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あいさつ/感じのよい言い方
あいさつ。漢字で書くと「挨拶」。挨拶の挨には「開く」、拶には「迫る」という意味があります。挨拶とは、字のごとく心を開いて相手に迫ることを意味します。うわあ、マナーの世界では導入部分として使う決り文句を言ってしまいました。
さて、今回はあいさつについてです。まず、誰かがドアをノックして入ってくる時の姿をイメージしてください。「失礼します」といって入ってくる人と、黙って入ってくる人、どちらに好感が持てますか?
一般的にはあいさつをする人のほうが支持率は高いでしょう。それは、あいさつは人間関係の第一歩だからです。相手の存在を認める、心の距離を縮める、なごやかな雰囲気を作るなど、さまざまな効果があります。また、名前を呼ばれたり用事を頼まれたときの「はい」という返事も、存在感ややる気を伝え好印象を与えます。などと研修で話すと、みなさん「そんなことは、わかっている」という面持ちで聞かれます。そこで私はその話の後に復習コーナーを設けて、受講生の何人かを名指しします。復習という響きのせいか、内容についての質問と思われるようで、一律にノートに目を落とされるのが普通です。
「○○さん」
「…」
ここで、「はい」と返事をしていただくことが復習なのですが、2、3割からしか返事は返りません。頭で「わかる」ことと、それが実際に「できる」ことは違います。あなたは日々の生活の中で、あいさつができていますか?
私は大学で講義室に入るとき、必ず「おはよう」「こんにちは」と言って入るようにしています。学生は最初、少し戸惑ったような反応を示しますが、続けていくうちに、手を振りながら、講義室に響きわたる声で「おはようございまーす」といってくれるようになります。そうなると臨場感があふれ、「さあ、これから90分がんばろう」というやる気や連帯感、親近感が互いの中に生まれてくるのがわかります。わずか10文字にも満たない言葉で、意思の疎通が図れるのですから、あいさつには威力があります。
そこで、私があみだしたあいさつをするときの方法論を2つご紹介しましょう。
まず、1つ目は語尾をのばさないことです。あいさつは丁寧にすることが基本です。「ありがとうございますゥ」「申し訳ございませーん」などとやってしまうと、相手を小バカにしていたり、ふざけた印象を与えてしまいます。この「語尾のばし」、実に多いのが現状です。特に20代の人は男女問わずですよ。意識して語尾を止めるようにしてください。
2つ目は、一番最初にくる音に少しアクセントをおいて発音することです。たとえば「いらっしゃいませ」という場合、はりきっていうと第2音目の「ら」に力が入り「らっしゃいませ」となりがちです。
あ り が と う ← ×
あ り が と う ← ○
魚や野菜など新鮮なものを販売している場合は、勢いがあり注意も引きやすいのですが、一般的には好ましくありません。「つれいいたします」「はようございます」では、おかしいでしょう。第1音目にアクセントをおくことで、言葉がゆっくりでてくるうえに、先ほど言った語尾がのびにくくなります。さらに、「よろしくお願いいたします」を「やらしくお願いいたします」などと言い誤って、オッサンにエッチな妄想を抱かせることも避けられます。
あいさつも言葉のひとつです。言葉は伝えるために存在します。つまり、相手の心に心地よく響いてこそはじめて生きてくるということです。そしてそのあいさつに応じた表情や声が伴えば、なお好ましいでしょう。
では本日のおさらいです。
「第一音 ハッキリ言えれば 二重丸」
次回は「表情/笑顔の効用」についてです。楽しみにしていてくださいね。
つづく…
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