; a

♪　会話　♪

部長：今朝の経営会議で、社長から直々に新製品計画の詳細にわたる説明があった。
2 g" D7 A& j1 ^* ~- e" \3 i6 J李　：説明は新製品の商品企画から補修計画にまでわたったのですか？
' A  I$ X! Q. x! T部長：うん、三時間にもなって、社長もお疲れのようだった。不謹慎なようだが、聞いてる方も疲れたよ。
( ^, y( S+ u, c, O( T# o

♯　解説　♭

　「（～から）～にわたって」は期間・場所・空間を表す名詞や数量を表す語について、その「（～から～までの）およその範囲内で」を表します。類義表現である「～から～にかけて」（→文型055）との用法の違いを簡単に言えば、「～から～にかけて」は＜線＞、「～から～にわたって」は＜面＞の感覚です。この文型は起点を明示しないで、単独で「～にわたって／～にわたり」と使われることも多く、現象や動作が時間・空間の範囲全体に広がっている語感をもっています。名詞を修飾するときは「～にわたる＋名詞」の形を取ります。
3 H% v7 ?9 H. D

§　例文　§

１．九州地方から四国地方にわたって、暴風雨に見舞われ、 多くの家屋が倒壊した。
, [9 L7 w3 d3 Q$ i! F２．十年にわたる内戦に次ぐ内戦で、国土は荒れ果てた。
３．長年にわたる経験のなかから生まれた知恵は、学問的知識に勝ることもある。
４．日本と大陸の間には二千年にわたる交流の歴史がある。
3 t- \( v, @: P1 t5 H2 t' `$ r５．その腎臓移植手術は、六時間にわたる大手術となった。

8 K4 W( B- y, j) o; O1 \

★　例題　★

1）　ただ今、関東南部一帯（にかけて／にわたって）、震度五の地震が（あります／ありました）。沿海部では津波の（嫌い／恐れ）もありますから、御注意ください。
2）　この問題は延べ十回（　）わたって議論された（　）、結論には（至った→　　　　　　）。
" Y! r/ O! z, T6 c4 q) W
/ v* C, H' v* B" Z- j3 ~% w

(^^)前課の解答(^^)

% |& [5 ?; w. {1)　まで（形に注意：「それほど」「そこまで」）／からには／の
; ~( B) P6 w" x4 c/ V* H2)　に（受身文）／から／わけ（→文型457）
; k+ Z9 w, g# g" w3 b" B! i# ~

0 E; |* i) I4 x! z! k8 V% m

058 ＊～から～に至るまで

名詞・数詞：　×　　＋ 　　から
名詞・数詞：　×　　＋　　 に至るまで
; V  ?) P5 v! v5 l6 ]  P# y　　　　　　　　　　　　　 に至るまでの ＋ 名詞

6 g8 E5 V- I4 u* l

♪　会話　♪

山田：彼は面倒見がいいね。帰国者のために、住む所から働き口の世話に至るまで至れり尽くせりだ。
佐藤：その中国帰国者のグループは、男性ばかりでなく女性も混じっていて、年齢も子供から老人までだろ。
山田：うん。あれじゃあ、朝早くから夜中まで、のんびり休める暇なんてないんじゃないかな。
# m# \! D3 ^& T9 G) }

♯　解説　♭

　「～から～に至るまで」は「～から～まで、例外なく全て」という意味を表す表現です。「～から～まで」の文は起点と終点を示すだけですが、「～から～ に至るまで」は、その間に含まれる物や事、時間や場所などが、例外なく全てそうだという点に、話者の重点が置かれています。→例題1) 　ですから、下例のように「例外なく全て」を強調する必要がない用例に使うと不自然になります。
% V2 U% M; U# j$ Y* ^! c8 D　　「会社は何時から何時まで（×に至るまで）ですか」
5 B& V0 j2 C+ K, y/ w/ q$ R　→「九時から五時まで（×に至るまで）です」

§　例文　§

１．「赤トンボ」は大人から子供に至るまで、日本人なら誰でも知っている歌です。
( o( k* F; v* Z; T1 H" g3 e$ B２．当社は設計から施工に至るまで、一切をお引き受けいたします。
３．借金の額に至るまで、根ほり葉ほり聞かれた。
- R2 J' Q2 ^$ J) d0 R４．「出会いから新婚旅行に至るまで」、これがわが結婚相談所のモットーです。
５．先の戦争は開戦から敗戦に至るまで、多くの謎が存在する。

3 A" V3 e) }* [

★　例題　★

1）　幼児期から老年期（まで／に至るまで）の生涯教育という観点が、最近（になって／にして）注目（して／されて）きた。
! e0 o7 N1 \/ F2）　この旅館は、細部に至る（　）（　）、心（　）こもっていて、サービスが（行き届く→　　　　　　）。
4 n: P; @& ?) R7 {2 W* a' G

/ n4 L5 o7 N6 v$ C

(^^)前課の解答(^^)

1)　にわたって／ありました／恐れ（→文型020／→文型063）
$ P6 @$ E' a: O2)　に／が（逆説）／至らなかった
. B: }* H% K& t; H7 ?2 }  l/ H* S

