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原油高騰/家計に痛い「値上げの夏」
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2007/08/10
さながら値上げの夏だ。ここにきて再び頭をもたげてきた原油価格に円安などが加わり、ガソリンなどの石油関連製品はもちろん、食料品などにも、じわりと値上げが広がってきている。
これから盆の帰省や行楽などでマイカーの利用が増える時期だけに、とりわけガソリンの値上がりは家計に及ぼす影響が大きいだろう。悩ましい限りだ。
こうした動きが安易な便乗値上げに結びつかないよう、わたしたち消費者はしっかり監視を強めていきたい。
石油情報センターによると、レギュラーガソリンの小売価格は六日現在、全国平均で一リットル当たり百四十五円十銭となり、最高値(百四十四円十銭)を更新した。
原油高を理由に、石油元売り各社が今月から卸価格を軒並み引き上げたことが影響した。原油価格は年初以降、やや下がり気味だったが、最近再び上昇しており、価格転嫁の動きは今後も続きそうな気配だ。
値上がりがガソリンだけなら、消費者も自衛する方法があるだろう。ところが、ティッシュやトイレ紙、段ボールなど石油絡みの商品は数多い。しかも、その影響が巡り巡って、食品など他の品目の高騰にも及ぶのが頭の痛いところである。
食品の値上がりは、地球温暖化対策や高値の石油に代わる燃料として期待を集める「バイオエタノール」の生産が急増していることとも関係している。主原料のトウモロコシなどの需要が世界中で増え、穀物価格が跳ね上がってきているのだ。
あおりを受けたのが、ハムメーカーなどだ。飼料価格の上昇で豚肉が高騰しているため、大手メーカーはハムやソーセージなどの価格転嫁に動いている。マヨネーズが六月に値上げされたのも、大豆などでつくる食用油の価格上昇が原因である。
為替市場で円安が続き、輸入原料や製品が値上がりしていることも見逃せない。円安は対ユーロでとくに進んでおり、欧州からのワインやチーズ、ブランド商品は軒並み、5-10%程度値上がりしている。
ただ、全体でみれば物価は落ち着いており、まだ救われる。デジタル家電などが値下がりしたため、六月の全国消費者物価指数は五カ月連続の下落だった。今後、値上げの影響が限定的な範囲にとどまるのかどうか、注意深く見守る必要がある。
それぞれの値上げには相応の理由があるだろう。しかし、消費者の購買意欲に水を差す恐れもある。消費を盛り上げ、景気を持続させるためにも、各企業は経営努力をさらに重ねてもらいたい。
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