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[商务知识] 日本为何会获得诺贝尔奖项

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发表于 2008-10-10 10:27:55 | 显示全部楼层 |阅读模式
转自日本经济新闻
日本にノーベル賞が来た理由
幻の物理学賞と坂田昌一・戸塚洋二の死
2008年10月10日 金曜日 伊東 乾
 「世界同時株安」を背景に、日米の選挙と金融・財政政策を情報の観点から見る、というのが、ここ数週間のこのコラムの通しテーマなわけですが、そこに「ノーベル賞」が飛び込んできました。物理学賞の南部陽一郎先生、小林誠・益川敏英の両教授、そして1日遅れて化学賞の下村脩教授と、日本の報道は「日本人」が4人受賞と大はしゃぎですが、ノーベル財団の公式ホームページでは、米国籍の南部先生は米国人としています。同じく化学賞も、ノーベル財団のホームページで下村さんは「日本国籍」となっていますが、所属と学術業績についてはUSAとなっています。

 「暗い話題の中に明るいニュース」「日本人の快挙!」などと見出しが躍りますが、「日本人」として本当に喜ぶべきポイントは、実は報道されている表層とはおよそかけ離れたところにあります。

 さらに「ノーベル賞受賞」の背景や延長には「研究予算獲得」にまつわる生臭い話や、知材ビジネスに関する構造的大問題なども存在している。そこで2回ほど、普段は描かれざるサイエンス&テクノロジーの背景を書いてみたいと思います。ちょうど、休職中外交官の畏友佐藤優が、役所の内部から問題を明らかにして通気をしたように、元崩れ物理学徒である音楽家の私は関連の問題に(よい意味で、予算配分などの)利害が一切ありません。この国のR&D(リサーチ&ディベロップメント・研究開発)が少しでもよくなってほしいという思いを強く持っています。

 10月7日火曜日の夜、私は港区白金の日経BP本社でルワンダ国立大学のルワカバンバ総長との対談を行っていました(選挙明けにオンエアします)。そこにパートナーから「ノーベル物理学賞、日本人3人だって」と携帯電話が掛かってきます。

 「素粒子物理学で3人だって」
 「ふーん……じゃ、小林・益川でしょ」
 「何で分かるの?」
 「あと、マージャンの役のアタマじゃないけど、南部先生?」
 「そうそう、どうして???」

 物理の内情をご存じない方には意外な名前でも、内側を知っている人間には「素粒子…それなら小林・益川、それに南部先生以外あり得ない」と、瞬時にして分かる人選なのです。今年「日本」と来れば「素粒子」というのも、事情を知っていれば誰でも分かることでした。

 益川さんのインタビューがいろいろ話題をまいていますが、とりわけ「ちっともうれしくない」「南部先生が受賞されたのは本当によかった」などと述べておられる背景は、知っている物理屋にはあまりによく分かりすぎる事情が存在しています。それにはノーベル財団の「大失策」が関係しているのです。


幻のノーベル物理学賞「ニュートリノ振動」

 昨年、2007年のノーベル物理学賞はフランスのアルベルト・フェールとドイツのペーター・グリューンベルクが「巨大磁気抵抗の発見」で受賞しています。この仕事によって、私たちが日常的に使っているギガバイトサイズの磁気メモリーの開発が可能になった大業績で、物理の中で分類すれば「物性物理実験」のジャンルです(書くのも恥ずかしいですが私がかつて大学院で勉強した分野でもあります)。

 1938年生まれのフェールさんと39年生まれのグリューンベルクさん、2人とも今もお元気だと思いますが、この1年の間に1人の日本人科学者が命を落としました。戸塚洋二博士(1942-2008.7.10)です。戸塚さんこそ、ノーベル賞をもらわないわけにはゆかない人でした。彼のボス、小柴昌俊氏に2002年にノーベル賞が出たのは、1998年に小柴研の後継者である戸塚さんたちが「ニュートリノ振動の観測」に成功した、20世紀最後最大の業績に対するノーベル賞授与の準備、布石と誰もが理解していました。

