2012.8.16 23:20 (1/2ページ)
【北京=山本勲】香港の活動家団体の尖閣諸島上陸に至る胡錦濤政権の動きは微妙かつ曖昧さに満ちていた。中国本土からの参加をできる限り抑制する一方、このところ押さえ込んでいた香港住民を中心とする活動家の出航は放任した。「秋の共産党大会を控え、胡政権が尖閣問題で日本と本格的に事を構える気は毛頭ない」(北京の西側外交筋)。だが石原慎太郎東京都知事ら日本側の動きに刺激された活動家を完全に封じ込むことで、「弱腰」との批判が噴出するのは避けたいとの意図が透けてみえる。
石原知事の尖閣諸島購入方針表明から野田佳彦首相の同島国有化方針表明に至る日本の動きが、中国の反日感情を刺激したことは否定できない。
景気はここへきて後退色を強め、党・政府幹部の腐敗や経済格差拡大への国民の不満は鬱(うっ)積(せき)するばかりだ。この状況下で秋に今後10年の党指導部体制を決める第18回党大会が開かれる。
現在のところ胡政権は江沢民前主席を後ろ盾とする上海閥・太子党(党高級幹部の子弟グループ)との権力闘争を有利に進めてはいるものの、想定外の突発事で形勢が逆転する可能性もありうる。
その最大の不安定要素が対日関係だ。仮に尖閣諸島をめぐる日中紛争が急拡大すれば、対日重視政策を掲げてきた胡政権は反日感情を鼓吹した江前主席ら上海閥から強力な反転攻勢をかけられる恐れがある。
党機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」紙は16日付の社説で「中国は(島に上陸した活動家に対する)日本側の法に基づく裁判を受け入れるべきではなく、無条件釈放を求める点で妥協の余地はない」といつもの強硬姿勢を表明。
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