[B]名場面集[/B]
■黛玉、悪夢を見る(第82・83回)
黛玉のところに熙鳳、王夫人らがやってきて言いました。「林の叔父様(如海)が賈雨村様に媒酌をお頼みになり、あなたをお嫁にやられることになりました」。
びっくりした黛玉、史太君にすがって「私は死んでも江南に参りません。こちらで召使いとなって暮らしてもかまいませんから置いてください」。ところが史太君は「今更手遅れだよ。女はいつかは嫁に行かねばならないのだから」とすげない返事。
そこへ宝玉が現れ、にこやかに「おめでとう!」と言うではありませんか。焦ってなじる黛玉に向かって宝玉は言います。「あなたは私と縁組ができていたから屋敷にいらしたんでしょ? 行きたくないならいればいい」。そして「私の言葉が信じられないなら、この胸のうちをご覧なさい」と言うや、小刀で胸をかっさばいて何かを探し始めます。仰天した黛玉は狂ったように泣きわめき、宝玉は「心がなくなってしまった。もう生きてはいられない」と言ってひっくり返りました。
黛玉ははっとして目が覚めました…なんとそれは一場の夢。翌朝、紫鵑は襲人から、宝玉が「心臓が痛い! 刀で胸をたち割られるようだ」と一晩大騒ぎしたことを告げられます。
■史太君、宝玉と宝釵の婚儀を取り決める(第84回)
熙鳳は史太君に言いました。「宝玉さんの縁組なら、天のお手で結ばれた良縁があるではないですか」。続けて「一つは宝玉、一つは金の錠前、どうしてお忘れです?」。 史太君はこれを聞いて、なるほどとうなづきます。王夫人を薛未亡人の元へ遣わしてこれを伝えますが、薛蟠の逮捕という大騒動のために棚上げになります。しかし、この日より宝釵が公の場に出ることはなくなりました(結婚前は相手方の家族に会わないのがしきたりだったそうです)。
のちに、黛玉の恋患いを知った時(第90回)も史太君は言いました。「黛玉を宝玉に娶せたくないのも、あの偏屈なところが気がかりなればこそ。身体も弱く、長生きできるたちではなさそうだ。宝釵ちゃんだけが似合いというものだろうか」。
■薛蟠、人を殺して逮捕される(第85回~)
黛玉の誕生祝いに参席していた薛蝌と薛未亡人の元へ、薛家の者が注進に駆けつけました。「お家に大事件が出来しました。早くお戻りください」。聞けば、薛蟠が太平県で人殺しをしてしまったとのこと。ビックリした薛未亡人は、すぐに薛蝌を現地に派遣し、情状酌量を求めて邉婴丹护蓼埂
子細はこうでした。妻に手を焼いて旅に出た薛蟠は、たまたま蒋玉函と行き会いました。酒を酌み交わしていたところ、給仕が玉函に色目を使うのを見て薛蟠はカチンときます。翌日も別の者と酒を飲みにいったのですが、昨日の件もあって給仕の対応に腹を立て、顔めがけて杯を投げつけたところ、当たり所が悪く、その給仕は死んでしまったのでした。
裁判は薛蟠に不利に動き、薛未亡人は莫大な金を薛蝌に渡して邉婴颏丹护郡猡韦巍⑷粕显Vの際に棄却されていきます |