▼石油といえば近代の象徴のようだが、人間とのかかわりは古い。古代ローマの共同浴場では湯を沸かす燃料に使われていたらしい。日本書紀にも記録がある。7世紀、越の国(新潟)から朝廷に、「燃ゆる土、燃ゆる水」なるものが献上されたという
说到石油,虽说似乎是近代的象征,其实和人类的关系很久远。古代罗马的共同浴室就好像已经将其用作烧水燃料了。在日本书纪中也有过记载。据说在7世纪,就由越国(现新泻县)向朝廷进贡了“可燃的土(石炭),可燃的水(石油)”的东西。
▼往古には素朴に燃えていた石油だが、20世紀に豹変(ひょうへん)する。争奪や投機の対象となって人間の欲望を燃え立たせた。経済を支配して戦争を引き起こし、「世界をゆさぶる戦略的財宝」などと言われて久しい
往古默默燃烧着的石油,到了20世纪就发生了巨变。石油变成了争夺和投机的对象,激发人类的欲望。支配经济,引起战争,(石油)很久以前就被称为“撼动世界的战略性的财富”
▼その石油にゆさぶられて、いま、日本の漁業は大シケだ。燃料代が高騰し、漁に出るほど赤字がかさむ。たまりかねた漁業者らが昨日、一斉に漁を休み窮状を訴えた。錨(いかり)を下ろしたままの船は全国で20万隻にのぼった
正因为石油的波动所致,现在,日本的渔业是大萧条时期。燃料费不断高涨,出航导致赤字不断增加。忍无可忍的渔业者从昨天开始,控诉艰难状况一同歇业。停锚不作业的渔船在全国已经达到20万艘。
▼魚に限らず、日々の食卓は「石油漬け」である。ハウス栽培も石油に頼る。たとえばキュウリ1本育てるのに約60ミリリットル、メロンなら1個で4リットルも必要だ。あれやこれやで成人男性は、毎日、ビールのロング缶に半分ほどの石油を「食べている」換算になる
不光是鱼,每天的餐桌上都是“石油腌制品”。温室栽培也依靠石油。比如说培育一根黄瓜就需要60毫升,培育一个兰白瓜需要4升。照这样换算的话,普通成人男性,每天所消耗掉的石油的量达到半罐啤酒之多。
▼「産業の血液」と言われる石油は、いまや人の血肉の素(もと)にもなったようだ。代わりにと言うべきか、人の食べていた穀物がバイオ燃料に化け、車の腹に収まっていく。これが穀物の高騰を呼び、食品の値上げを誘発している
被称为“产业血液”的石油,现在好像已经成为人的生命之本。应该换种说法是,人所食用的谷物转化成了生态燃料,用于汽车。这个是诱发了谷物的腾贵和食品的涨价。
▼石油をめぐる最古の記述の一つに、旧約聖書の「ノアの方舟(はこぶね)」がある。ただし燃やすのではなく、アスファルト状のもので舟をしっかり塗装したらしい。気がつけば方舟よりも頼りなげな、わが石油だのみの日々かとも思う。
围绕石油的最古老的记述之一是在旧约圣经的“诺亚方舟”。但是,不是作为燃料,而是作为沥青状的东西用来涂抹船身。留心发现,我们依靠石油生活的日子比起诺亚方舟更没有安全感。 |