 「ニュートリノ振動」について詳しくは記しませんが、「ニュートリノ(中性微子)」と呼ばれる微小な素粒子に質量があるか、ないかによって、私たちの住むこの宇宙全体の構造モデルの理解まで変わってくる、本質的な大問題です。

 戸塚さんたちのグループは1998年、「ニュートリノに質量がある」ことを、世界で初めて示しました。これこそが物理学賞史上に永遠に残り、あらゆる教科書に記される本当の大業績にほかなりません。
こうしたプロジェクトの言いだしっぺは小柴さんですが、本当に粉骨砕身で努力されたのは戸塚さんたち小柴研のスタッフでした。ところが、そもそも計画をし、装置を作るまでの責任者だった小柴さんにはノーベル賞が出ましたが、本当に賞を授与すべき大業績、この装置を使って得られた「ニュートリノ振動の観測」を、ノーベル財団は永遠に顕彰する機会を失ってしまったのです。


戸塚洋二さんの死/間に合わなかったノーベル賞

 この「永遠に」というのが実は非常に重要なポイントです。1987年、神岡(岐阜県神岡町)のニュートリノ観測で「仁科記念賞」を得た小柴さん、戸塚洋二さん、須田英博さんの3人のうち、ボスの小柴さんだけが現在も存命で、戸塚さんも須田さんも亡くなってしまいました。須田さんは国際学会中の突然死で、過労死という声も聞きました。ちなみに小柴研の後継者、折戸周治さんも50代で亡くなっています。

 小柴グループの主要な「武将」たちがつぎつぎに早世して、小柴さんが一番お悲しみ、と思います。しかし同時に「一将功成って万骨枯る」と手厳しく批判する人も少なくありません。というのも小柴研は体育会系の研究スタイルで、スケールの大きな優秀な人たちが、寸暇を惜しんで物理に24時間、文字通り献身して、ニコニコしながらウルトラハードなプロジェクトを進めていたからです。戸塚さんも豪傑で、大学院入試の前日に山岳部の仲間と呑みながら徹夜マージャンだかなんだかをして、時間を間違えて1年留年したりしたのだったと思います。私は大学院の特講か何かで1単位もらった程度のご縁しかありませんでしたが、人格はおおらかで素晴らしい物理学者でした。

 小柴研の、本当に素晴らしい業績は得られたけれど、志半ばで若くして亡くなっていったアシスタントたちを知る人は、彼らこそ本当に顕彰されるべきだと確信を持っていると思います。日本では、ノーベル賞などをもらってしまうと誰もが奉ってしまって、こうしたことが言われませんが、小柴さん以外にも、すさまじい体育会系のグループ研究を率いる科学者は存在しますし、そこでは「アカデミックハラスメント」のような言葉は出てこないし、「過労死」という言葉も聞かれないことになっています。でも、本当にそれでよいのか? 個人的には疑問を持っています。

 去年の秋のノーベル賞の季節、戸塚さんはご存命でした。もし去年「ニュートリノ振動」にノーベル賞を出していても、今年、去年の授賞業績「巨大磁気抵抗」の2人とも元気なのですから、賞を出すことが可能でした。賞の権威を本当に皆が認めるためには、当然出すべき対象の業績に漏れがあるべきではありません。「ニュートリノ振動」こそは、万人が認める大業績でした。ノーベル財団・選考委員会は、完全に読みを誤りました。


南部先生は「日本」の物理学者か?

 一方で、益川さんも「うれしい」と言った南部先生は、87歳でのご受賞ですが、以前『バカと東大は使いよう』にも書いた通り、ノーベル賞を2回もらってもおかしくない大物理学者で、30年前の1978年に文化勲章を受けています。

 南部先生はすでに渡米60年近く、米国籍を得られて40年近くになり、ノーベル財団も「USA」と報じる「日系米国人」の世界的物理学者で「日本人が」と日本の学術界が喜ぶのは、微妙に筋がずれています。元来は日本の環境に問題があって頭脳流出した物理の南部先生であり、化学の下山教授だった事実がどこかに行ってしまうからです。正直な話私も、よりよい環境があればいつでも日本を出る用意がありますが、この国では、国内問題山積のまま、海外に出て行った人に何か賞なぞが出ると、すぐに「日本が、日本人が」と騒ぐ。これには背景があります。とりわけ研究費や知材にまつわる問題は深刻で、これは次回に記すことにします。