8 B1 A+ Z+ c. `2 J& Z

059 ＊～から見ると／＊～から見れば／＊～から見て

* s6 E. ~* X: A* e) {名詞：　×　　＋　　から見ると
　　　　　　　　　　から見たら
　　　　　　　　　　から見れば
　　　　　　　　　　から見て
* T. o0 J8 \) O$ {8 d9 j
; ~$ k- l( i1 v, M) J! M7 `! p$ E

♪　会話　♪

部長：私の目から見ても素晴らしい製品だ。開発担当の諸君には、これまで本当に苦労をかけた。
0 O) ]& U: E3 L% `5 N2 t李　：価格性能比から見ると確かに画期的ですが、製造面から見たらどうなんでしょうね。
部長：工場長の表情から見ると、決して楽観できなさそうだよ。この製品は正に新技術の固まりだ。

% A+ i2 S6 q0 I) T

♯　解説　♭

　これらの文型は「～から見て判断すると」という意味を表す表現で、「～から言うと／～から言えば／～から言って」（→文型049）、「～からすると／～からすれば」（→文型052）と同義表現です。視覚判断や、他の意見・評価と比較・対比が強調されることが特徴と言えるでしょう。

8 J8 H, F) C/ t& H4 |
' `& Z+ T, W( h; g2 \; e% J

§　例文　§

１．子供の頃から見ると、世の中、ずいぶん豊かになったものだ。
! f9 E3 A# {% R9 J  J7 t# T２．卒業当時から見たら、格段に会話力が進歩したね。
３．大人の目から見ればくだらないと思える物も、子供には宝物だったりする。
４．動物たちから見れば、人間ほど残酷な生き物はいないだろうよ。
! n; L) w1 W1 }6 d５．外見から見て、まともな職業に就いている人とは思えませんでした。

' v, j" _% t$ S% y6 s
9 a7 x3 s  V% e9 [- J

★　例題　★

1）　国民の目（によると／から見ると）、政策不在の権力争い（ほど／しか／だけ）情けないもの（は／が）ない。
  ]" O6 e4 }- \+ z2）　漢字は、その（作られる→　　　　　）方と性質から見て、（大きい→　　）六つ（　）分けられます。

(^^)前課の解答(^^)

1)　に至るまで（△まで）／になって／されて（受身形）
2)　まで／の（「が」も可）／行き届いている（辞書形は未来）
/ k/ ]' d* m( ], v, V
4 W3 y" U% C( J0 f% R
" ?8 V( K; }+ w$ v2 m5 Z; ?4 Q
  E, Y. y5 @# X

060 ＊～ かわりに

名詞　　　　：　　　　の　 　　　　＋ 　　かわりに
動詞・形容詞：普通形＜ナ形ーな＞
& `4 |; p6 X& Z$ o7 j; L5 l
* V. ~1 V1 g" x3 C1 U$ i$ Q0 A1 f1 a

♪　会話　♪

小孫：頑張ってるのに日本語が上達しなくて・・・。
良子：あの有名な兎と亀のかけっこの話を知ってる？
, d* ?; f( k* ^* ~5 I; @& z0 T小孫：兎が高をくくって、途中で昼寝してしまい、亀に追い越されたっていうあの話？
良子：あなたは進歩が遅いかもしれないけど、そのかわりに着実さがあるわ。それがあなたの大きな取り柄だわ。

9 V' p& i% T& x: _- U" j

♯　解説　♭

　「かわる」は漢字で「換わる／替わる／代わる／変わる」と書くように多義語です。「～ かわりに」の用法は大きく分けて、例文１の「～の代理に」、例文２の「～の代理・代替に」、例文３、４の「～けれども」、例文５の「～交換・代償に」という四つの意味に分かれます。どの意味で使われているかは、文脈から理解する以外にありません。この中で注意するのは、交替から対比へと意味が拡大した「ＡけれどもＢ」という逆説の表現でしょう。
　なお、例文１の代理の用法の時には「名詞＋にかわって」（→文型303）の形も使えます。
　　社長にかわって（・のかわりに）、専務が出席することになった。
' v. M( Y! s. i9 n9 f8 M( J9 ^
* T, d# ^. r! ^6 Z5 N

§　例文　§

１．この仕事は君の方が適任だ。僕のかわりに君がやってくれないだろうか。
* _8 b4 A) K: y( ?% C& ?+ J* p9 H" u２．「戦時中はご飯のかわりにさつまいもを食べた」という話を母から聞いたことがある。
３．このアパートは駅に近くて便利なかわりに、家賃が高いのが玉に瑕だ。
: t' K/ m* B' V. d: V４．この種の商売は儲けも大きいかわりに、リスクも大きい。
５．先日おごってもらったかわりに、今日は僕がおごるよ。
- L1 H4 P0 v' }" D% ]& Z2 m" F

★　例題　★

1）　僕が日本語を教え（てあげる／てくれる）（かわりに／にかわって）、君が中国語を教えて（あげないか／くれないか）。
2）　この車はガソリン（　）食わないかわり（　）、スピー　ド（　）出ない（　）が難点だ。
6 S- y$ [7 z5 H$ H

4 `! r3 `% R3 ?" t4 P# n

(^^)前課の解答(^^)

1)　から見ると／ほど／は（～ほど～はない→395Ｐ）
! Y# D  }* {! ]6 u* C! o: i6 v9 g7 a2)　作られ（方法）／大きく／に（「～を～に分ける」の受身文）