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先生は現場の経験からまとめたノートテイキング方法です。
かなり参考になります。
記号などを上手に使い、論理的なメモができたら、逐次通訳の精度もあがりますよ!
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Contents : 1.ノートテイキングの原理
2.ノートテイキングの方法
3.ノートテイキングの実際
4.ノートテイキングの指導
Key Words: ノートテイキング、言語能力、世界知識、専門知識、起点言語、目標言語、 空間配置、図式的ノート、記憶力補助、理解促進、省力化、記号、略語
摘要:
本論では、通訳技術のひとつである逐次通訳のノートテイキング指導に焦点をあてる。
逐次通訳を行う場合、ごく短文(数秒間から十数秒間以内の一文ずつの通訳)で、話題がごく一般的なものであれば、通訳訓練を受けたことがなくても、外国語学習で修得した言語知識と一般常識の範囲内で逐次通訳に対応できる。このような通訳は、地域のボランティアや善意通訳などの場面で用いられている。話題が専門的な分野に及ぶ場合でも、その分野の専門家で二言語を修得している者は、特に問題なく通訳を行うことが可能である。たとえば、企業内で技術的な話題の通訳を日常的に行っているインハウス通訳や、または学術交流などで学者や専門家が臨時に通訳を行う場合などがこれにあたる。
だが、フリーランスの専業通訳者が業務を行う実際の通訳現場では、2~3分間以上の長文逐次通訳を行う場合も多く、しかも通訳者自身は専門家でないことがほとんどなので、これに対応できる能力を修得する必要がある。そこで、逐次通訳の重要なスキルであるノートテイキングをいかに指導していくかが通訳指導の問題になる。また、ノートは訓練を受ける学生の側にとっても習得を特に希望する技術でもある。
本論ではノートテイキングの原理と方法について過去の文献をレビューしつつ考察を加え、次に実際のノートの例をあげて若干の分析を試み、さらにノートテイキング指導の方法について文献から例を引き、さらにケース・スタディとしてISS通訳研修センター日中通訳コース本科の授業を紹介し、最後に訓練生のとったノートにつき、指導前と指導後の変化を観察する。
1.ノートテイキングの原理
まず、逐次通訳のノートテイキング(以下、ノートと略す)は、これまでどのようにとらえられてきたのか概観し、ついでノートの役割について考える。
1.1 ノートの前提
最初に、ノートを取る段階について考えてみたい。ノートを時間的観念からとらえるとき、二つの側面から考察することが可能になる。ひとつは、言語修得がどの段階まで達したら通訳技術の一つであるノートを取り始める条件が整ったと考えられるかという問題であり、もうひとつは実際に起点言語を聴取しながらどの時点でノートを取るかという問題である。前者は通訳者の言語能力と知識に密接に関連し、後者は通訳者の理解力と分析力に依存する。
1.1.1 発言のメッセージを確実に理解できる言語能力と知識
発言を聞いてしっかりと理解できることをノートの前提として強調している例が多い(西山1988、鄭1989、篠田・新崎1992・1998、大谷1992、馬越1995)。つまり、起点言語のメッセージを理解できなければノートを取ることもできない、耳でキャッチできた語だけをメモしても逐次通訳の役には立たないという意見が圧倒的だ。ノートは起点言語と目標言語の言語能力をある程度まで修得した時点で学習を開始すべき技術の一つであることが明確になってくる。引用文献中、ノートに言及した部分の見出しや本文中に「通訳術」という語を用いている例もあり(塚本、西山、大谷)、一般の語学学習とは差別化された通訳スキルとしてとらえられていることもこのことを物語っている。発言を理解できる言語能力が修得されるまでノートは取れない、ということになると、ノートの指導を開始する時期をいつにするかという通訳訓練指導に深く関わってくる。多くの専門家が「はじめはノートを取らせず聞くことに専念させる」と述べているが、この点については「ノートの指導」で改めて検討したい。
1.1.2 ノートを取るタイミング
さて、実際の逐次通訳の場で、起点言語のメッセージが完全に理解できた時点でノートを取り始めるとすれば、聞いたとたんに急いで単語を書き付けるというノートは存在してはならないはずだ。また、ノートに取る内容は単語だけではなく、文法や談話全体の構造を反映したものになるだろう。なぜならば起点言語全体の意味を理解するためには、個々の単語に対する理解だけでは不十分で、それらの語がどのような文法関係によって組み立てられているのか、また文と文の関連、あるいは数分間に及ぶ発言であれば、パラグラフどうしのリンクはどのようであるか等々の全体をとらえる力が必要になってくるからである。つまり書かれたノートは「発言者が話した内容を注意深く追随」(西山)している必要があり、首尾一貫した談話の内容を反映するものでなければならないと言えるだろう。
したがって、ノートは発言の「内容を了解した時点で」(鄭)取るものである。そこで、理解と分析の過程を経ずに、聞こえてきたものをただ闇雲に書き並べるやり方は、ほぼ全ての専業通訳者が否定している。ただし、訳出時点で内容理解を必ずしも必要としない、音声反復を要求するもの、つまり初めて聞く人名や地名など固有名詞に関しては、記憶から消失する前にその音自体を記録しておく必要がある。数字などに関しても、その数値の意味するところを考える前に書き留めておかなければ訳出に支障を来すことになる。したがって、このような内容は思考や分析の過程を経ることなく書き留められる。
(続き) |
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