 南部先生の主要業績は「自発的対称性の破れ」の導入と呼ばれるものですが、これは一種のアイデア、発想の根本的な転換と言ってよいもので、実証科学というより大胆な「卓見」に基づく精緻な論理の組み立てという、パイオニア的大業績です。この点で南部さんのお仕事は、湯川秀樹さんと近いところがあります。湯川さんの中心業績(「指数型ポテンシャルの中間子による強い相互作用」というアイデア)も、経済的に限界があり、いまだ大規模実験などできなかった1930年代の日本で、旧来の慣習を破る大胆な発想と細心の論理で、いわば鉛筆一本で成し遂げられた「純日本産」の業績でした。南部先生は湯川さんがノーベル賞を受賞した直後に頭脳流出して、欧米で「鉛筆一本」、財力などではなく純粋に知的資産100%で、60年にわたって、理論物理の第一線を牽引してこられたのです。
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 楼主| 发表于 2008-10-10 11:35:22 | 显示全部楼层
「対称性の破れ」と中国人女性物理学者のノーベル賞排除

 1900~20年代、20世紀の新しい物理学(主に相対論・量子論)が進展した時、多くの物理学者は未知の領域を探索するのに数学的な「対称性」をヒントにしました。ところが1950年代のシカゴで、中国出身の2人の若い物理学者、楊振寧(1922-)と李政道(1926-)は、ベータ崩壊の一部で自然法則の対称性が破れていること(「パリティ非保存」)に気づきます。私たちの右手と左手は「同じ形」をしていますが、実は「鏡像対称」になっています。普通の自然法則は鏡に映すと鏡像対称(パリティ保存)ですが、「弱い相互作用」のごく一部で、「右手を鏡に映したら、その像も右手だった」という、非常に不思議な挙動を示すことが理論的に予測されたのです。

 この仮説は直ちに、やはり中国出身の女性物理学者、コロンビア大学のマダム・ウー(呉健雄Chien-Shiung Wu 1912-97)によって実験的に検証され(1956年)て物理学会に大センセーションを呼び起こし、楊と李の2人は翌1957年に中国人として初めて、ノーベル物理学賞を受賞しました。当時35歳と31歳、シカゴで同僚だった南部先生が37歳の時です。

 この時、初めての中国人への授賞に際して、普段は「実験に篤く、理論に冷たい」ノーベル賞が、理論家の楊と李に受賞させ、実験家としてこの自然現象を決定的に検証した、当時45歳だった女性の呉を排除したことは、「アジア人女性科学者への授賞は時期尚早」という白人中心主義の民族差別、女性差別として、国際的に大変な非難が巻き起こりました。

 こうした批判を受けるたびに、ノーベル財団、委員会は、失われた権威を保つべくフォローを画策しますが結局、呉教授にノーベル賞が授与されることはありませんでした。

 後に呉教授にはイスラエルのウルフ財団が設置した第1回ウルフ賞物理学部門を受けました。これにはスウェーデンの科学権威の失墜分を、イスラエルが持っていったパワーゲームの側面があります。


小林・益川理論と「CP対称性の破れ」

 この57年、物性物理学のフィールドで「超伝導現象」を初めて記述する「BCS理論」が発表され、後に72年ノーベル賞を受けるのですが、南部さんはこの「超伝導理論」の中に「対称性が破れる」部分があることに気がつきました。なぜそうなるのか? 面白い、と思った南部さんは、熟慮の末にある「悟り」に達します。物理法則には因果性がありますが、ここでの「対称性の破れ」は「たまたま」起きた、自発的spontaneousに起きたのだ、として「なぜ?」と問うことをいったんやめて、逆にそれを出発点=原理として、そこから先の物理を構築するアイデアを提出します(1961年)。

