|
12(4)
僕は考えてみた。考えようと努力してみた。でも何も考えられなかった。
「いいわよ、考えなくて」と彼女はあきらめたように言った。そしてソファに腰を下ろし、眼鏡の縁にちょっと手をやって僕の顔をまじまじと見た。「あなた、でもひどい顔してるわよ」
「うん。そうだろうと思う」と僕は言った。
「顔色も悪いし、むくんでるし。熱があるんじゃないの?大丈夫?」
「大丈夫。ぐっすり眠ればもとどおりになる。心配ない。もともとが健康なんだ」と僕は言った。「君は休憩時間?」
「そう」と彼女は言った。「あなたの顔を見に来たの。なんとなく興味あったから。でも邪魔だったら出ていくけど」
「邪魔じゃない」と僕は言って、ベッドに腰掛けた。「死ぬほど眠いけど、でも邪魔じゃない」
「変なこともしない?」
「変なこともしない」
「みんなそう言うけど、ちゃんとするの」
「みんなはするかもしれないけど、僕はしない」と僕は言った。
彼女は少し考えてから、思考の結果を確かめるかのように指で軽くこめかみを押さえた。「そうかもしれないわね。あなたは他の人とはちょっと違ってるような気がする」と彼女は言った。
「それに今は何かするには眠すぎるし」と僕は付け加えた。
彼女は立ち上がってライト?ブルーの上着を脱ぎ、それを昨日と同じように椅子の背にかけた。でも彼女は今回は僕の隣には来なかった。窓際まで歩いて行って、そこに立ってじっと灰色の空を眺めていた。たぶん僕がバスローブ一枚という格好で、それにひどい顔をしているからだろうと僕は思った。でも仕方ない。僕にだって僕の事情というものがあるのだ。他人に良い顔を見せることを目的として生きている訳ではないのだ。
「ねえ」と僕は言った。「この前も言ったと思うけれど、僕と君のあいだには、ささやかではあるにせよ何かしら相通じるところがあるような気がする」
「そう?」と彼女は無感動な声で言った。そして三十秒くらいそのまま黙っていた。「たとえば?」と三十秒あとで彼女は言った。
我想了想。努力地想。可是什么也想不起来。
“好了,不用想了。”她很痛快地说。接着坐到沙发上,用手触摸了一下眼镜边目不转晴地盯着我。“你的脸色很不正常。”
“是。应该那样。我想。”我说。
“脸色不好,而且还浮肿。有没有发烧呢?没有关系吗?”
“没问题的。好好地睡一觉就好了。不必担心。本来就很健康的。”我说。“你现在是休息时间?”
“是的。”她说。“我是为看你而来的。不知什么原因很有兴趣呗。若是打扰你了我这就走。”
“没有打扰。”我说着坐到床上。“虽想睡死,但也并没有打扰。”
“有没有什么奇怪的事?”
“没有什么奇怪的事。”
“大家都那样说,你可正规地做了。”
“也许大家都已经做了,可是我没有做。”我说。
她想了一会儿之后,好像有确定的思考结果之后用手指轻轻摁了太阳穴。“也许是吧。感觉你和别人稍微有点不同。”她说。
“所以现在要做什么的话就是多睡觉。”我说。
她站起来把蓝工作服上衣脱掉,和昨天一样把它掛在椅背上。可是这次她没有来到我的身旁。她走到窗边站在那里眺望着灰色的天空。大概是因为我只穿一件睡衣吧,再加上有很不好的脸色。没有办法。我有我自己的事情。给别人以好的脸色为目的而生活,并不正常。
“那个,”我说。“以前也曾说过,我和你之间有一点什么相通之处。”
“是吗?”她用无感动的声音说。接着沉默了有三十秒钟。“比如?”三十秒之后她说。 |
|