 この「対称性の破れ」は実験的にどんどん検証されてゆきます。1964年、東京オリンピックの年にジェームズ・クローニンとヴァル・フィッチは楊・李+呉の「パリティ(P)対称性の破れ」に加えて(説明は省きますが)「パリティ(P)+電荷(C)対称性の破れ」=「CP対称性の破れ」を実験的に観測し、モスクワオリンピックが物議を醸した1980年にノーベル賞を受賞します。

 この「CP対称性の破れ」を最初に理論的に記述し、整合した説明を与えたのが、小林誠さんと益川敏英さんの「小林・益川理論」(1973)でした。クォークが6個ある、現在の標準的な素粒子理論(標準理論)の基本的土壌を整える大業績で、いつノーベル賞が出てもおかしくない、自然科学史上不朽の仕事です。

 ただ、ここで強調しておかねばならないのは、こうした「自然科学史上不朽の仕事」が、物理学にも化学にも、はたまたノーベル賞に設置されていない専門分野(環境科学、地球科学、情報科学、認知科学etc etc etc)にも、大変な数存在しているという基本的な事実です。

 賞を貰うだけが大切な研究成果ではない。まったくそんなことはありえない。

 世の中では「ノーベル賞を取った」というと、大変な騒ぎ方をする。でも、本当に大きな仕事をした人は、みんなむしろ自分の内側に向かって謙虚で、自然界の真理に最初に触れることができた、という内的に深い満足を持っているものです。亡くなった戸塚さんの最晩年は特にそうだったと思います。

 末期ガンで余命いくばくもないと自他ともに知りながら、戸塚さんは毎年ノーベル賞を待たれたと思います。でも、周りがやきもきするのと違って、ご本人は、人間が作り、人間が毎年決めるノーベル賞ごときを超えて、自分は自然法則の根幹に触れたという、揺るぎのない確信を持って、若者向けに自然科学の喜びを淡々と教えるような、充実した最晩年を送られ、静かに息を引き取られた。エジソンやコンピューターを作ったフォン・ノイマン、ニコラ・テスラなど、ノーベル賞を受けることなく、それを超えてしまった人々の列に彼は足を踏み入れたと私は思っています。大江健三郎氏はノーベル賞をもらって文化勲章を拒否しましたが、1964年ジャン=ポール・サルトルは「いかなる人間でも生きながら神格化されるには値しない」とノーベル文学賞を拒絶して、ノーベル賞を超えています。戸塚さんもまたノーベル賞を超えた。ある意味では小柴さんを超えたと言ってもよいでしょう。むしろ短慮によって賞が間に合わなかったノーベル財団が非難され、負けているのです。
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 楼主| 发表于 2008-10-10 11:37:06 | 显示全部楼层
日本が本当に誇るべきこと:純日本産の「ニュートリノ振動」

 小林・益川の両氏の受賞は、まずもって喜ぶべきことと思いますが、今年のノーベル物理学賞が日本に来た最大の理由は、昨年までに戸塚洋二さんにノーベル物理学賞を授与しそこね、巨大な学術予算も投入して得られた「ニュートリノ振動の観測=ニュートリノ質量の存在確認」という大成果に、結局ノーベル賞が出せなかったことに対する、強烈な批判と様々なロビィ活動があって実現したものと考えるべきでしょう。これと、化学賞の下村さんとは全く独立の現象で、こちらについては次回記したいと思います。

 すでにノーベル賞の推薦委員も長年務めている益川さんあたりは、裏も表も全部分かっていて、別段賞がうれしいとか何とかではなく、むしろ、いつ貰ってもおかしくないのに、長年タイミングを逸し続けてきた南部先生の受賞が嬉しいというのは、掛け値なし、文字通りの本音だと思います。

 益川先生にはとりわけ、ノーベル賞を貰ってもいつまでも普通のおじさんでもい続けていただいて、そろそろいい加減「ノーベル賞受賞→神棚に奉り」という、みっともない後進国根性を日本も超克するべきだと思います。それはすでに事実で、私も研究上ご一緒している島津製作所の田中耕一さんは、いまだに作業服で現場の仕事をしていると聞きますし、さきほど触れた超伝導の理論を作ったジョン・バーディーンは、トランジスタの開発で最初のノーベル賞を授賞(1956)した翌年に、次のノーベル賞受賞業績であるBCS理論を発表しています。

 南部先生の受賞は、先に挙げた1957年の楊・李2人のシカゴ大学での指導教官、インド出身の大理論物理学者、シュブラマニャン・チャンドラセカール(1910-1995)の受賞を想起させます。チャンドラセカール教授の受賞も「遅すぎる」と言われましたが、今見てみると73歳で、南部先生の87歳よりよほど若い。南部先生もチャンドラセカールもみな、シカゴ大学でエンリコ・フェルミの薫陶を受けながら、関連の物理学に本質的貢献をされた大自然科学者です。

 戸塚さんのご逝去が引き金になって、日本の素粒子物理学への授賞という動きが出て、「対称性の破れ」という授与ストーリーから、50年近くタイミングを逸し続けてきた南部先生にノーベル賞が出た。そういう流れでほぼ間違いないと思います。私個人は専門も違い、数回セミナーを伺ったことしかありませんが、そもそも南部先生の『クォーク』(講談社)を読み、そこで紹介されていた『ファインマン物理学』(岩波書店)で物理を専攻した個人的な経緯もあって、本当にうれしく思っています。

 ただここで、もうひとつ挙げておかねばならない決定的な人物がいます。それは「与えられなかったノーベル物理学賞」ニュートリノ振動を理論的に予測した物理学者です。実はその人もまた、日本人だったのです。坂田昌一博士(1911-70)は京都大学で湯川・朝永振一郎の3級ほど下に当たり、湯川さんの第2論文以後の共著者として、純日本発の素粒子理論、強い相互作用の「2中間子理論」の問題を解決し、1950年代から、いつノーベル賞を受けてもおかしくない大物理学者でした。その坂田博士が1962年、やはり亡くなった牧二郎先生(1929-2005)などと共著で予言したのが「ニュートリノ振動」なのです。

 つまり、戸塚洋二さんが受け損ねた「ニュートリノ振動」は、実験はもとより、理論的な予言から、何から何まで日本が決定的なイニシアティブを取って世界をリードした、物理学上の最大問題の1つだったわけです。ところがこれを、ノーベル財団は結局、きちんと顕彰することができなかった。普通に科学を知る良識層はすべて、これを「ノーベル賞の失策」と見ますし、選考委員会もいろいろ考えざるを得なくなります。かくして、今年のノーベル物理学賞は日本の素粒子物理に、という不可避の方向性が固まっていくわけです。


坂田あっての小林・益川

 坂田博士は1950年代、中間子理論を発展させて、先駆的な素粒子(ハドロン)の「坂田モデル」を提出します。これを発展的に解体して、マレー・ゲルマン(1929-、1969年ノーベル物理学賞受賞)によって現在のクォークモデルが建設されますが、坂田博士自身は1970年に逝去してしまわれます。これはちょうど、南部博士の先駆的な「弦理論」が発展的に解体されて、現在の超弦理論(SuperString Theory)が建設される経緯とも似ています。

 坂田博士は京都から名古屋大学に移られ、そこで学生を育てました。この坂田研出身で、1973年に「CP非保存」を説明する「3世代行列モデル」を提出したのが、小林誠さんと益川敏英さんにほかなりません。
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 楼主| 发表于 2008-10-10 11:38:38 | 显示全部楼层
益川さんが「自分はちっともうれしくない」と言われますが、その背後には、今日の核子物理学の主要なデザインを構想し、小柴―戸塚のニュートリノ振動も予言しながら、やはりノーベル賞を受けることなく40年前に亡くなった坂田先生以来の蓄積が存在しているのです。

 科学は決して一人の力でできるものでなく、多くの人の協力で成立するものです。と同時に、科学は多くの人の才能を伸ばすことで成立し、ちょっとでも出すぎた杭があると叩きつぶすことに汲々とする日本の風土は、クリエイティヴなサイエンスを育てるのに、極めて不向きです。ノーベル賞が出た、というと「母校」や「ゆかりの大学」がお祭りをしたり、後追いで「文化勲章」など急ごしらえで出すことを相談しているらしいですが、なぜ人々は日本から頭脳流出せざるを得なかったのか、そういう観点はノーベル賞お祭り報道の中で全く顔を出しません(このことは現役の東京大学教員としても、声を大にして強調したいと思います)。


日本が真に自覚すべきオリジナリティ=コア・コンピタンスの重要

 歴年のノーベル物理学賞受賞業績を見ると、様々な国籍の科学者が貢献していますが、「パリティ非保存」の楊・李+呉で、中国の科学者が西欧中心の科学の価値観に決定的にオリジナルな貢献をしたのと並んで、「ニュートリノ振動」の坂田+小柴+戸塚+須田は、日本の素粒子物理学の決定的なオリジナリティを内外に示す、本当に大切な成果です。こうしたオリジナリティを誇れる非欧米の国が、日本と中国のほか、この地球上には存在しません。

 アジア、アフリカ、ラテンアメリカのどの国でも、理論と実験の双方で、その国の中でサイエンスを実現したサイエンスでノーベル賞の承認を得ている国は存在していません。途上国出身の大科学者の活躍の舞台は主に米国、次いで欧州なのです。今年日本人と日系人(この違いが決定的なんですが!!!) にこれだけ一挙にノーベル賞が出たことには、一定以上の意味が(結果的にであれ)明確に存在します。

 日本の科学技術水準がその品位を本当に認められ、一目も二目も置かれるのは、こうした確かな足元があってのことなのです。

 本当に日本が誇るべきことは何か? そして、世界でモノが分かっているひとたちは全員知っている事実は何なのか? それは、今年のノーベル賞の表層だけでなく、その背後で結局、ノーベル財団が「授賞すること=顕彰することが出来なかった」ニュートリノ振動という、完全に日本産の大業績の、ノーベル授賞業績表からの「喪失」にたいする配慮と思います。

 次回記すように、ビジネス上でも「基礎科学はよく分からない」で済まされる時代ではありません。

 科学技術で立国するしかない日本の、他の追随を圧倒的に寄せ付けない、決定的な力の根拠がどこにあるか。

 これを、とりわけビジネスマンを中心に、日本国内の多くの皆さんに知っていただきたいと思います。それは次回の、知材をめぐる日本の「構造的やまい」を理解するうえで、決定的な前提ともなるものです。オリジナリティを知材とマネジメントの言葉に翻案すれば「コアコンピタンス」となります。ちなみに僕自身、ノーベル賞受賞者はいろいろ存じ上げていますが、自分自身はノーベル賞に科目のある専門に関わってはいません。でも、自分のオリジナルの仕事をきっちり立ち上げる基本は、まったく同様に押えています。このコラムでビューの伸びた「セックスと脳」の測定なども含め、すべて、田中耕一さんの居られる島津製作所を初め、国内の企業・研究所との協力で、技術の根の根から純日本製のテクノロジー&サイエンスだけで確定して、決して誰からも追随者と呼ばれない固有の仕事をきっちり囲い込むようにしています。

 そうでないものは「フォロアー」二番煎じとして、決して価値は認められません。学問や芸術の分野でのフォロアーは、ちょうど普通のビジネスで東南アジアなどで模造されたパチモンのコピー商品と、大して変わらない扱いしか受けられないのが普通です。

 ちなみに皆さんは、今年の自然系ノーベル3賞での「欧州系米国人」の数の少なさにお気づきでしょうか? スウェーデン・ノルウェーが胴元の「科学の最高権威」承認をめぐるゲームには、経済学賞や平和賞と同様、様々な水面下のやり取りが存在します。

 そうした駆け引きと、サイエンスの成果は独立で、今回光の当てられた素晴らしい物理学の大業績はすべて無傷intactなものです。

 酸いも甘いも、裏も表もすべてさておいたうえで、小林誠博士、益川敏英博士、そして南部陽一郎博士のノーベル物理学賞受賞を、心からお祝いしたいと思います。
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